文化の移植でしょ?残念な。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

New houses are black. Izumi. Caju©2021


2021年12月

文化の移植でしょ?残念な。

さてまた今年もやって来ました、年末です。当地ブラジルで年末と言えば、クリスマス一色になり、カトリックが主流の国なので当たり前といえば当たり前なのです。クリスマスはキリスト教の中心人物、イエスキリストの誕生を祝う祭典です。いうまでも無く、元々キリスト教徒が行っていたモノですが、近年ではまったく関係のない日本などでもクリスマスを有り難がってお祝い事と考えている人が増えているのではないかと思います。まあこれは宗教的内容はともあれ、親しい人達が集まって、普段からかけ離れたご馳走を食べ、懇親するのが主な目的だと思われますので、それはそれで良い事だと言えますね。

『元々この12月25日前後は欧州の古代文化では冬至を祝う時期であったのが、キリスト教が普及するにつれ、そのお祝い事をイエスキリストの誕生祝いに置き換えたとされている。なので、ある意味原点に還っていると言えるのかもしれない。』

そこで、クリスマスの食事を日伯の違いでみてみると面白いです。元からキリスト教と関係のない日本(註1)のクリスマスメニューをみてると、なんか訳のわからない折衷メニューや「子どもが喜ぶメニュー」など、元の文化となんら関連性がない事がわかります。ネットで調べると、クリスマスの食事のメニューランキングがあり、次の内容がよく登場するそうです:

日本のクリスマスディナーのメニュー

メニュー

開業医のコメント

生ケーキ

例のショートケーキタイプのクリスマスケーキだな。これはケーキ店を展開している不二家の販促の賜物であると言うのが通説。今ではクリスマス前に何処にでも山積みにして売ってるから、入手しやすいし、なんとなく購入しないといけない気になる?

ローストチキン

米国でクリスマスに七面鳥を食べた流れ。日本では七面鳥いないし、あっても一般家庭ではあんなでかいモノが焼けるオーブンもないし…チキンで代用ね。

フライドチキン

これはローストチキンの派生だな。

ピザ

欧米からみたら、なんで?だな。子どものメニューか?

スパークリングワイン・シャンパン

お祝い事だからだな。

炭酸飲料

子ども用ね。

ワイン

こちらもお祝い事ね。

ポテトサラダ

チキンに併せるのに最適だから?

フライドポテト

ポテト料理の派生?子ども用?

コーンスープ

どうしてかわかる人は教えてください。

これら以外に寿司(にぎりや手巻き)、パエリアなども人気があるみたいです。ピザやフライドチキンなど、ご馳走であるとは言えないですが、多人数で集まって食事するのが目的なのでしょう。寿司もその延長ですね。

反面、ブラジルのクリスマスメニューは伝統的で一貫性があります。

ブラジルの典型的なクリスマスディナーのメニュー

メニュー

開業医のコメント

leitão 豚肉ロースやポークシャンクの焼いた物

欧州風メインディッシュだな。大きな塊の焼き物料理、食べる時に切り分ける。

peru 七面鳥、丸焼き

米国で広まり、ブラジルにもその影響が。元々豚肉料理の代わりとして始まったとされる。でも高価なので、代用として、胸肉が異常発達したchesterと呼ばれるチキンがこの時期流通する。ここでもチキンで代用ね。

bacalhau ポルトガル風塩鱈料理

何故かクリスマスメニューに現れる。肉を食べない人のため。

arroz natalino クリスマス風ライス

色んなパターンがあるが、いわゆるピラフ、一般的なのがレーズンピラフ。

farofa カッサバ粉の料理

これも色んなパターンがあり、各家庭や料理人のレシピあり。七面鳥の詰め物として出てくる事が多い。

nozes e castanhas クルミと栗

ブラジルにはないので、輸入品。

salpicão ブラジル風セロリサラダ

これは当地発祥のもの。色んなパターンがあるが、基本はセロリとチキンのマヨネーズサラダ。

panetone イタリア原産のパン

ドライフルーツ入りの甘いパン。ブラジル版は欧州で流通するのより生地がしっとりしている。

rabanada フレンチトースト

クリスマスにワインと併せて食べるのはスペインの伝統と言われる。

frutas 果物

トロピカルな国にいるのに、クリスマスに限っては温帯系の果物が出される。桃、苺、イチジク、プルーン、サクランボなど。

vinho ワイン

食事の内容からは赤ワインだな。シャンパンやウイスキーなどもじゃんじゃん出ます。

bolo natalino クリスマスケーキ

ドイツのショートレンやフランスのブッシュ・ド・ノエルが伝統的なケーキ。最近は作れる人が少なくなってきた感じがする。

このメニューの伝統性・一貫性は、すべて「ヨーロッパの冬のご馳走」である事だと言えます。それもそのはず、正に冬至の食事なのです。日本にいると、その時期雪が降ったりもするのでそんなに違和感がないと思いますが、ブラジルでは反対の夏至なので雪景色のクリスマスデコレーションや防寒服着たサンタさんはいかがなものでしょうか?これらを見てると、明らかに植民地に輸入された文化であり、当地の事情・気候・旬とはまったく関係のない祭典である事がわかります。

『食事の内容は、カロリーの高い、寒さが厳しい冬の食べ物だな。当地では夏の始まりで、暑くって、海にでも行こうといった時期にどうしてこんな暑苦しい食事をしないといけないのだ?宗教がらみなの縁起物なので、そんなものだと言ってしまえば終わりだけど…』

日本でも「土用のうなぎ」といって、極暑にスタミナがつくものを食べるといった習慣もありますが、それにしてもこのメニューではカロリーオーバーでしょ。若干ブラジルで発展した内容もありますが、それもヘビーなサラダですね。このコラムの24人の読者様もブラジルのクリスマスの食事の経験がある方も多いと思いますが、翌日胸焼けしませんか?東洋医学の考え方で、食事で最も重要なのは「旬の物を楽しむ事」ですが、このメニューはそれを完璧に無視した「とんでも料理」だとこの筆者は思います。

『当地でも日本でも、クリスマスの輸入文化だけでは事足らず、最近は「ハロウィーン」が輸入されている。人が集まって楽しんだり、食事で懇談するのは良いことだと思うけど、特定の民族・宗教団体・文化などのイベントを単なる商業的目的で普及させるのはどうか。それにのせられているのはもっと残念で悲しいぞ。』

今年の年末はコロナ禍も落ち着いているので、例年の様にみんな沢山集まるのでしょうね。25日の朝にはあちこちで大破した車を見かけます。大量に飲酒するので、24日の深夜の運転は飲酒運転ばっかりで非常に危険です。ご注意ください。


註1:日本には昔は切支丹、現在はキリスト教徒がおられますが、日本人の主流ではないのでこの様な表現とします。


 

日本帰国に必要な検査証明書を発行してます。

CKA’s certificate for covid testing Japan model.

By: Helpdesk CKA

厚生労働省所定コロナ検査証明書の発行業務

現在、コロナ禍のための水際対策が政府により実施されおり、日本へ入国するためには上陸拒否や査証停止などいろんな制限があります。邦人は帰国できますが、水際対策の内の「検疫の強化」が適応されております。令和3年3月19日以降、全ての入国者(日本人を含む)は、出国前72時間以内の検査証明書を提出しなければなりません。外務省や厚生労働省は「入国時の検疫における出国前検査証明の確認を厳格化するにあたり、検査証明の有効性をめ ぐり様々なトラブルや混乱を避けるためにも、入国者には厚生労働省が指定するフォーマッ トを利用して検査証明を取得」するようにといった内容の注意喚起してます。

当地で行われる検査自体は日本国が有効と認める検体および検査方法であっても、証明書の文面が厚生労働省所定のフォーマットでなければ入国(帰国)が認められないおそれがあります。

秋山一誠診療所では当地で実施された検査結果を元に日本国所定の検査証明書を発行する業務を行ってます。ぜひご利用ください。なお、この書類の発行には出発前72時間以内に検体採取し、その後結果が出るといった時間的制限がありますので、ご利用の際は事前にご予約いただく事が必須です。


証明書のみならず、邦人が日本帰国時に対象となる水際対策に係る措置についての解説や当地での検査手段などの相談も受けております。こちらもぜひご利用ください。

その体調不良、悩んでないで相談しましょう。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Full of Colour. Japan Food. Caju©2021


2021年11月

その体調不良、悩んでないで相談しましょう。

またコロナの話です…ずっとコロナに関する話題をほとんど毎月提供してきました。今月は新型コロナウイルス感染症の後遺症や感染症に関連する疾病についてひとりごとさせていただきます。もうコロナ禍は飽き飽きですね。現時点でまだまだ世界的にワクチンが行き届いたとは言えませんが、我々の生活圏ではワクチン接種政策が功を奏してきてます。外出制限やマスク使用などが解除された国も多くあり、当地サンパウロや日本でもいろんな規制が緩和され、「さあ出かけるぞお、飲み屋行くぞお」状態になってます。

『この原稿を執筆している直前の土曜日の夜、サンパウロ市内を車で移動していたのだが、飲み屋、クラブなどが大繁盛していた。スゴイ人出!まあこの飲み屋行くぞおもコロナ関連の疾病とも言えるのでは?ワクチンの接種率が増えた、コロナ死者が減ったとは言え、サンパウロ市ではまだ自宅内以外ではマスク使用義務が適用されているし、飲み屋やイベント規制を解除した場所(国)では感染者が増えている事実があるのだが、「自分は大丈夫、もう大丈夫」と判断して出かけているのだな。これは「確証バイアス(註1)のコロナ拡大版」と言えるだろう。一種の精神疾患?』

  • 註1:確証バイアスとは自分が信じている事を裏付ける情報だけを探し、自分に不都合な情報を無視する傾向の事を表す心理学で使用される用語。

コロナ禍も間もなく2年になろうとしており、最近は各所で「新型コロナウイルス感染症後遺症外来」が設置されてます。この後遺症はまだ確定した定義が認知されていないのですが、概ねコロナ感染から4週間以上経過しても次のような症状が続く場合、後遺症と考えられます:

表1:新型コロナウイルス感染症の後遺症で現れる症状

倦怠感 味覚嗅覚異常 脱毛
睡眠障害 動悸 関節痛・筋肉痛 食欲不振
呼吸困難 思考力・集中力の低下 下痢 頭痛
発熱 立ちくらみ うつ・不安 胸焼け

これらは、コロナ関連の報道でもよく取り上げられているので、このコラムの24人の読者様も周知されていると思います。新型コロナウイルス感染症は基本的には「免疫系統かつ、循環器系統を侵す疾患」なので、全身のどこにでも症状が出てもおかしくない訳です。上の表をみてみると、器質的疾患(身体の不調、例:下痢、発熱)と心理的疾患(心の不調、例:思考力の低下、不安)に分類する事ができます。これらは実際感染症を発症して人の経過です。だから「後遺症」なのです。ブラジルだけで、COVID-19と認可された人口は現時点で2千2百万人弱、全人口の約一割です。つまり、後遺症そのものは当国の場合、この一割に起こりうる状況です。残り九割は感染が確認されていない訳です。しかし、発症した人と同じようにコロナ禍に曝されているので、いろんな体調不良が認知されるようになってます。ストレスのたまる外出規制、人との接触制限、慣れないリモートワーク、ステイホームに伴う家族のありかたやもめ事、不安が積もり続ける経済状態、見通しが不透明な仕事や学業などなど、健康を脅かす状況がてんこ盛りです。

