着用理由が反対になりましたね。

By: Kazusei Akiyama, M.D.

The Older Tower. Tokyo. ©Caju 2020


2020年5月

着用理由が反対になりましたね。

またまたまた新型コロナウイルスに関連するひとりごとです。この原稿を書いている現在、全世界で感染者が250万人以上、死亡者が20万人ちかくなっている状況です。とうとう日本でも全国緊急事態宣言が出されましたが、相変わらず迷走中です。ブラジルも迷走中で、死者数が激増して、現時点では死亡者数が2741人ということになってます。しかし圧倒的に検査が足りてないので、検査結果が出てないまたはされない間に死亡したケースも多々あるので数字的にはあまり参考になりません。市中感染が増えているのは間違いなく、ブラジルの場合は社会的格差のため爆発的感染がおきてもおかしくない状況です(註1、註2)。

  • 註1:下層階級は学歴があまり無いため、物事がよくわからなかったり、スラム街など衛生状態が宜しくない場所に住んでいたり、日銭を稼ぐため外出禁止を無視せざるを得なかったりなので、この階層に感染リスクが高い。
  • 註2:日本も爆発的感染がおきる可能性があるが、この場合は「外出自粛」といった甘い措置のため人と人の接触が減らない。

世界中を巻き込んだ新型コロナですが、エピデミック終息にはほど遠い道のりがあります。実際にこのウイルスをコントロールするには予防接種しかないのですが、ワクチンができるのにはまだ1年以上かかる見通しです。またそれ以前に難しいのが、都市封鎖をどのように解除するかという課題があります。ウイルス性流行性疾患は人口の七割以上が免疫を得た時点でコントロールできるとされてますが、それができた時点で世界中の社会は以前とは同じでなくなると思います。今回の自宅待機で今までのいろいろな習慣、概念、人間関係、消費項目や消費方法などが必要と不要がいっぱい判明しているのではないでしょうか?テレワークやオンライン授業、商品や食品のデリバリー、オンライン診察など、エピデミック後でも継続すると思います。

確実に使用概念が変わったのが「マスク」です。2ヶ月前のひとりごとでマスクについて書きましたが、その間に欧米でマスク着用の概念が激変しました。元々欧米でマスクは「防御用」としての使用が主です(註3)。つまり、「悪いものを取り込まない、移されない」ためです。反面、日本では(註4)昔から「病気など悪いものを相手に移さない」ためにマスクが使用されてました(註5)。これは西洋と東洋の世界観の違いだと考えます。しかり、西洋は人間が攻撃的で周りの環境(自然、人間)は支配するものだという概念になりたっており、東洋、特に日本では人間が調和的で周りの環境とは共存するものだという概念でないでしょうか?庭園が良い例で、仏式や英式庭園は自然を人工的な形に作り上げるが、日本式や中国式は自然を模擬する。日本人は病気になったとき、共存する周りの人達に移すと迷惑がかかるからマスクをする。欧米人は防衛のためにする。しかし、この2ヶ月でこの概念が反転したのではないかと思います。

  • 註3:医療用サージカルマスクはその限りではありません。マスクのひとりごとをご参照ください。
  • 註4:この話では日本のみでは無く、アジアではと書かれる事が多いが、日本が発祥でしょう。
  • 註5:花粉症対策のマスクは防御用ですね。

欧米では発生直後は元々防御用のN95と呼ばれるマスク以外は着用の意味なし!と言ってたのですが、ここに来て、バカにしてた布製のマスクでもいいから、とにかくマスクをしろ!になりました。オーストリアではスーパーマーケットなど人が集まるところに入る時はマスク使用が必須になりましたし、ドイツでは4月27日より「外出するにはマスク必須令」が発出されました。これは、無症状の感染者が相当数いるため、そういった人達がウイルスをばらまくのを防ぐ措置です。

反面、日本で目立つのは、「移されると怖い」ためマスクを着用している人達が多くなっているのでないかと思われます。評判のわるいアベノマスクもどちらかというと「これで防衛してください」といった考えに基づいたものだとふんでます。他人を思いやる日本人はパンデミックになると「やはり死ぬのは自分だから自衛しよう」になってるのですかね?

筆者は1月時点で全世界の全人口がマスクを着用すれば1ヶ月で新型コロナ感染が終焉するといってますが、マスク着用の効果の数値がわかってきてます。厳密にいうと、マスクの種類や接触の仕方などで変動がありますが、大まかこんな感じで激減といっても良いでしょう。

  • 感染陽性の人、マスクなし → 感染陰性の人、マスクなし : 感染確率 100%
  • 感染陽性の人、マスクあり → 感染陰性の人、マスクなし : 感染確率 70%
  • 感染陽性の人、マスクあり → 感染陰性の人、マスクなし : 感染確率 5%
  • 感染陽性の人、マスクあり → 感染陰性の人、マスクあり : 感染確率 1.5%

『つまり、マスク着用に関しては、日本人は正しかったということになるな。マスク着用は新型コロナ終息後でも欧米で定着すると思う。ブラジルでも遠慮せず、外出する時はこのコラムの24人の読者様もみんなマスクして出かけましょう。新規事業始めたい方は、お洒落なマスク、これから需要があると思いますよ。』