糖尿病治療で医術を考える(IV):どんな薬で糖尿病を治療するの?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Coccinellidae. São Paulo. Caju©2021


2023年9月

糖尿病治療で医術を考える-IV:どんな薬で糖尿病を治療するの?

さて4月に開始した「我々人類の将来を脅かす糖尿病」のひとりごと第4弾です。今回は治療薬について考えていきます。1回目の「糖尿病とは」で書いたとおり、この疾患そのものは紀元前の文献に記載があるようにかなり昔から存在を知られてました。しかし、糖尿病の病理機序の確定は約100年前と比較的最近です。1921年にBantingとBestによるインスリンの発見により、どの物質がこの疾患と関係しているかが判明し、薬物的な治療方法の方向性ができたと言えます。

そこで、インスリンを投与する治療方法が始まった訳ですが、いくつか大きな問題がありました。インスリンは生体内で作られるホルモンです。まずどのようにしてその生体物質を確保するのかでした。100年前はこのホルモンを合成する技術はなく、哺乳類の膵臓から抽出するしかなく、1922年に牛から抽出されたものが初めて人に投与され、以降、豚、牛、鯨等のインスリンが製品化され、1型糖尿病患者が生存できるようになりました。しかし、動物由来の製品はアレルギー反応や作用面で問題点が多々ありました。1980年代にインスリンを合成できるようになり、先ず豚インスリンから人インスリンを合成する技術、そして大腸菌や酵母などに遺伝子組み換えをしてヒトインスリンを大量生産できるようになりました。

ヒトインスリンが使用できるようになってアレルギー反応は激減したのですが、インスリン特有の作用面の問題点は解決しません。インスリンは体内で持続的に分泌されて、生理的な状況では空腹時や食間で肝臓で糖新生やグリコーゲン分解を調節するための「基礎分泌」と食後糖代謝する「追加分泌」の2パターンになります(図)。

図:インスリン分泌パターン

『インスリンを投与すると即効で作用するので、このような生理的な状況を再現することは困難なのだ。』

さらに、インスリンを投与するには注射が必要で、昔は使い切りの注射器+注射針がなく、滅菌消毒したものを繰り返し使用してました。インスリンは瓶に入っており、それを注射器に吸い取り、投与する単位を合わせ、空気を抜き、注射針を交換してようやく打てるといった面倒な作業を1日に何回もする時代でした。また、だれが注射するか法律的に制限があり(注射業務は医療行為である故)、自己注射が認められたのは1980年代に入ってからです。

これらの問題点から、「簡単に自己注射でき」、「生理的な作用をするインスリン」、さらに元々注射をしないといけない治療方法ではなく、「経口投与できる治療法」が開発のテーマとなりました。最近は簡単に自己注射できるペン型の糖尿病治療薬、持続効果がある持効型溶解インスリン、即効性の超速効型インスリン、経口血糖降下薬、インスリン以外の注射薬が薬物療法を支えています。未来に目を向けると、血糖値の状態で自動的にインスリンを投与するシステムや膵臓の細胞を修復する幹細胞治療や細胞増殖、移植などの再生医療が有望です。

『それでも、「糖尿病はならないのが一番」であることは変わりないぞ。』

糖尿病の治療原則は「食事療法」、「運動療法」、「睡眠、休養、ストレス管理」などの生活習慣改善にプラス薬物療法を必要に応じて投与する、です。今回は先に薬物療法の薬を羅列します。

インスリンは1型糖尿病患者では必須の治療薬ですが、2型でもインスリン分泌低下例には経口血糖降下薬に持効型インスリンを追加して基礎インスリンを補充する治療法(BOT、Basal supported Oral Therapy)もあります。インスリンの種類は”効果の速度”により分類され、名称のとおりで5種類あります:超速効型、速効型、混合型、中間型、持効型。インスリンの副作用はアレルギー以外は基本的に低血糖であり、そういった点ではわかりやすい(副作用を警戒しやすい)薬剤と言えます。

経口血糖降下薬は特に2型糖尿病に有用で、基本的には先ずこの種類の投薬から始めるのが原則です。2型糖尿病の病態は「インスリン分泌機能低下」と「インスリン抵抗性増大」のいずれかあるいは両方によって「インスリン作用不足」がおこり、食後高血糖、空腹時高血糖が現れます。高血糖が持続する事により、「糖毒性」状態がさらに病態を進行と悪化させる悪循環がおこります。したがって、治療薬はどのような病態があるのかを把握し、それら病態によって投薬を選択します。経口血糖降下薬は現在7系統あり、それぞれ作用機序が異なります。