さらに最近、「新現代病」と呼ばれる身体の不調もでてきてます。長引くコロナ禍によるもので、誰にでも現れてもおかしくない状況です。次の表に”病名”と”筆者のコメント”を表します。後遺症の他にもよく取り上げられるのがコロナ禍による「健康二次被害」です。これはステイホーム(外出控えや医療受診控え)や人との関わりが減ることで引き起こされます。この状況は免疫機能が低下させる事が判っており、免疫が関連する疾病の発症や悪化が考えられます。社会生活の減少の一番怖いのは特に高齢者の筋力低下や認知機能の低下です。さらに一番多いのは間違いなくストレスによるこころの不調でしょう(註2)。ステイホームでは飲酒の増加や運動不足のため肥満や生活習慣病の悪化が関係してます。ということで、「ステイホーム(家にいろ)」と共に、「ステイアクティブ(活動しろ)」と「ステイヘルシー(健康でいろ)」の二つのステイも提言されてます。

表2:新現代病の病名と秋山医師のコメント。

病名

秋山医師のコメント・ひとりごと

マスク皮膚炎

これは説明不要でしょ。マスク使用しなかったらおこらない。

マスク依存症

マスクが無いと落ち着かない、他人がマスクしてないと不安といった状態。

スマホ肘

肘をついてスマホを長時間使用してるからだな。

手洗い強迫性障害

手洗いに過度に過敏になり、元々強迫性障害の傾向があったら、強度に発症するのでは。

ふれあい拒否症候群

コロナの為、他人との接触恐怖だな。

デジタル時差ボケ

これもスマホなどデジタル環境と関連。深夜にスマホやパソコンをいじり、朝時差ボケする。

デジタル認知症

世の中デジタル化が進み、自身の思考力が低下するのだ。以前からあったが、コロナ禍で顕著に?

子ども腰痛

コロナ禍のための運動不足が主な原因。

ドケルバン病(註3)

スマホの使いすぎだな。註3:狭窄性腱鞘炎。手の親指を外側に動かす腱の腱鞘炎。

急性内斜視

これもスマホの使いすぎ、パソコンなどの画面を見る時間が長いなどが原因。

ドライアイ

急性内斜視と同じ原因。

近視

急性内斜視と同じ原因。

突発性難聴

ストレスで緊張し、歯ぎしりや食いしばりが原因となる事が多いようだな。

歯痛

歯ぎしりや食いしばりのため。

頭痛

マスクを使用する事で引き起こされるマスク頭痛と呼ばれるモノもある。一番危ないのはマスクのため酸素不足になる事態。よくあるのはマスクの紐がきついためおこるモノ。マスク頭痛以外では緊張で肩や側頭筋がこる事態がほとんど。

このような症状がコロナ禍と関係してる可能性があります。居酒屋に行けるまで社会活動が回復してきてますので、医療機関へも行けます。体調不良の方は悩んでいないで受診しましょう。

『ちなみに、秋山一誠診療所ではスタッフ全員(といっても3人だけですが)コロナワクチン2回接種済です。安心してご来院いただけます。』


若い人の順番がきました。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Watching A-Bomb Dome. Hiroshima. Caju©2020


2021年9月

若い人の順番がきました。

去年の8月に執筆したひとりごとには、「もう5ヶ月連続でコロナの話なのだが、またコロナの話である」事を謝ってました。で、それ以降止めたかというと、ずっとコロナに関する話題を毎月提供してきました(註1)。このコラムの24人の読者様も飽きてきたのではないかと心配してます。実際、この筆者は大分飽きてきます。診療所のホームページのコロナ現状のページも4月を最後に更新できてませんね。しかしコロナ禍は我々人生に多大な影響を起こし、実際の生活にも毎日何かおこり、ニュースが絶えません。この所、ワクチン接種が当地でも日本でも進み、現時点では18歳以下のワクチン接種が焦点になってます。この件で診療所でも問い合わせがあるので、若い世代のワクチン接種について今月は考えていきます。

  • 註1:今年の4月だけ例外、物事の選択の話でした。

サンパウロ州ではコロナワクチン接種事業が進んでおり、18歳以上人口の約98%、全人口の約75%が1回以上接種を済ませてます(2021/8/25現在)。8月中旬より18歳以下が接種対象(註2)となりました。日本と同様に、「子供には接種させない」といった発言は散見しますが、例外的と言えるほど少ないのではないかと思われます。成人以下のコロナワクチン接種はワクチン開発時期より課題に挙がっていました。今年に入りインドで初めて確認されたデルタ株が世界中で猛威を振るうようになりました。この変異株は去年出回っていたコロナウイルスとは違い、若齢層が感染・重症化しやすい。その為、できるだけ低年齢層にワクチン接種を広めるのが急務になっている訳です。

  • 註2:8月29日までは有既往歴および妊婦、30日より一般の18歳以下。

『コロナワクチン接種事業は各地で行われ、半年以上の実績が積み上げられてきた。ここまでで判明しているのは、色んな変異株がある中、各社より販売されているワクチンは感染や死亡を100%防ぐ事はできないが、明らかに重症化を防ぐ効果はあると言う事実だな。いわゆる防御率はワクチンの銘柄、人種、接種事業方法などの要因で変化があるので一律の成績ではないが、この事実は反論のしようがないでしょ。コロナ禍を終息するには大変有用な手立てである事を実証したと言える。』

ここでも以前ひとりごとしたとおり、コロナワクチンは市販までのプロセス、つまり開発や認可などは通常の方法ではおこなわれなかったため、スタート時点から疑問点が多い物でした。医学的に考察すると一番の問題点は長期的な安全性の検証が出来てない所です。それには時間がかかりますがその時間が無かったという非常に単純な理由からですね。今回初めて使用されているmRNAワクチン(ファイザー製とモデルナ製)を含め、理論的には問題無いであろうと考えられますが、理論と現実は異なる事があったりするわけです。既に一般的に流通し、有用性と安全性が検証されているワクチン(例:麻疹ワクチン)にでも疑問を唱えるワクチン反対派がいますが、それこそ検証が不十分なコロナワクチンの場合はデマやフェイクニュースの最適の標的になります。コロナ禍の場合、始まった当初より政治的、権力的、経済的、価値観的な抗争に利用されたというか、巻き込まれましたので、正しい情報を選択するのがとても難しいと思います。日本の若者の間で流通している反ワクチンの情報は次のような物があるようです(若者であるHYさんの調査です、ありがとう!):

  • 接種したら妊娠できなくなる、流産する、妊娠できにくくなる
  • 発熱が怖い、大きく腫れる、注射が痛い
  • 注射が嫌い
  • データが少なすぎる、いろいろ怪しすぎる、短時間でできたワクチンなんか信用できない
  • 遺伝子が組変わるらしい
  • 人体実験に使われている
  • 接種したら生命保険が無効になるらしい
  • アレルギーとかある人は大丈夫かわからない
  • 打っても感染したり、死亡したりする人もいる、ワクチンで死にたくない
  • 接種して死亡した人が100人以上いるらしい
  • コロナ感染してないのにワクチン打つ意味がわからない
  • 自己責任で接種を決めるのは無理

ブラジルでの反ワクチンの情報はこのような理由ではなく、どちらかと言うと、日本よりもう少し哲学的、価値観的であるように見受けられます:

  • 宗教的な理由でワクチンはなにであっても打たない
  • 人工的な物質は自分の体内には入れない
  • ワクチンは(どれでも)自閉症をおこす
  • 自己決定権があり、政府が言ってるとおりにはしない

『サンパウロ州の大人人口の殆どが(1回は)接種しているように、反対派は極少数だな。なんか日本とは対照的だなあ。ワクチン接種に対する市民の意識は社会学や公衆衛生学の研究対象になるほど、単純ではない。理由だけみると、ブラジルの方が意識高い目に見えるけど、数からいくとブラジルの場合はあまり考えないで打ってると言えるかも。ブラジル人がコロナワクチン接種する理由は冗談のような次の3っつがあるそうだ:

  1. ①ブラジル人はタダの物が好き;
  2. ②ブラジル人は他の人がやっている事が気になり、自分もしたがる;
  3. ③ブラジル人は(接種した)写真をSNSに投稿して”いいね”をもらう機会は逃さない。

これ結構本当だと思うぞ。日本人は不安ばかりが目立つなあ。』

宗教的や哲学的な理由でどうしても接種したくない方や、既往歴のため摂取できない方はともかく、ほとんどの反対理由は「説明不足」だと思います。なにが足りないかというと、

  1. ①コロナワクチンとはどういった物か、どのような工程で製造され、どのように認可されたのか
  2. ②ワクチンの利点と問題点の詳しい説明
  3. ③個人の判断で接種する場合と社会状態の判断で接種する場合の違い

ブラジルの方がこれらの説明が丁寧にされているようです。しかし、一般市民のリテラシーはあまり高くないので、これだけほとんどの人が接種しているのは、なんといってもコロナ死亡者が圧倒的に多く、必ず自分のまわりにコロナで死亡して人がいる為だと思ってます。反面、日本では副反応の怖さばかりを報道して不安をあおり、それを受けるかどうかは個人の判断であると政府は突き放すのが、これだけワクチンを受けたくないニュースが出る理由だと考えます。日本の場合は結局同調圧力で接種しているように見えます。

『「みんなが正常な生活に戻るために(ある程度リスクがあるにしても)各自ができる措置である」という説明が足りない。また、コロナ禍であるにもかかわらず、Gotoや五輪のようなイベントをして矛盾する情報を発信するからさらに判断が混乱する。医師として現時点でいえる事は、「人と接触しない」方法(密を避けるですな)が上手くいかなかった(唯一その方法が上手くいった(と言ってる)所は中国、ほんまかいな)ので、ワクチンでコロナ禍を終息するしか方法がないのでは?』

18歳以下の方の保護者は悩む所が多いと思います。確かに不安要素の多いワクチン接種かもしれませんが、一つ判明しているのは、「無症状感染でも後遺症がでる事が多い」事実です。痛いだの、熱がでるだの、といったような理由で接種しない方向の保護者はこの事実を是非考慮していただきたいです。あるいは既往歴などの考察もあると思いますので、疑問がある方はかかりつけ医に相談する事が大事です。

『人間はまだおこってない事(コロナ感染、後遺症)より、やっておこる事(痛い、発熱する)を重要視するものだ。コロナワクチンの晩期副反応のリスクがコロナ感染症のリスクより大きく見えるのだな…』


コロナ禍で頭の中がグチャグチャです。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

New Corona Virus of 2019’s Pandemia. Guaeca. Caju©2021


2021年8月

コロナ禍で頭の中がグチャグチャです。

コロナ禍も1年半を過ぎ、ワクチン接種事業もすすんで来ましたが、まだまだ終息に向かう気配はありません。当地サンパウロ市では成人の8割方が予防接種を1回以上済ませた状況のため、1年以上前より続いていた規制がかなり緩和されましたが、依然新規感染者数が減りません(註1)。ワクチン接種が成功している国や地域をみると、新規感染者は減るどころか増加が認められるが、入院数や死者数が減ってはいるので、これがワクチン接種の効果と言えるでしょう。つまり、コロナワクチンは感染を防ぐのが主作用ではなく、重症化を防ぐ効果があると言えます。接種先進国の英国は6月下旬にコロナ禍の規制を全て解除しましたが、新規感染者数は爆発的とも言えるスピードで増加してます。これをみると、新型コロナウイルス感染症をワクチン接種によっていわゆる「普通の風邪」程度に変化させる政策である事がわかります。普通の風邪だと通常の医療サービスが扱えるで医療逼迫しないというわけですね。

  • 註1:サンパウロ市に限っては入院数は減少してます

ワクチン接種が進んでないのに、とんでもない事を実施している所はこのコラムの24人の読者様も良くご存じです。先月の23日より東京五輪を開催している日本です。はっきり言って、利権・商権・政治的操作の権化と化してしまった五輪には筆者は関心がないのですが(註2)、今回は流石にコロナの為延期されてから膨大なニュースになっているので嫌でも耳に入ります。現時点での関心は緊急事態宣言下で行われているこの「ゴリ(ん)押し東京大会」がどの様に感染を拡大させるかといった疫学的・医学的なところですが、今までの経緯を見ていて連想するのが、精神科領域の「統合失調症(2002年まで精神分裂病と呼ばれていた)」です。統合失調症は深刻な精神病の一つであり、幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などの症状を示す精神疾患と定義されてます。政府や組織委員会の行いは正にこの定義に当てはまるのではないでしょうか?外出規制や飲食の規制などを呼びかける反面、五輪は全て例外で大量の人流を起こす。出来るわけのない五輪関係者に対する規制(プレーブックとかいうやつです)を発行して「安心安全」と言っている辺りは医者からみると幻覚や妄想でないの?と言わざるをえませんねえ(註3)。

  • 註2:北京大会から観てません。都合良く利用されている選手やボランティア、子供達がかわいそうです。
  • 註3:ゴリ押したIOCは反面、ブレないですね。最後まで利権を守った。分裂症状はないです。

『開催前は批判的だったマスコミもいざ始まるとなるとコロッと論調を変える辺りや「ここまで来たので応援する」と言ってる人なども分裂症状でしょ。』

もちろん組織や官公庁、マスコミなど法人の統合失調症は存在しません。しかし相反する行動をみたり要求されたり、そのような情報に曝される側にとってはストレスになります。一般的な日本人は五輪を楽しみたい反面、五輪のため感染者が増えるのが怖いといった精神状況であると思います。コロナ禍でみんな大変な思いをしているところにこのストレスの負荷です。医学的には決してよろしくないとしか言えないです。コロナ禍は人類が経験した事のない抑制的な生活、将来の不安、死への恐怖など、巨大な心理的圧力をかけてきました。そのため、次の二つの精神的障害が去年より多々診られるようになってます:①不安障害と②プロカスティネイション(procastination、和名なし)。前者は不安神経症とも呼ばれ名称のとおり、心配や恐怖を普段以上に抱いてしまい、生活に支障を起こす状態です。後者は日本語では「延期、引き延ばし、ぐずぐずする事」などと呼ばれ、「しなければならない事を翌日に延ばす(それで翌日にはまたその翌日に延ばす)」状態です。

プロカスティネイションの例をあげると、「試験勉強をしないといけないのに先延ばしにして、勉強しない」があります。「やらないといけない事」がストレスになり、ストレスを避けるためにしないのがその場では精神的防御になりますが、結局やらない事によって結果が宜しくないので、さらにストレスが増えるといった心理的な罠であると説明されます。コロナ禍の場合、自宅待機になったり、テレワークになったり、失業したりなど、思ってもいない時間ができたので、「その時間を有効利用してさらにレベルアップや今まで時間がなくて出来なかった事をする」などがコロナ禍を上手に過ごす方法だと言われました。でも、結果としては「やらないといけない事」が増えてさらにストレスが増大した訳です。それで、これらのストレスがさらに不安障害の糧となり、今度はうつ状態になったりするのです。コロナ禍では「できない」のは単に怠けているのではなく、「引き延ばし」が起こっているかもしれないし、さらに状況が悪化して「うつ状態」になっている可能性が大です。2012年4月にひとりごとしたようにうつ状態の原因は器質的疾患もありうるので、それらを判別する必要がありますが、コロナ禍で受診控えがおこり診断がついていない事も考えないといけません。

『日本では「安心安全」と言われば言われるほど、ストレスが増える。現状がそうではない事を示しているから。ブラジルでは「もう大丈夫だから規制緩和!」と言われてもまだ毎日1000人以上コロナ死亡している現状ではストレスにしかならん。』

不安障害は精神科領域ではminor disorder(軽度な障害)に分類されますが(註4)普段の生活に支障をきたします。次の表ような状況や症状がある場合は受診控えしないで医師の診断を受ける事をお薦めします。

  • 註4:因みにmajor disorder(重度な障害)は大うつ性障害、双極性感情障害、統合失調症、薬物依存症、認知症、人格障害、発達障害、等。
表:不安障害と関連や可能性がある状況や症状、受診が必要。

状況

  • 人間関係や場所や状況を避ける、注目を浴びないようにする
  • 電話に出たり、人前にでたり、他人と話しや食事したりする事ができない
  • 毎日のように不安、緊張、心配、恐怖を感じる

症状

  • 漠然とした不安や恐怖
  • イライラしたり、ちょっとした事に敏感になっている
  • 集中できない、落ち着きがない
  • 同じ事を何度も考えてしまう、同じ行為を繰り返す
  • 動悸がしたり、胸に違和感や不快感がある
  • 肩こりや頭痛がある
  • 腹部に違和感や不快感がある
  • 吐き気があったり、喉が詰まったような感じがする
  • 息切れや息苦しさがある
  • 眩暈やふらつきがある
  • 突然汗がでたり、身体の震えがでる
秋山一誠診療所©2021

 


実録会話:コロナ禍なにわ親娘

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Shouyu desu. São Paulo. Caju©2021


2021年7月

実録会話:コロナ禍なにわ親娘

 

その一 出かける

母:

コロナと言うようになっても娘は学校やお友達とのお出かけになり、毎日、毎日

マスクしてる?予備の持ってるのん?

手にはバイキンマンがいるからアルコールで消毒してから口鼻目をさわらないようにするようにしいや、

密をさけてね、

人が触ったものにはバイキンマンだからね、

アルコール持参やで、

ほら、持たされた石けんで手を洗って、

トイレもたくさんの人が使ってるから、先に手を洗ってね、トイレ済んでからもちゃんと手を洗うんやで。

自分のハンカチで手え拭きや、

外食する時もそこらを拭くんや、持ってるアルコールタオルで。

お願いやで。」

とママは言いました。

娘:

「毎日同じことを言ってるけどそんなに細かな事を言うママは世の中いてないねん!!”あんたのママ過保護やと思うんやー!”って友達からバカにされてるんやけど我慢して出かけてるんやけど毎回そんなに言ってたら念仏を唱えてるような人と同じって思わへんのかいなあ!」

と言って娘は出かけていきます。

 

その二 帰ってくる

母:

お嬢が帰って来たら

「玄関でアルコール消毒して、

マスクは玄関に置いてあるゴミ箱に捨てて、

入り口で洗濯する服を脱いで、

服を洗濯機に入れて、

洗面所で手洗いうがいして、

お風呂に入るんやで。」

「その間にもね、この家にいる人の事を考えるの。どうしたらコロナうつさんか。」

それで、お風呂あがったら

「毎日の行動を報告して、

買って来たモンには消毒するんや。」

寝る前には

「うがい歯磨きをして、

漢方薬飲んで

体調が少しおかしいと思ったらすぐに熱を測るんやからねえ。」

とママは言いました。

娘:

「帰って来てもやらなあかんことだらけやし、おまけに、行動を報告するのどこに行った、誰と一緒やったってママに報告するの面倒くさいし。言いたい事と言いたくない事とあるんや。そんなん聞いてどうにかなるんかなあ。”お土産はコロナちゃうんやでって”言うけど、持って帰りたくないんや。そんなもん気をつけてるんやけど。フェイスマスクまでママに持たされて、電車でしてたら”ハアー?”って目で見られてるんやしい。このおかん何考えたらこんな風になるんや…」

と毎回娘はこういうふうに言います。

 

その三 ステイホーム

母:

家にいる時は今度は

「換気してや、

掃除もしてや。

タオルなどは自分だけで使用やで。

トイレは2階のを使ってねえ。」

「学校はリモートでも行ってもどっちでも良いって言うからリモートにしようね。」

「食事はバランスの良い食事を摂るように考えて

ご飯は朝作っておいたのにしてや。

フルーツヨーグルトにしといたから、ちゃんと腸に良いヨーグルトとるんやで。

家でいる時は少しでも気分転換するのが大事だから、夕方に散歩したり、買い物に行ったり、自分で楽しみを考えてや。」

「一番大事な事は免疫力つけとく事だから

睡眠時間をきっちりとんの、

なんでも無理しないようにねえ。」

「それから、おじいおばあのお家行く時は2週間考えてね、絶対に守ってや。」

と娘に言い聞かせました。

娘:

「ママ仕事に行ってるから、いない時は自由にさせてもらってるんやけど。ママ帰ってくる時間に掃除とかしてたら今頃してるうって、時間いっぱいあるんちゃうの?って目で見るやん。やってくれてありがとうちゃうの?コロナになって納得できる所あるけどママの性格直していった方が今後の為やと思う所があるねええ。気をつけて生きていかなあかんでえー。」

と娘はコロナ禍で母の人生方向を見いだすのでした。

 

『コロナ禍も1年半経過し、ワクチン接種が始まったものの、全人類に到達するのはほど遠いです。この実録会話はまだまだ続きそうです。このコラムの24人の読者様はワクチン接種済まされている方もおられると思いますが、現時点ではそれで以前の生活に戻る訳ではありません。引き続き注意深く生きてくださるようお願いします。(註1)』

  • 註1:実話と全然関係ないですが、このコラムを執筆中に東京の上野動物園でパンダが2頭生まれました。筆者からの赤ちゃんパンダの名前の提案:アンシン(安心)とアンゼン(安全)。

 

漢方薬が新型コロナウイルス感染症の治療に使えます。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Castle under Pandemia. Osaka. Caju©2021