表:経口血糖降下薬の作用機序と副作用

分類

作用機序

副作用

ビグアナイド薬

インスリン抵抗性改善、肝臓での糖新生抑制

腎機能低下、胃腸障害

チアゾリジン薬

インスリン感受性改善

浮腫

DPP-4阻害薬

インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制。インクレチン関連作用

便秘

SU(スルホニル尿素)薬

インスリン分泌促進

遷延性低血糖(註1)

速効型インスリン分泌促進薬

インスリン分泌促進速効型

低血糖

αグルコシダーゼ阻害薬

炭水化物の吸収遅延

腹部膨満、放屁

SGLT2阻害薬

腎臓でブドウ糖の再吸収抑制

脱水、ケトーシス、尿路・性器感染症、皮疹

インクレチン関連注射薬はインスリン以外の注射薬です。GLP-1受容体作動薬やGLP-1アナログと呼ばれます。食物摂取すると小腸でGLP-1が分泌され、そのホルモンが膵臓に作用しインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制します。この点はDPP-4阻害薬に似てます。その他中枢神経系を介する食欲抑制、胃排泄遅延、心保護など膵臓以外にも作用があります(註2)。副作用は悪心、胃食道逆流、便秘など消化機能の遅延と関連するものや体重減少があげられます。

  • 註1:糖質摂取により血糖値がいったん上昇しても30 分ほどでふたたび低血糖が生じる。
  • 註2:体重減少もあり得るので、ブラジルではオフラベル(適応外使用)であるがやせ薬として乱用されている。非常に高価なので、金持ちしか使えないが。

『経口血糖降下薬は3剤まで併用できる。各薬剤の作用機序は医科学的に判明しているが、どの組み合わせが個々の患者さんに有用なのかを判別し、処方するのが医術であろう。』

次回は糖尿病の治療原則である生活習慣改善について考えてみます。


糖尿病治療で医術を考える(III):どうして人類は糖尿病になるの?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Full of Arts and Thoughts. São Paulo. Caju©2018


2023年7月

糖尿病治療で医術を考える(III):どうして人類は糖尿病になるの?

さて4月に開始した「我々人類の将来を脅かす糖尿病」のひとりごと第三弾です。三回目は人類を脅かす糖尿病にどうしてその人類は罹患してしまうのかについて考えていきます。前回のまとめは血糖値が高い状態が継続すると身体全体に色々な合併症に発展するでした。この状態のため、結果として後戻りできない病気になってしまいます。病気になった本人の生活の質を下げるのはもちろん、とてつもなく医療資源を消耗する「だれも得しない人間」になってしまいます。

第1回目で展開したように、糖尿病はインスリンの扱いが故障した状態が引き起こす病気で、インスリンが「絶対的」に不足している場合と「相対的」に不足している場合に大きく分けられます。この絶対的不足というのが1型糖尿病と分類され、国や人種によりますが糖尿病の5〜10%をしめます。日本では人口の約0.1%がこれにあたり、有病率は11万人くらいで、10万人に10〜15人程度と計算されてます。これらは自己免疫疾患であったり、原因不明の突発性であったりするので、「なるような生活をしてる」や「なりたくてなる」ものではないのでなかなか予防する事が困難です。なので、理論的には予防できる糖尿病の90%以上である2型糖尿病にどうしてなるのかを考えていきます。

以前にもここでひとりごとしたとおり、我々人類は哺乳類としての進化の結果です(註1)。地球上で存在する生物のうち「支配する存在」になったのは色んな能力を得た成果であることは間違いないでしょう。かくいう能力の一番の進化は文字で自身の感覚や経験・体験を表現できるようになり、その積み重ねで知識そして知恵、文化と文明を作った事でしょう。進化とはもちろん如何に生き残り、子孫を残すことができるかに要約できるのではないでしょうか?つまり如何に死滅しないか。これにかかっていると思います。人類を含む哺乳類が昔から死滅する原因は「餓える」、「感染症にかかる」、「事故にあう」、「殺される」です。我々は上手いこと餓えをしのぎ、感染症をのりこえ、事故に遭わないようにする、または外傷から快復する、そして捕食・殺されないようにしてきて子孫を残してきた先祖の子孫です。

餓えないようにするには、如何に食用になる物を認知でき、それを入手し、そして食べた物を栄養やカロリーとして体内にため込む事ができるかにかかっています。なので、カロリー効率の良い甘い物、つまり糖が多い物を好み、摂取した物を蓄積できる能力、そして、蓄積しやすい脂質を好むように遺伝子レベルでなっている訳です。