2021年6月

漢方薬が新型コロナウイルス感染症の治療に使えます。

サンパウロではコロナ感染者が減少傾向にあるようで、このコラムの24人の読者様は若干精神的なプレッシャーが低減した生活ができているのでしょうか?まあ、減少といっても、ブラジルでの1日の死者が4000人から2000人程度になっているので、半減といえば間違ってませんが、それでもブラジル型変異株が蔓延しだした1月頃の倍です。全然油断はできません。

何回もひとりごとしているように、遺伝子情報というのは複製する度に変質する可能性があります。正に遺伝子情報そのものでしかないウイルスも(註1)増殖する過程この状態がおこり、いわゆる変異株という元から変化したモノができてくる訳です(註2)。今世界中でコロナウイルスが爆発的に増殖してますので、変異する機会も爆発的に増えてます。このため、次々と変異株が現れ、それは感染者数が多い場所でおこるのですね。この状況は増殖の回数が減らないと終息しません。

ブラジルは意外にも世界的にみてワクチン接種が進んでるので、世の中は「自分はワクチン受けたからもう普通の生活になるんだ」みたいな雰囲気も見られる。でも、2回接種が済んだのは人口の1割強程度ではまだまだウイルスが蔓延した状態でしょ。また、世界で流通しているコロナワクチン総量の75%がたった10ヶ国に集中している現状をみると、コロナ禍はまだまだ続くと考えるのが妥当ではないですかね?(註3)』

従って、コロナ感染症(COVID-19)の対応はこれからも必要です。先月から治療薬についてのひとりごとをしており、今月は「既に承認されているがあまり話題に話題に上がらない治療薬」、漢方薬に焦点をあててみます。なぜ既に承認されているか簡単に説明すると、COVID-19の症状の一つである発熱は「急性の熱性の疾患」にあたり、適用になるからです。感染症の対策や治療は人類史においていつも重要な事項であった事は疑いがないでしょう。医療の発展の過程で感染症は常に大きな存在であり、これは西洋医学でも東洋医学でも同じだと言えます。東洋医学の場合、2000年前に書かれ現在でも東洋医学を理解するのに重要な「黄帝内径」に疫病に対する対策が記載されてます。一つは身体の気を充実させ、外因性の病原体の侵入に対抗する、もう一つが感染源を回避する、です。

『後者は正に現在のコロナ感染防疫の三つの柱、密を避ける・手洗いと消毒・マスク使用、じゃあないですか!2000年前にはもう書いてあったのだ。』

「気の充実」または「気を増す」事は現代語で言うと生体防御機能を増す事を示します。言うまでも無く、十分な睡眠と休息、正しい食事、適度な運動、ストレスの少ない生活により、各自が持っている防御機能を維持する事から始まります(註4)。この防御機能とは免疫機能とも言い換えられます。既に科学的な研究で判明している漢方薬の作用機序の一つに免疫活性化物質であるサイトカインの一種のインターフェロンαが漢方補剤を摂取することによって産生しやすくなる結果があります。補剤と分類される漢方薬を使用する事で、免疫機能を高める事ができる訳です。このタイプの漢方薬はまだ感染がおこっていない状況、つまり予防に役立ちます。

  • 註4:意外とこれらが忘れがちで、薬やサプリを外部から取り入れて防御機能を維持しようとする事が多いのでは?例えば、正しい食事をしていれば、青汁ドリンクなど購入して摂らなくても良いでしょ?

一端感染症が発症して症状がでると治療用の漢方薬が有用です。COVID-19は重症化しないのが最重要事項なので、感染徴候を見逃さないのが大事です。漢方医学ではいわゆる正常から外れたら治療可能なので、ちょっとした自覚症状でもアプローチできます(註5)。広義でいえば、COVID-19は風邪の一種なので(註6、7)、一般的に風邪の治療に使用される漢方薬が有効です。

  • 註5:反面、西洋医学では検査などで数値や画像の異常がないと診断がつかない。
  • 註6:風邪の正式名称は「風邪症候群かぜしょうこうぐん」であり、上気道(鼻腔、咽頭)におこる感染症で原因微生物の9割方はウイルスです。ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが主ですが、200種類以上あるので、あるウイルスに感染し免疫ができても何回も風邪をひくのです。インフルエンザウイルス感染症も厳密に言えば風邪の一種ですが、症状が強いのと致死率が高いので”流行性感冒”と呼ばれ、別扱いされます。
  • 註7:ヒトに風邪をおこすコロナウイルスが既に存在するので、「COVID-19はただの風邪だ」といった発言が出るのですな。

『感染症の臨床経過は体内に入ったウイルスの増殖スピードと生体防御機能の競争でどちらが優位になるかに左右される。重篤化すると圧倒的に致死率が高くなるCOVID-19はとにかく軽症患者を重症化させない事に尽きる。』

漢方薬の処方は先月のひとりごとで示した、西洋医学の「診断名と治療薬の縛りがない」かわり、個々の体質、状態、状況により判断されるので、ここでは「なになに湯」や「なんたら散」を服用したらコロナ対策に良いとは書きません(註8)。つまり、個別の診断が重要です。診察を受けてください。

  • 註8:いろんなメディアに登場して有名な「清肺排毒湯」がありますが、感染症初期の漢方薬ではありませんのでご注意ください。

『予防や治療以外にCOVID-19関連疾患では、「COVID-19後遺症」や「コロナ禍の生活の不安や恐怖」の診療にも有用です。』


どうして新型コロナウイルス感染症の治療薬って無いの?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Black wall and exaust. Osaka. Caju©2019.


2021年5月

どうして新型コロナウイルス感染症の治療薬って無いの?

ブラジルでは新型コロナウイルス感染症の第二波の真っ只中ですが、このコラムの24人の読者様、皆さんお揃いですか?昨今の感染症で亡くなった方はおられないことを祈ってます。今月も去年から続いているコロナのひとりごとです。当地の第二波は感染者・死亡者ともに去年より多く、あまり見られなかった若齢層の発症と重症化が特徴です。この原稿を書いている4月下旬では一日の死者が3100人強で推移しており、その数字は「若干減少してきているのでよかった」と言った論調です。まあ、先月(2021年4月)は4000人死亡までいったので、減った事は減ったのですけどね。数ヶ月前までは「死者また1000人を超えた!」で騒いでいたので、人間、慣れって怖いです。1年前と今との違いは、ワクチン接種が行われているのとウイルスが変異株に置き換わっているところですが、変わらないのが決定的な治療薬がない感染症だと言えるのではないでしょうか?

『実際の生活をしていると、軽症の場合コロナにかかっても効く治療薬はないので、対処療法になるか、放置されるかになる事が多いのではないのか?後者は日本の場合だな、診てくれるとされているお役所(保健所)がパンク状態だから。でも実は”コロナ治療薬”はあるのだな、大きく分けて、三種類。まず、現時点で承認されている物がある。デキサメタゾンやレムデシビルなどでこれらは入院患者の重篤化に使用される治療薬なので、ほとんどが軽症の実状の生活にはあまり関係がない。次に承認されていないが治療薬として使える物、例えば最近日本のメディアでもよく載るイベルメクチンがこの分類に入る。そして実は既に承認されているが、あまり話題にあがらない物、日本では正規の医療に使用される漢方製剤があるのだ。』

何故新型の疾病に対して治療薬がない、あるいは少ないのは現在主流のいわゆる西洋医学の一番大きな特徴の為です。曰く、西洋医学の治療は次の様に決まります:

ヒトが発熱とか痛みとかの症状がある→診察と検査をする→診断が確定(推定)する→確定または推定された疾患名と関連する薬物(あるいは外科措置)などで治療方針を決定→治療をする

つまり、疾患名を確定しないと、その疾患に効果がある治療ができません。あるいは、疾患名が確定しても、その疾患に効果がある薬物や措置が存在しないと治療ができないといった制限があるわけです。診断が確定しない時や効果のあるモノが無い時はこの流れが最後の治療まで行き着かないので、そういった場合は対処療法しかできません。診断が確定しないのはそれまで未知の疾患であるか、検査方法が確立してないかのどちらかです。では確定した場合のそれに効果がある薬物(外科的や理学的な措置もありますが、ここでは薬物として考えます)はどの様に検証するかというと、コロナ禍で一躍有名になっている「治験」によって行われます。基礎研究や動物実験を経てヒトに”薬の候補”を使用して効果や安全性、投与量や投与方法などを確認する作業が「治療の臨床試験」略して治験と呼ばれます。この確認作業はいろんな方法があるのですが、医学の世界で一番良しとされているのが「double blind radomized (clinical) trial 二重盲検無作為比較試験」という試験のやり方です。

『いろいろ条件などもあるのだがすごく簡単に言うと、試験に参加する患者を抽選で二つのグループに分け、投与する医師も服用する患者もどんな薬(試験薬か偽薬)を投与/服用するのか一切知らずにすすめる方法だな。つまり、最後にならないと、誰が何を服用して効果があったかわからないので、”治療薬を使用して良くなった”といったような暗示、つまり主観的な判定を減らす方法とされている。二重盲検無作為比較試験は是非があるのだが、できるだけ万人に効果がある薬を求める西洋医学の考え方に沿っているので、この方法以外では治療薬の評価が有効でないと考える医者がほとんどである。モノによってはこの試験方法が一番よい訳ではないけど、一種の宗教的盲信だな。』

治験の結果は統計学的に解析されます。それで、統計学的に有意な結果がでるには検定力という概念、簡単にいうとある程度の数が必要です。例えば、「効果が半数にある」という結果があるとします。2人に試験して、1人に効果が現れるのと、1万人に試験して5000人に効果が現れるのでは同じ半数ですが後者の方が信憑性がありますね。つまり検定力がないと、「統計学的に有意差が認められない」といった状況になり、治験が成立しません。まさにこの状態に陥っているのが、日本の抗ウイルス剤アビガン(ファビピラビル)です。日本ではコロナ患者が欧米やインド、ブラジルなどと比べ少ないので”数”が足りないので評価できないという事になってます。

『しかし、現在のコロナ禍は衛生上の緊急事態なのだな。なので、悠長に普段のとおりの事前審査や治験申請をある程度割愛し、「緊急使用許可」といった方法をとらないとコロナの治療薬やワクチン等の開発には5年10年かかる。実は今ブラジルやヨーロッパで使用されているワクチンはファイザー製を除き、どれも緊急使用許可薬なのだな。つまり、「緊急事態だから使えますが、恒久的承認ではないですよ」といったものなのだ。日本は折角アビガンや大阪大のDNAワクチンなどがあるのに普段のとおりの審査をやっているからそれらは世に出ないのだ。』

“折角日本の”といえば、コロナ治療薬として非常に高い可能性をもっている薬物がイベルメクチンです。寄生虫の駆虫剤であり、この薬品の開発で日本の研究者大村智先生がノーベル賞を受賞されてますね。イベルメクチンはウイルスの増殖を阻害する効果があるのが知られており、ブラジルを含め、去年より世界各地で試験されて(27カ国で44研究)有効性がある事が示されている。予防、早期治療、死亡率の低下に効果が認められてます。しかし、疑問が多い研究結果が有力医学誌に発表され、それを元に否定的な意見をする医師や団体が多く、何よりも開発した製薬会社が否定的であるのが目を引きます。製造元のメルクによると新型コロナに対してイベルメクチンは安全性と有効性がないと言っているのです。この薬は主に中南米やアフリカで河川盲目症と呼ばれる寄生虫症やシラミの治療に億単位の数の錠剤が使用された実績があり、さほど副作用が出ない安全な薬と位置つけられていたのが、コロナには安全ではない事になったのですかね?

大村先生の話によると、コロナ禍が始まり、製造元のメルクにイベルメクチンをコロナ治療薬に承認させようと持ちかけたところ断られたそうだ。メルクを含め、各製薬会社は治療薬の開発に躍起になっているが、どれも抗ウイルス剤や抗体医薬などの方向だ(註1)。イベルメクチンは安い薬だな。1回の治療が20〜30万円する抗ウイルス剤や抗体医薬を開発している製薬会社はイベルメクチンでコロナが治ってしまったら困る訳だ。どうやらその辺りの経済的理由でイベルメクチンやコルヒチン、ヒドロキシクロロキンなど安価な薬品をつぶしにかかっている、そのように思う。』

  • 註1:2021年4月時点で新型コロナウイルス感染症治療薬として承認されている薬物:デキサメタゾン(ステロイド系消炎剤、免疫抑制剤)、レムデジビル(抗ウイルス剤)、バリシチニブ(抗体医薬)、Regn-Cov2(カシリビマブ+イムデビマブ)(抗体医薬)、ケブラザ(抗体医薬)。

ブラジルでは医師の自主性を医業の基本と位置つけるので、患者の利益になるのであれば、医師が責任をとり患者の同意があれば非承認の薬でも使用できます(自費診療の場合)。そういった意味では、日本でコロナに罹患するより、当地でしたほうが治療の範囲が大きいと言えます。但し、当地の巷で流通しているkit covidキッチ・コビージなるものは絶対に勝手に服用しないでください。コロナに効くだろうとイベルメクチンを含め色んな薬で構成されたキットで、それぞれは危険な薬ではないのですが、大量かつ併用するため下手すると重篤な肝障害を起こします。素人がコロナパニックで手当たり次第服用し、良からぬ副反応が現出し折角の有用な薬物を否定的な効果にもっていて大変残念です。そして実は既に承認されているが、あまり話題にあがらない物、日本では正規の医療に使用される漢方製剤は来月のひとりごとで展開しますのでまたお付き合いいただけたら幸いです。


童話:癌が良い?抗癌剤が良い? 

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Other World. São Paulo. Caju©2017


2021年4月

童話:癌が良い?抗癌剤が良い?

 

むかしむかし、ある所にヒトがいました。

普通の所で、普通の生活をする、普通の人でした。

普通の所とは、他の人もいっぱいいる街でした。

普通の生活とは、皆と同じように朝起きて、朝ご飯ぬいて、仕事行って、お昼ご飯は外食して、夜はお酒飲んで帰る毎日でした。

普通の人とは、平均的な身長、平均的な体重、平均的な嗜好、平均的な思考、平均的な志向、平均的な学歴をもつヒューマンでした。

黒い板が言いました。「これ食べたら甘くて美味しいよ。」ヒトは食べてみたら美味しくて、とても好きになりました。

違う黒い板が言いました。「これ甘くて、油っぽくてもっと美味しいよ。」ヒトはそちらも食べてみたら、もっと美味しくて虜になりました。

また違う黒い板が言いました。「こちらは、肉汁と脂がいっぱい出て、信じられない美味しさよ。」一回目に食べた時は胃にもたれたのだけど、ヒトは口を通過していく時の美味しさが忘れられなくなりました。

さらに違う黒い板が言いました。「美味しいだけではなく、直ぐに食べられますよ。あっという間!」ヒトはなんと便利だと喜んで生活に取り入れました。

街を歩いていると、大きな絵画に出会いました。絵は綺麗な人が口から煙り吐いてます。ヒトは思いました。「自分も煙吐いたら、綺麗になるんだ。」煙吐く習慣も採用する事にしました。でも、そのうち、大きな絵画の綺麗な人がなにやら見たことのない装置を手に持つようになりました。よく観察すると、絵画に字が書いてあります。「煙吐くの身体に悪いよ。こちらの装置は同じ効果で健康的です!」ヒトは身体に悪いモノは嫌なので、早速いわれた装置に変えました。

白い箱が言いました。「歩いたり、動いたりするの、面倒でしょ?この中で分身を作ってあげるから、分身が歩いたり動いたりしてあげます。」ヒトは考えました。「分身が動いてくれて同じ生活ができるのであれば、絶対便利だぞ。」それで、歩いたり動いたりは白い箱の中の分身にまかせる事にしました。

別の白い箱が言いました。「あなたの個人情報や生活風景を言ってもらえたら、世界中の人に発信してあげます。世界中の人とつながれますよ!」ヒトは考えました。「自分の事を教えたら、世界中の人とつながるんだ。これは便利、自分の情報なんてお安いもんだ。」それで色色白い箱に教えてあげました。

黒い板が言いました。「これ飲んだら、気持ちよくなりますよ。カッコ良いし。」ヒトは気持ち良いのは好きなので、飲んでみました。なんととても気持ちよくなれるじゃないですか!ヒトは毎日飲むようになりました。夜もよく寝られるし。それにカッコ良いし、言う事なし。

そんなこんなで、美味しく、便利で、世界中の人とつながり、ヒトは楽しく生活をしていました。まあ、体重が増えて身体が丸くなってきていたのですが、周りをみると、皆同じような感じだし、体調も春に鼻がグズグズするくらいで、別に問題はありません。幸せです。チョー幸せです。

仕事で予防が大事と言われたので、色色検査をする事になりました。ヒトは自分は幸せな生活をしているので、全部大丈夫と安心して検査しました。何日か経って、検査をした病院へ出向くと、結果が発表されました。なんと。癌の診断です!ヒトはびっくりしました。「えー?良いと言われた事を全部した生活してるし、体調も悪くないのに。ウソでしょ?」初めは誰でも、嫌な事実には疑いにかかります。でも、診断は正しく、ジタバタしても、結果は変わりません。そこで、癌の治療をする事になりました。抗癌剤を使った治療です。

ヒトは抗癌剤治療を始めました。病院へ行って、体内に薬を注射する治療です。一回目が終わった時にヒトは思いました。「なんだ、しんどいとか聞いていたけど、全然大丈夫じゃない。これだったら楽勝楽勝。」

二回目、三回目と回数を重ねていきます。

始めは大した事ないと思っていたヒト。段々しんどくなってきます。吐き気はするし、眩暈はするし、不整脈がでるし… 皮膚は痒いし、頭髪はぬけるし… 食欲はでないし、倦怠感もひどいです。とうとう仕事に行くことが困難になりました。ヒトは嘆きます。「抗癌剤だけじゃないじゃない!はき止めはいるし、降圧剤もいるし、不整脈治療薬もいるし、かゆみ止めもいる。」薬だらけ。それで、今度は抗癌剤の副作用を抑える薬の副作用もでてきました。

ヒトはいつものとおり、白い箱の中の世界中につながっている人達の情報をみてみました。みんな元気で、綺麗で、格好良くって、抗癌剤でヒーヒー言って、禿げている自分が惨めになりました。ヒトは嘆きます。「えー。元気だったのに。幸せに生活してたのに。なんでこんな目に遭わないといけないんだあ。」

でも、癌は治療の効果もあり、小さくなり、その内見えなくなりました。喜んだヒト、幸せな生活に戻ります。「いつもやってきた事をするのが大事だと言われてるし。」抗癌剤は止めです。

『で、ここで、普通の童話であれば、「治ったヒトはいつまでも幸せに暮らしました。チャンチャン。」なのだが、相手は癌なのでそうは問屋がおろさない。』

幸せな生活をしてたら、また癌が再発しました。再発なので、初回より悪質の癌だと言う事です。ここでヒトは選択を迫られます。

-もっと苦しいキツい抗癌剤を使った治療をするか。キツいので死ぬかもしれません。

-治療せず癌を進行させて、その内多分苦しんで死んでいく。

どっちも苦しい。どっちも死ぬかも。

さあ、ヒトはどちらを選択したのでしょう?

『どちらもいやですねえ。このコラムの24人の読者様はどうされます?キツい選択ですね。どちらも嫌です。一番良い答えは、ここまで行かない、つまり、癌にならない、でしょう。癌の発生要因は生活だけではないのですが、癌になりやすい生活というものは判明してきてます(註1)。コロナ禍で癌の話をするのもなんですが、今医療が逼迫してますから、癌だけではなく、入院のお世話になるような疾病は現在診てもらえない可能性が高いので、できる限りさけるにこしたことはないと思います。』

  • 註1:日本の国立ガン研究所に色色記載があります:https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

 

新型コロナウィルス感染:ブラジル・サンパウロの現状と対策

By: Kazusei Akiyama, M.D., Ph.D.

新型コロナウィルス感染:ブラジル・サンパウロの現状と対策

文責 医学博士(疫学)秋山一誠

2021年4月01日更新

サンパウロだけではなくブラジルでは、今、「どうしたらコロナに感染しないか」から「コロナに感染したらどうのように対処するか」「コロナ感染を最小限にやり過ごす方法」を考えないといけなくなったと思います。

Waterfowl and man. Osaka. Caju©2021

2021年3月26日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

    感染者:12.407.323人(その内サンパウロ州、19.1%)

    死亡者:307.326人(世界の11%;その内サンパウロ州、22.6%)

    ワクチン接種数:1.656万人が1回以上接種

ブラジルは現在去年より激しい新型コロナウイルス感染第二波の真っ只中です。次のグラフはコロナ禍開始からの死亡者数を表し、明らかに2波が認められます。

Sars-cov2 Death in Brazil.

死者数は10日前より週平均一日2000人以上を記録しており、本日は3600人に達したと報道されてます。

サンパウロ州は3月15日より次の図が示すように規制緩和全部後戻り状態で現在「緊急フェーズ」と呼ばれてます。また、サンパウロ州の緊急事態宣言は4月18日まで延期すると本日発表されました。

Fase Emergencial. Data as of March 11, 2021.