外傷からの快復には簡単な例では止血能力のような有能な生体修復機能が必要であるし、感染症を乗り越えた個体は、優秀な免疫機能をもっており、外部からの病原体の攻撃を上手くコントロールできたからでしょう。これらの機能は外部からの脅威のみならず、生体内で起こる細胞や組織の変成にも対応(註2)できるまで進化してます。しかしこれらが作動不全になると、自己免疫疾患やアレルギー等が現れる反面をもっているのです。

  • 註2:例えばこの機能が正常に働かないのが癌の原因。

事故や捕食を避けるには危険察知能力や危険に対応できる生体反応が秀逸であった事が生死の分かれ目になると考えられます。これらの反応はストレス反応であり、筋力や集中力が増加する事で、逃げたり戦ったりして危険を回避できたのです。ただし、これらはどちらかというと瞬発的な反応で、長期にわたる状況では害になるのです(註3)。現在は恐竜に捕食されるようなストレスは少なくなりましたが、反対に毎日ちょびちょび身も心も蝕む小出し恐竜に曝されるようになりました。

『なんの話や?全然糖尿病と関係ないやん、と思われるかも。しかし大ありなのですな。』

自己免疫疾患でもある1型糖尿病はインスリンが分泌されない故障ですが、インスリンが不足したり、細胞が糖を取り込む能力が低下したりする2型糖尿病とは関係あるのです。甘い物を取り過ぎる、または最終的に糖になる炭水化物を沢山摂取すると、相対的にそれらを代謝するインスリンが不足するのは簡単にわかりますね。脂質が多い食事を続けると、体内に蓄積され、脂肪細胞になります。これもわかりやすいですね。さらに、消化しきれなかった余計な炭水化物も最終的には脂肪に変換され、蓄積されます。これが脂肪細胞肥大化という状態を引き起こし、細胞のインスリン感受性と関係のあるアディポネクチンと呼ばれる物質が低下し、インスリン抵抗性が出現するのです。暴食には暴飲もつきものですが、酒の主成分のエタノールもインスリン抵抗性に直接関係があることも判明してます。過度のエタノール摂取は脳にあるホルモン分泌を司る視床下部にも炎症を起こし、血糖値センサーとして働くプロスタグランジンと呼ばれる物質の分泌が妨げられ、血糖値が下がらない状態になります。また、脂肪細胞からレプチンと呼ばれる食欲を抑制するホルモンがでますが、エタノールはこのホルモンを減少させる効果があるので、暴食に至るわけです。

さらにストレスも血糖値を上げる効果が満載です。ストレス反応の最もたるものが、危険を回避するため身体を鼓舞する機序です。アドレナリンなどは心機能を増強し、コルチゾールやグルカゴンが血糖を増やし、 人体の力や認知の可用性を高めます。第二回目で見たように、血糖値が一時的に上がるのは問題ないですが、ストレスが続くと高血糖が持続するのですね。

『2型糖尿病には「過ぎる」からなると言えます。飲み食いしすぎる。太りすぎる。心を病みすぎる。そして、口に入れる物を気にしなさすぎる。流行り物に流されすぎる。世の中は「消費者が喜ぶ物」をこの手あの手でどんどん出してきます。喜ぶものとは「甘くて、脂っぽくて、心が安らぐ」モノです。宣伝します。流行にします。この点は進化の最たるもの、「知識の伝達」が悪用されているのではないでしょうかね?』

次回は糖尿病の治療について考えてみます。


糖尿病治療で医術を考える(II):血糖値が高いとダメなの?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Sunrise. Oita. Caju©2023


2023年5月

糖尿病治療で医術を考える(II):血糖値が高いとダメなの?

さて先月開始した「我々人類の将来を脅かす糖尿病」のひとりごと第二弾です。二回目は糖尿病の特徴であり診断基準である高血糖とは何かについて考えていきます。前回のまとめは糖尿病とは体内でインスリンの扱いが故障した状態でした。この状態のため、結果として体内のブドウ糖の血中濃度が上がる、それが「高血糖」と呼ばれる状態になるわけですね。血中のブドウ糖が「余っている」ので、それが溢れて尿に出てくるのがこの疾患の名前の由来ですが、余っているのは不足していないから良いのではないか?といった質問もでます。確かに、不足している状態は低血糖と呼ばれ、命に関わる危険な状況ではあります。低血糖はいわゆるガス切れの一種ですから、生命を維持する事ができません。しかしどちらも人体にとってよろしくありません。わかりやすく言うと、ブドウ糖が不足すると「すぐに」死に至り、余ると「時間をかけて」死にます。