サンパウロ州全域でコロナ病床使用率が10割近くになっており、コロナ関連以外でも緊急入院が困難になってきている状態です。選択的手術や入院は中止になってます。都市封鎖を実施する行政府も複数あります。サンパウロ市では人出を規制する措置として、今年と来年の祝日をかき集め、今日26日より10連休になります。また、3/15日より、夜間(8時〜5時)外出禁止令が発令されてます。

この状況は、去年の年末年始の外出・夏季休暇の移動がアマゾンから始まった変異株の全国拡散が重なった結果と考えられます。

サンパウロで1月17日に始まった予防接種は90歳以上の高齢者から順次接種が進み、今日現在69歳以上が対象になってます。サンパウロ州の接種数は547,4万回、中国シノバック系のコロナバックと英国アストラゼネカ系のオックスフォードが使用されてます。サンパウロのブタンタン研究所が中国産原料を用いたコロナバックを製造してますが、来月より完全国産のワクチン(名称ブタンバック)の臨床試験に入ります。

ワクチン接種をしてもまだ安心できる状況ではありませんが、接種していない所よりは良いと考えます。

サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかないと考えます。

新型コロナウイルス感染症は発症した場合、初動が重要です。当院は連休中でもコロナ対応してますので、少しでも症状や疑いがある場合、至急受診してください。

秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的でオンライン診療を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。

また、疫学の知識を駆使した、新型コロナウイルス感染症が心配なブラジルの毎日に対応する医療アシスト「コロナ禍対応ホッとライン」を開発しましたのでご利用ください。

  • 秋山一誠診療所  ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
  • SMS +55-11-98135-8205
  • 電話 11-3885-0788
  • 電子メール consult@akiyama.med.br
Tamae Bridge. Osaka. Caju©2021

新型コロナウィルス感染:ブラジル・サンパウロの現状と対策

文責 医学博士(予防医学)秋山一誠

2021年1月24日更新

サンパウロ州では再度コロナ感染拡大が増加しています。22日に発表された緩和地図は次のように黄色フェーズの地域がなくなりました。

サンパウロ州の規制緩和マップ:2021年1月22日の状況。出典:サンパウロ州政府。

入院状況も逼迫してきているため、次の措置が少なくとも2月8日までとられる事になりました。規制強化の発出は25日からです。

  • 緊急でない手術の中止。
  • サンパウロ州でコロナ専用病床を750庄設置。
  • 夜間(8時〜6時)の外出規制。
  • 週末の外出規制、公園の閉鎖、イベントの禁止。
  • 2月より予定されていた登校の中止。

以上のように、サンパウロは全体的に規制が強化されましたので、特に外出に関しては注意が必要です。

2021年1月20日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

    感染者:8.511.770人(その内サンパウロ州、19.8%)

    死亡者:210.299人(世界の10.2%;その内サンパウロ州、23.8%)

前回の”現状”より9週間の間にブラジル全体では感染者が1.45倍、死亡者が1.27倍になっており、感染が再度拡大している状況です。サンパウロ州政府は、これを「第2波」と呼んでます。世界の死亡者の1/7から1/10くらいになったのは、ブラジルが減っているというわけではなく、他の地域で増えているからという事になり、世界的にもコロナウイルス感染症が収束に向かう方向に無い事が示されております。

サンパウロはほとんど全域で感染拡大状況が悪化しています。図はサンパウロ州政府が去る15日に発表した緩和状況です。12月には一地方を除き、フェーズ3の黄色であったのが年があけてからは大半がフェーズが後退してます。サンパウロ市はまだ黄色ですが、屋内で25人以上の会合は禁止になりました。サンパウロ州で覧られるのは、地方(田舎)では大規模や小規模の会合、特にパーティーの開催が恒常的になってきており、そこで感染した青年・中年が自宅に持ち帰り、高齢者に伝染しているパターンのようです。

サンパウロ州のコロナウイルス規制緩和の推移:2020年12月〜2021年1月15日。出典:サンパウロ州政府発表資料。

ブラジル全体も拡大していますが、同じようなパターンとは言えません。特にアマゾン地方のマナウス市が再度医療崩壊するレベルの感染拡大がおこっており、これは年末年始に発見された感染力が従来より強い新型コロナウイルスの変異種のためであろうと考えられます。マナウスの医療状態は最悪になっており、人工呼吸器につなぐ酸素の供給が不足し、そのため入院しても死亡するケースが多数でてます。変異種は現時点ではアマゾン州のみで確認されてますが、医療崩壊の緊急措置として、マナウスで治療できない患者を州外に”輸出”してますので、他の地域にアマゾン型のコロナウイルスの変異種が伝染するのは時間の問題と考えられます。

ヨーロッパでも11月〜12月にイギリス型のコロナウイルスの変異種のため感染拡大しており、そのためブラジル政府は12月末より、ブラジルに外国人の入国を禁止しました。入国可能な本国人や入国できる外国人(永住権を持っているなど、条件あり)全員にブラジル到着航空便に搭乗の際、搭乗72時間以内に実施されたPCR検査陰性を要求するようになりました。ブラジルでは帰国後の隔離はなかったのですが、イギリスより帰国した人は2週間の隔離が要請されるようになりました。

ブラジル全体のコロナ関連患者・死者の1/4〜1/5を出しているサンパウロ州はかなり早い段階でワクチン接種の政策を決めており、不活性ウイルスワクチンである中国製のコロナバックの手配を進めてきました。政争の道具にされるなどの紆余曲折がありましたが、このワクチンが認可された1月17日より接種を始めました。現時点では、医療従事者と原住民族に接種し、次に高齢者が対象となり、その次に既往歴がある市民が対象と発表されてます。しかし、インドでオックスフォード大学・アストラゼネカ系のワクチンを購入を予定していたブラジル連邦政府が購入の遅延のため、サンパウロのコロナバックを一部差し押さえたので、ワクチンが足りない可能性が出てきてます。いずれにしてもワクチンが一般市民に行き渡るには時間がかかると考えるのが妥当です。

サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかないと考えます。

Super Moon. São Paulo. Caju©2020

2020年11月15日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

  • 感染者:5.851.239人(その内サンパウロ州、19.9%)
  • 死亡者:165.696人(世界の12.6%;その内サンパウロ州、24.5%)

前回の”現状”から1ヶ月半経ちました。その間に、世界ではコロナ禍が収まる兆しは全然無く、ヨーロッパや北米では再度感染拡大のため、ロックダウンする所もあり、日本でも第3波到来とか言われてます。ブラジルでは死者がこの間に2万人増え、16.5万人、サンパウロ州では2日前に4万人を超しました。8月頃にはブラジルでは1日平均(週の1日平均=1週間の死亡数を7で割った数字)のコロナ死亡が1200人程度でしたが、最近は300人強まで減ってきています。減ったとは言え、大変大きな数字です。日本が10ヶ月に積み上げた死亡者数はブラジルの1週間より少ないです。

しかし、11月に入り、サンパウロ市では富裕層に感染拡大が認められます。下記前回の図にあるように、9月下旬から富裕層の多い地区で死亡増加の傾向でしたが、次のような具体的な事実が最近認められます。まず、自費や高級医療保険を扱う検査機関でPCR検査の実施が増えてます。直近2週間で実施検査数が3割ほど増え、検査機関によりますが、結果の陽性率も20%から29%や8%から15%など、陽性率が一番低かった10月下旬に比べ、確実に陽性の検査が増えてます。さらに、富裕層が利用する病院でコロナ入院が増えており、需要の減少で閉鎖していたコロナ病棟やコロナICUを再開するか複数の病院で検討に入ったようです。

先月はサンパウロ州政府が導入を進めている中国製のコロナウィルスワクチン(コロナバック)を巡って連邦政府と州政府が対立し、政争がひどくなった月でもありますした。サンパウロ州政府は州の市民全員に接種を義務つけるといったような発表もしており、安全性が疑問になったり、中国製であることが嫌われたり、強制接種反対論がでたりと、ワクチン導入にまだまだ課題がある事が明らかになってます。そして、先週、コロナバックの臨床試験に参加している被験者が死亡したとの事で、連邦政府の当局が治験の中断を命じ、混乱に輪がかかった状態です(治験中断は数日後解除されてます)。連邦政府もイギリスのオックスフォード大系のワクチンの購入を発表しており、ワクチン政策がどの様になるのか現時点で不明な点が多々あります。

 サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかありません

Rain drops. Hyogo. Caju©2020

2020年10月02日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

  • 感染者:4.882.231人(その内サンパウロ州、20.5%)
  • 死亡者:145.431人(世界の14%強;その内サンパウロ州、24.6%)

現時点で新型コロナ禍が9ヶ月を過ぎました。死者は世界で100万人を超し、ラテンアメリカでは35万人、ブラジルでは14.5万人、サンパウロ州では3.6万人に迫ってます。インドが感染者数で世界2位で移行してますが、ブラジルは依然として死者数で2位です。8月上旬までの1日平均死者数1000〜1200人から600〜700人へ減ったとは言え、高い数字をキープしてます。まだまだブラジルの内陸部の地方へ感染が拡大している状況です。サンパウロ州では州全域の645の市町村で感染者が認められますが、6月1日から始まった規制緩和は5段階の3段階まで進み、学校を除き、ほとんどの業種が制限があるも、稼働しています。

サンパウロ州政府は州の住民全員にワクチン接種をすると発表してます。また、接種が始まるまでは緊急事態宣言を解除しない方針です。本日、国の認可当局(ANVISA、国家衛生監督局)にサンパウロで共同開発が進められている中国産ワクチンの認可申請が手続きされました。州知事によると、12月中旬に接種を開始するとの事です。ブラジルでも臨床試験が実施されているオックスフォード大系のワクチンは9月上旬に副作用疑いが出たため、治験が一時停止され、開発が遅れたのでこのサンパウロのワクチンが世界で一番始めに一般の人口にワクチンを大量接種する事になる可能性が高いです。

8月末と9月上旬に大挙して人の外出があり、9月下旬で感染状況が増えなければ集団免疫の獲得が認められるのではないかと先月ここで書きました。残念な事に、拡大の抑制はなかったのでサンパウロでは集団免疫の獲得があったとは言えません。サンパウロ市の統計では、9月下旬には市の96区の内、79区で新型コロナの死亡が減少している事がわかり、感染が減少方向に向かっている模様ですが、富裕層の多い区で増加傾向となってます(図)。この現象は①8月下旬から海や山などへの外出が増えたため、②営業規制緩和で飲食関連が店内で営業できるようになり外食するようになったため、③感染者が減ってきたので自宅で会食やパーティーをするようになったため、④元々富裕層が多い地区では高齢者が多いため、と説明されてます。

図。茶色へ色が濃くなるほど死亡率の増加が認められる。

サンパウロ市の直近25日間の新型コロナ死亡率の推移。サンパウロ市保健局統計。2020年9月24日現在。

サンパウロ在住の邦人は統計的に富裕層に入りますので、現時点では周りで感染が拡大している事になります。引き続き自衛するしかありません

 
Feira livre. São Paulo. Caju©2019

2020年9月07日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

  • 感染者:4.137.722人(その内サンパウロ州、20.7%)
  • 死亡者:126.686人(世界の14%強;その内サンパウロ州、24.7%)

筆者がコロナ疲れでこのページを更新せず2ヶ月経ってしまっている間に、数字が3倍くらいになってます。メキシコやペルー、チリやコロンビアなども感染者が多く、米国も依然1位なので現時点では米州全体が新型コロナウイルスの流行地と言えます。ブラジルの死亡者数は以前と同じ2位で、まだまだ内陸部の地方に伝播している状況なので、死者が多いです。最近インドに急速に感染が拡大、感染者数2位に上がってきました。