では高血糖がどのくらい続くと身体に良くないのかといった質問になります。もともと食事をする事により、炭水化物が消化・代謝され、血中のブドウ糖濃度が高くなるのは我々生体としては想定内なので、健康であり普通に食事していればまったく問題がありません。インスリンの扱いが故障しているため、高い状況がずうっと継続するのが問題を引き起こすのですが、これは二つの結果をもたらします。ここで思い出さないといけないのが糖尿病の高血糖は糖分の取り過ぎで糖が多いのではなく、糖を消費できていないからです。つまり、糖尿病に罹患している人は身体の細胞内に糖が取り込めていないので、「細胞が餓えている」わけです。食べ物がいっぱい並んでいるショーケースをお腹を空かせて外から眺めている通行人みたいなものです。これが一つ目の問題。

『フードロスで食べ物がいっぱい放棄されるのを空腹で見ているような状況ですな。』

二つ目が糖尿病の結果としてブドウ糖の濃度が高い状態が続くと引き起こされる問題です。前出で一時的に高くなっても問題ないと書きましたが、反対にずっと高いとその負荷に耐えきらなくなります。例えば輪ゴムを引っ張ると、元に戻りますが、ずっと引っ張っているとしまいに収縮能力がなくなってしまいますね。また、ブドウ糖が「ずっとその辺に居てる」事で普段長い時間それらと接触するのが慣れてない、設計されていない細胞や組織に損傷が現れるようになります。

『配偶者実家に時々行くのは問題ないけど、同居になるともめるのと同じですな。』

このコラムの24人の読者様もご存じのように、食べ物の腐敗を防ぐ手立ての一つはシロップ漬けなど、砂糖を大量に入れる方法です。これは高濃度の砂糖液を使う事で、浸透圧の高い環境をつくり腐敗の原因となるカビや細菌が生存できないようにするのですね。高浸透圧は細胞膜を持っている生物にとって大変な脅威なわけです。糖尿病では早い段階では身体が高浸透圧にさらされ、時間が経つにつれていろんな細胞の変性や代謝の故障が起こっていき、しまいに「糖尿病合併症」になっていきます。

合併症は複数の場所や臓器に現れますが、主にに血管性の病態であり、微小血管性と大血管性に大別されます。血管障害は次のような発生機序が関連します:

  • • タンパク質の糖付加による変性
  • • 超酸化物の産生
  • • 血管の内皮機能障害が現れ、もろくなる
  • • 組織の炭水化物代謝異常がおこり、ソルビトール蓄積がおこる
  • • 血管に炎症誘発や血栓誘発がおこり、動脈微小血栓などが現れる
  • • 大血管に動脈硬化が現れる
  • • 高血圧および脂質異常

糖尿病合併症は多岐にわたりますが、三大合併症と呼ばれるのが「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性神経障害」です。これらは基本的に微小血管性の合併症です。大血管性では「虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)」、「脳虚血性発作、脳卒中」、「末梢動脈疾患」を引き起こします。また、免疫機能不全も主要合併症といえ、これは高血糖が細胞性免疫に影響し、白血球の機能に悪影響を及ぼすためです。

糖尿病網膜症は網膜毛細血管が損傷する(註1)のと黄斑浮腫による視力障害で、最終的には失明に至る可能性があります。日本人の統計では糖尿病患者の約15%がこの合併症の診断があり、日本では約140万人です。50歳代以上の糖尿病患者では約30%にのぼり、年間3000人が失明し、先進国では失明の原因の一位か一位に迫っているです。

  • 註1:初期は単純網膜症(微小動脈瘤)、後期は増殖性網膜症(血管新生)。

糖尿病性腎症は先進国で慢性腎臓病の第一の原因です。腎臓の毛細血管の損傷のため、腎不全に至り、最終的には人工透析が必要になります。日本では人工透析を受けている患者の4割が糖尿病性腎症が原疾患です(図1)。人工透析が定着したため、糖尿病患者の生存率が改善しました。しかしこの措置は顕著に生活の質を低下させる他、国家予算としての医療費を圧迫します(註2)。腎不全やネフローゼ症候群が生じるまで無症状なので、現在国を挙げて糖尿病性腎症の重症化予防のプログラムが方々で行われてます。最近の血液検査では、クレアチニンという腎機能の検査項目を採った場合、eGFR(estimated glomerular filtration rate推算糸球体濾過量)といった腎機能の数字が提示されるようになったものその一環です(註3)。