ブラジル全体の数字では8月中旬頃まで、新型コロナウイルス死者が9週間連続で1日平均1000人を超えていましたが、このところ800人台に減少してます。サンパウロ州においては4週間前より新規感染者の拡大が止まり、州の645自治体の95%でコロナ規制緩和策5段階の内、3段階になってます。この段階になると、立席以外のイベントも開催できるようになり、商業は例外なく営業できます(入店などの規制あり)。今週より、一部登校が可能になります。

サンパウロ市では感染が減少に転じてます。今週中にアニェンビー国際展示場に設置されている野戦病院が閉鎖される予定で、市内に4ヶ所あった内、一番大きな野戦病院が役割を終える事になります。また、市内で実施された疫学調査では、市内人口の19.7%が既に新型コロナウイルスに対する抗体を保有しているとの研究結果が発表されてます。

ブラジルは感染者の数が多いので、米国とともに格好のワクチン治験をする環境にあります。現在4種類のワクチンの最終段階の治験が行われており、ブラジル連邦政府はすべての国民がワクチン接種できるよう法整備を終えました。国自体はイギリスオックスフォード大学系のワクチンを1億回分確保したと発表してます。サンパウロ州は中国シノヴァック製のワクチンを1.2億回分確保して、12月には接種開始の予定と発表してます。

この様に、サンパウロではコロナ感染の拡大が止まったデータが多方面から認められますが、感染がなくなった訳ではありません。現在ブラジル独立記念の三連休中で、お天気が良いので海や田舎の行楽地へ大挙して押しかけており、規制どこ吹く風の状況で「市民がコロナ隔離の終わりを布告した」と言った見だしが付くニュースになってます。9月下旬の感染状況で、拡大が見られなければ、集団免疫が獲得されたと考えてもよい可能性があります。それまでは反対に油断できないと考えます。

Matsubagani. Kinosaki. Caju©2018

2020年6月27日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):

  • 感染者:1.314.000人(その内サンパウロ州、約20%)
  • 死亡者:57.070人(その内サンパウロ州、約25%)

新型コロナウイルス感染拡大は現在北南米、中東、インドで拡大してます。ブラジルもその一員で拡大中です。現在感染者数、死亡者数ともに世界2位です。感染者数の2位は5月22日に、死亡者数の2位は6月12日に達してます。1ヶ月で死者数が2.2倍になってます。大都市部では安定、一部減少に入ってますが、内陸部へ感染拡大してます。人口あたりの死亡者数でみると、ブラジルは世界12位あたりで、米国より少なく、カナダ程度の成績なのである程度医療が持ちこたえているのではないかと考えられます。

しかし、感染拡大中にサンパウロ州とサンパウロ市どちらも外出規制緩和を始めたので、人出が増えてます。6月初めには小売り業などが時間制限四時間で営業可能になりました。さらに7月6日より次の緩和段階(3段階目)に入り、飲食と美容・理容が解禁されます。サンパウロ市のパカエンブ球場に設置された野戦病院は撤去されるくらい当市は安定期に入ってますが、高止まりなので、感染者数は少なくありません。サンパウロ市では近く第二波の可能性があり、その確立が高まっていると言えるでしょう。

連邦と州と市の行政の足並みが、死者5万人越しても、揃わないので、社会全体参加型の予防は期待できないと思います。感染者が多い状態で人出が増えるので、「今までになく注意し、自衛していくしかない」としか言えません。

引き続き不要不急の外出は避け、特に会食;外出する場合はマスクを着用し、マスクしない人とは接触しない;人と会話する場合はマスク着用する生活を心がけるのが重要です。

秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的でオンライン診療を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。

  • 秋山一誠診療所  ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
  • SMS +55-11-98135-8205
  • 電話 11-3885-0788
  • 電子メール consult@akiyama.med.br
Maria-farinha (Ocypode quadrata). Una. Caju©2003

2020年5月28日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:418.608人(その内サンパウロ州、約22%)
  • 死亡者:25.935人(その内サンパウロ州、約26%)
  • ブラジルで医療崩壊状態(ICU病床使用率90%以上)の州:AP、MA、AC、PE。

死亡者は前回の更新(5/02)より3.78倍増加してます。ブラジルでは現在感染者数が世界2位で、拡大スピードが一番速い状況です。始めに一番死者が多く出たイタリアでも死者数が倍増するには2ヶ月かかりましたが、当地では2週間で倍増してます。反面、感染者数や死亡者数のサンパウロ州の割合を見ると、毎回下がって来ているのがわかり、ブラジルの内陸や地方で感染拡大している事を反映してます。現時点でブラジルは”感染率”(正確にいうと「実効再生算数」または Rt(アールティー)。感染者が平均して何人に感染させるかという人数。1以下でないと感染拡大が終息しない)が世界一高く、Rt=2.81まで観察されてます。この現象の主な理由は外出規制を守らない人が多く、人出減が5割程度の所が多いからです(7割以上ないと効果がでない)。

昨日サンパウロ州政府は外出規制を6月15日まで2週間延期すると発表しました。一方、段階的に規制緩和する事も発表され、フェーズ1(現在の完全規制)からフェーズ5(完全緩和)の5段階です。来週の6/01日より次の業種業態が緩和されます:

  • 不動産販売
  • 自動車販売
  • オフィス一般
  • 商業用店舗(小売り業)
  • ショッピングセンター

サンパウロ市はRtがほぼ1です(Rt=1とは、増えもしないが減りもしない状態)。また当市では、ある一定の人口の抗体検査をし、市内感染の動向の疫学調査を実施する計画も発表されてます。外出規制緩和は感染拡大が止まってからでないと危険である意見も多々あり、緩和されても引き続き現在と同じ生活仕様を推奨します

ブラジルでは結果的に「わざとで無い、間違った方法で」集団免疫獲得にむかっている感があります。どんな感染症でもある一定の人口が感染し、免疫ができるとその感染症の流行が終息にむかうので、新型コロナも例外ではありません。従って、ジッとしていられない人達にどんどん感染してもらい、人口の2/3程度が感染するのを大人しく待機するしかないのかと考えます。感染率がまだ高値のまま規制緩和をするので、感染者はさらに加速度的に増え、以外とあっという間に2/3になると思います。

Sunset at Noronha. FEN. Caju©2009

2020年5月2日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:96.559人(その内サンパウロ州、約32%)
  • 死亡者:6.759人(その内サンパウロ州、約38%)
  • ブラジルで感染が多い州:SP、RJ、CE、PE、AM。

現時点で国全体で一日400人以上の死亡で推移してます。但し、PCR検査されずに死亡した方が1000〜2000人いるのではないかとされてますので、実際の死亡者数は発表より多いのは間違いないでしょう。医療崩壊状態と認定されているのがアマゾン州です。

サンパウロ州及びサンパウロ市の人口移動は約55%に留まり、感染拡大が止まらないので外出禁止は5月10日まで延長されてます。5/11よりショッピングセンターなど商業施設の営業を認める方向のようです。反面、サンパウロ市では来週より人の移動を減らすため、道路封鎖を実施すると発表されてます。市内では感染拡大が減少しないので、10日以降も外出禁止が示唆されてます。更に、サンパウロ市では5月4日より、公共交通機関を利用する場合、マスク使用が義務づけられましたので、ご注意ください。

4月にはブラジル保健当局(ANVISA)が一般薬局で新型コロナウイルスの抗体検査実施を許可しました。抗体検査は抗原(ウイルス)を検出する有名なPCR検査ではなく、感染した人が抗体を持っているか検査するものです。今回のような大規模感染症の場合、一定人口の抗体を調査し、その人口全員の免疫率(集団免疫)を計算するには有用ですが、個人や少人数(例、会社単位)で実施しても全く意味がありません。問題点として、まず流通する検査キットの精度の問題があり、30%から60%偽陰性(本当は陽性だが陰性と結果がでる)があるようです。また、抗体は感染開始より一定期間以上経たないと産生されないので、採血した時期により本当は陽性だが陰性となります。さらに、疑陽性(本当は陰性だが陽性と結果がでる)も一定程度あり、抗体があるから大丈夫と勘違いする事になりかねません。薬局の検査は有料なので、支払いができる人達が対象になり、人口全体の集団免疫率を算出する事はできません。この様な事情から、国がこの検査方法を許可したのは単なる責任逃れとしか思えません。仮にこの抗体検査を受けて陽性が出ても、外出禁止を免除するものではありません。抗原検査と抗体検査はどちらも医師の判断に有用です。医師の指示で受けるようにお願いいたします。

Sequoia tree. California. Caju©2008

2020年4月06日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:12.056人(その内サンパウロ州、約41%)
  • 死亡者:553人
  • 感染拡大が特に顕著で、拡大が増している州:SP、RJ、CE、DF、AM。

サンパウロ州で実施されている都市封鎖は州全体では人口の移動が封鎖される前に比べ、56%減少したデータが発表されてます。サンパウロ市においては更に多く、約80%の減少であろうと推測されてます。七割以上減少しないと封鎖の効果が発生しないとされます。感染者は増え続けているので、本日サンパウロ州の封鎖は4月22日(水)まで延長される事になりました。

ブラジルに対し日本の外務省が出す感染症危険レベルが3/25にはレベル2(不要不急の渡航は中止)、3/31にはレベル3(渡航中止勧告)になり、当地の”危険度’が増すばかりなので、3月下旬より希望退避または強制退避される駐在員・帯同家族が目立ってます。日本へ帰れるルートがどんどん減っているなか、ブラジルより更に危険な地域を経由するルートも利用せざるを得ない状況です。いずれにせよ、日本へ帰国したら2週間の隔離要請があります。しかし日本の検疫の隔離要請は法的拘束力がないので隔離をしないでそのまま実家へ帰ったなどの報告も聞きますので、退避が日本国内の感染拡大に一助しているのは間違いないでしょう。

他の欧米諸国と同じく、当地でも「マスク着用の重要性」が認められる流れです。医療用のマスクでは無く、布で作ったいわゆる日本のガーゼマスクを自作するのが流行り出しました。欧米はマスクを着用する習慣はありませんし、する場合も「うつさない」のではなく「うつされない」ために使われます。その概念が「マスクを着用する事により、飛沫感染を減らす」のに変わってきたようです。

Teremos de volta? SFO. Caju©2011

2020年3月27日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:3.417人(その内1223人がサンパウロ州)
  • 死亡者:92人(サンパウロ州68人、新しく次の州で死者がでてます:アマゾン、セアラ、ゴイアス、ペルナンブッコ、リオグランデドスル、サンタカタリーナ)

死者や感染者の増大が認められますが、数字的にはあまり現状を表してないと考えます。PCR検査の結果はサンパウロで現時点で10日待ちになってますので、確認されずに死亡した方がたくさんおられる報告があります。確実に感染拡大しているのは間違いないでしょう。ブラジルでは完全に市井感染が主な感染源となってますので、保健所の感染者追跡は行われてません。

サンパウロ市では今週24日より商業活動の停止と学校閉鎖が始まり、街から人が消えてます。食料関連は開店しても良いのですが、人通りが途絶え来客が見込めないので閉店しているお店が目立ちます。バルやレストランはデリバリーまたは持ち帰りのみになりました。サンパウロでは野戦病院の設置やサンパウロ大学医学部附属病院の中央棟をコロナ感染関連の病棟に改装されてます。

反面、大統領はこういった地方行政の措置に不満を示し、都市封鎖の解除を求めてます。経済活動を止めない為だそうです。これに応じ、今日マットグロッソ州、ホンドニア州、サンタカタリーナ州で封鎖が解除されました。今回のような危機をマネージすべく行政トップの足並みが揃わないので、感染拡大が長引く可能性が大です。

今週新型コロナウイルスの予防や治療薬であるとして米国大統領やブラジル大統領がマラリアや自己免疫疾患に使用されるクロロキンを称賛し、ブラジルでは買い占めがおこり、当局が規制に乗り出しました(が、時既に遅しで元から必要な患者さんが入手できない状況のようです)。この薬物はウイルス性肺炎に対する効果は検証中で、効果は不明です。大変毒性が強いので、絶対に勝手に服用しないように!米国で死亡例が出てます。

COVID-19の新症状として、「味覚・嗅覚障害」が報告されました。検証が必要ですが、多数多所で報告があり、新型コロナウイルスは鼻腔と咽頭で好んで増殖する事がわかってきてますので、本感染の症状の一つと考えても良いのではないかと思います。

秋山一誠診療所では引き続き診療を継続してまいります。

No People. ORD. Caju©2011

2020年3月20日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:904人(その内396人がサンパウロ州)
  • 死亡者:11人(サンパウロ州9人、リオデジャネイロ州2人)
  • 感染が確認されている州:全ての州。また、全ての州で国内感染が認められる。

今週は爆発的に感染者が増えました。来週は更に拡大する予想です。また、初めて死者がでましたが、発表されている人数以上である可能性が大です。理由は検査に押しかけ需要があったため、パンク状態になり、検査結果は1週間待ちになっており、結果が出る前に死亡するケースが出てきているからです。現在、重症例にしか検査をしない方針です。来週にはサンパウロ大学の実験用研究室17室をPCR検査に転用する計画が発表されてます。

ブラジル医師会(Associação Médica Brasileira)が国内の全ての一般外来の閉鎖、緊急を要しない手術や処置の延期を勧告しました(3/19(木))。前者は混み合う待合室が感染クラスターになるのを防ぐため、後者は病院資源を緊急外来に集中するためです。さらに、サンパウロ医師評議会(医業を監督する役所, CRM Conselho Regional de Medicina)が今日、感染の危険度により、各自医師の判断で医院など医療機関を閉鎖しても罰則に触れないといった通達を発しました。この流れで、閉鎖する医療機関が増えています。

3/20(金)に連邦政府が「非常事態宣言」を発し、上院議会が承認しました。同時にサンパウロ州およびサンパウロ市も非常事態を宣言を発し、これにより、社会活動の制限が行われる事になりました。サンパウロ市では21日以降次の業態が開店でき、それら以外は15日間閉鎖命令が出てます:

  • 病院、医院
  • 薬局、医療品店
  • 市場、フェイラ(青空市場)含む
  • コンビニ
  • パン屋
  • バルやレストランなど飲食店(テーブルの間隔を1メートル以上空けるなど制限あり)
  • ペットショップ
  • ガソリンスタンド

秋山一誠診療所では完全予約制のため、待合室が混み合わない工夫ができます。引き続き診療は続けていきます。但し従業員の安全のため、時差出勤を実施してますので通常の診療時間が変更する事があります。必ず事前にご連絡ください。

Kamesuehiro. Kyoto. Caju©2020

2020年3月14日更新

今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:

  • 感染者:121人(その内約半数65人がサンパウロ州)
  • 感染疑い:1.496人
  • 死亡者:ゼロ
  • 感染が確認されている州:SP、RJ、PR、RS、DF、SC、GO、PE、BA、MG、RN、ES、AL。
  • その内、サンパウロ、バイア、リオデジャネイロで国内感染が認められる。

3月12日にサンパウロ州政府は新感染症用のICU集中治療室を1000床増やすと発表しました(が、連邦政府の補助金などが必要なので、「作る」と言っているのであり、「出来た」訳ではありません。)。

3月13日にようやく連邦政府が新型コロナウィルス感染拡大抑制に関する「勧告」(recomendação = recomendation、日本の「要請」に準じる;法的効力はない。)を出し、それに基づきサンパウロ州が次に挙げる行為を勧告してます:

  • イベントの中止:行政主催または民間主催のスポーツ、文化、芸術、政治、学術、商業、宗教、その他、500人以上が密集するイベントの中止、延期、無観客で開催。
  • 500人以下のイベントは締め切った場所で開催しない。
  • バイキングスタイルやポルキロの様な各自が食べ物を取る方法の食事の中止。
  • クルーザー船を利用した観光の中止。
  • 新型コロナウィルス感染症の為死亡した方のお通夜の中止、速やかに埋葬。
  • 学校休校:期間は未定
    • 大学は16日(月曜日)より
    • 幼稚園と小中高は23日(月曜日)より:私学では25日頃から休校する所も多々有るようです。公立の学校の場合、16日以降休学しても欠席扱いにならない。休校期間は未定なので、年間200日の学校日に満たない場合、来年に持ち越し可。
  • 休校中の児童を55歳以上の親族または祖父母に預ける事を禁止
  • 可能な場合、在宅勤務、時差出勤。
  • 不要不急の旅行や出張の中止や延期。

高齢者や基礎疾患のある方は特に「社会的接触」を避ける:国内感染が認められる行政所在地在住の方は(この場合、サンパウロ市、リオデジャネイロ市など)旅行の中止、映画館、教会、ショッピングモール、ライブハウスなど人が密集する場所に行かない。また、早急にインフルエンザ予防接種を受ける事が推奨されてます。

その他、法的効力がある措置としては「一定の場所で新型コロナウィルス感染症の為に用意されたICU集中治療室の占有率が80%に達した場合、その場所は「検疫地域」に宣言され、都市封鎖などが実施可能になるといった条例が発効しました。また、法務省が疑い例を裁判所命令無しで強制入院や強制隔離できる省令を用意しているようです。

いずれにせよ、秋山一誠診療所が提案する対策=自衛は下記のとおり、変わりありません

2020年3月11日現在

去年の年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染は今日WHOがパンデミック宣言しました。現時点で110以上の国や地域に広がり、約12万人の感染者、4千人以上の死者をだしている感染症です。

ブラジルでは2月23日より保健省(厚生省)の監視が始まり、当初は感染の可能性のある国からの旅行者・帰国者が対象でした。これらの国(日本を含む)は27カ国にまで増え、3月6日にはもう国単位では無く、北米、ヨーロッパ全域、アジア全域へ監視対象が拡大されました。監視内容は対象地域から入国した方で発熱や咳などの症状がある場合、監視下におかれるとありますが、隔離施設や隔離方法などは用意されてないようです。

ブラジルの保健省の出した指示は具体的には空港や港、国境の監視をANVISA(国家衛生監督局)が施行すべきとの指示や連邦の各州が各自の事情にあった予防政策を実施しろという事で、高齢者や有病者を守らなければならないなどは言っているものの、国全体の行動基準や措置は明確化されてません。

ブラジルでは3月11日現在8州で感染者が認められ、感染確認68名、疑いで経過観察中が907名、死者ゼロです。感染確認の内、半数強がサンパウロ州にあります。また、国内感染もサンパウロ州とバイア州で認められてます。2月25日にはイタリアで感染したサンパウロ在住の男性がブラジルの感染者第一号と確認され、3月03日まで2件確認されていましたが、ここに来て爆発的に増える傾向にあると思われます。昨日の時点で確認34人が今朝52人、夕方には68人に増加してます。

サンパウロ国際空港で検疫が実施されてない、学校閉鎖は各自の都合により自主的に行われている、イベント抑制の要請がないなど、実際具体的な対策をしていないブラジルの現状や、一般的に意識低めの国民性などを勘案すると、この感染力の強いウイルス感染が更に拡大する事になりかねないと思われます。

秋山一誠診療所が発信する対策の提案としては「自衛しかない」と考えます。感染の可能性の高まる室内イベントは軒並み中止されている訳でも有りませんし、学内で感染者が出ても、政治的な問題で学級閉鎖しない大学も有りますので、各自が置かれている状況が「ヤバい」と思ったら自分でその状況・状態を避けるしかないでしょう

新型コロナウィルス感染症はほとんどが「風邪」の症状になり、8割方が軽症で完治しますので、必要以上に恐れる事はありません。しかし、70歳以上の高齢者にはかなりの確率で肺炎などに重症化・重篤化しますので、高齢者が居られる環境には注意が必要です。意識が低い方も多い反面パニクっているブラジル人も多いので、現在ウイルス検査を実施できる病院の救急外来はとても混雑してます。新型インフルエンザの流行時のように、発熱救急外来を受診し、そこで感染するような事態は避けたいです。また、無用に検査など医療資源を消費する事を避けるのも現時点で重要です。当診療所でも感染が心配であるので検査を希望する方の相談がありますが、仮に陰性であったとしても、潜伏期間等の関係でウイルス保有者でない事を証明できる訳ではありません。このような状況を医学では「虚偽の安心感の要望」といいます。


秋山一誠診療所の新型コロナウィルス感染に対する自衛の提案

軽い症状(37.5℃以上の発熱、咳、頭痛など風邪の症状)のある方(子供を含む)

  • 市販の総合感冒薬を服用し、自宅で療養。
  • 4日以上症状が続く場合、かかりつけ医を受診、医師の指示を仰ぐ(*)。
    • (*)そこで必要であれば、ウイルス検査の実施の指示がでます。サンパウロではウイルスを検出するPCR検査が既に民間の検査機関で行われてますが、医師の指示が必須です。
    • 陽性の場合は自宅療養です。陰性であっても潜伏期間等のため自宅待機が必要な場合もありますので総合的な医師の判断に従ってください。

重い症状(強いだるさ、息苦しさ)のある方

  • 直ちに救急外来を受診。
  • 場合により入院。

無症状、有症状に関わらず、妊婦、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)のある方、透析を受けている、抗癌剤や免疫抑制剤を服用している方

  • かかりつけ医に相談。

無症状であるが、濃厚接触(感染者と近距離で一定時間以上会話をする)や感染の疑いのある場所(日本のみではなく、ヨーロッパと北米も該当)にいた方

  • 可能であれば接触から2週間自宅待機が望ましい。
  • どうしても仕事や人と会う必要がある場合は接触時から2週間はマスクを着用。

無症状で接触や感染の疑いのない方

  • 手洗い、うがいの徹底。
  • マスクの使用
  • 発生リスクが高い3っの条件「換気の悪い密閉空間」「手の届く距離に人が密集」「近距離での会話や発声がある」が同時に揃う場所・状況を避ける。

秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的で遠隔診察(オンライン診療)を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。

  • 秋山一誠診療所  ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
  • SMS +55-11-98135-8205
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