  • 註2:日本では人工透析に係る医療費は1人月額40万円の試算。
  • 註3:eGFRは「推算」であり、計算値である。ブラジルで使用されている計算方法は日本で使用されているものとは違い、あっていない。日本式より高くでる(低いほど腎不全)。したがって、ブラジルの数値で正常範囲でも日本人種には異常値域である可能性があるので注意が必要。

図1:日本における透析導入患者の動態。

日本透析医学会の「わが国の慢性透析療法の現況(2021年現在」より転載。

糖尿病性神経障害は血管障害による神経組織の虚血、高血糖が神経細胞に及ぼす直接的な影響や神経機能を障害する細胞内代謝変化が複雑に絡み合った結果です。日本の統計では糖尿病が10年経った時点の発症頻度は30〜40%と頻発し、現時点で日本人の350万人程度が罹患している計算になります。神経障害で一番多いのは「対称性多発神経障害」で手足の末端に障害がおこります。痺れたり、異常感覚であったり、知覚の麻痺があったりします。これら以外の神経障害は、自律神経、脳神経、単神経、神経根などにあらわれます。

『合併症は一種類あれば、その他にはならないと言うわけではない。糖尿病合併症は症状が現れた時点では損傷の起こった組織や臓器は後戻りができない。糖尿病で一番重要なのは「予防」!合併症の予防もさることながら、ならないようにする予防、これが一番大事である。』

次回はどうして人類は糖尿病になるのかを考えてみます。


ブラジル医療事情:電子処方箋の扱い方

Sailor. São Paulo. Caju©2015

By: Kazusei Akiyama, MD


ブラジルの医療事情(8)ー 「電子処方箋の扱い方」

当地では以前より遠隔医療の整備が議論されてきてました。コロナ禍がこの整備を一気に加速させ、その一環として電子処方箋が普及してます。電子処方箋には医師の電子署名が付与されますので、法的に直筆署名の処方箋と同じ法的効力があります。ブラジルには四種類も医療用処方箋がありますので、その特徴などはこちらをご覧ください。

現在、CFM(Conselho Federal de Medicina, 連邦医師評議会)のアプリを始め、memed、eleve、HiDoctor、Receita Digital、Doutor Prescreve等、色んな企業が参入してます。当院でもオンライン診察などで使用しているmemedを例に電子処方箋の利用方法を説明します。

電子処方箋の名称:ポルトガル語では「Receita Digital」、発音は「ヘセイタ・ジジタウ」、または、「Prescrição Eletrônica」、発音は「プレスクリソン・エレトロニカ」。

電子処方箋は携帯電話(スマホ)に送信されます。ご利用いただくには、お名前以外に、

  • 「SMS受診可能なブラジルの携帯電話(スマートフォン)番号」、
  • 「CPF、ブラジル納税者番号」、
  • 「住所(抗生剤など用の2毎綴りのReceita Controle Especialを発行の場合必須)」

のご用意が必要です。パソコンに電子メールとして受信する事も可能ですが、どのみち携帯電話番号は必須です。パソコンで受信した場合、処方箋を印刷する必要があります。

以下の図が携帯電話画面です。

医師が処方箋を発行すると、患者さんの携帯電話SMSアプリに次のメッセージが入ります(図1、図2)。

図1 携帯待ち受け画面

図2 SMSアプリのメッセージ

 

初めて使用する場合、承認確認画面があります。利用者の個人情報をアプリ運営会社と共有する場合「Aceitar e continuar」をクリックして続けます。共有しない場合は「Continuar sem compartilhar」をクリックして続けます(図3)。個人情報の共有は適当な薬局やセールの提案のためです。必須ではありません。

図3 初回のみ処方箋アプリ利用承認画面

 

処方が出てきます。(図4)。

図4 処方画面

 

処方箋の電子認証の有無、医師名と患者名の確認をする場合、画面の「+Ver detalhes」をクリックします。すると、ユーザー確認画面が出てきます。ここで、現在使用している携帯電話番号の下4桁の数字を入力し、「Confirmar」をクリックします(図5)。

図5 ユーザー確認画面

 

処方箋の電子認証の有無、医師名と患者名の確認が出てきます(図6)。この確認作業は必須ではありません。

図6 処方箋の確認画面

 

図4画面を下にスクロールすると、QRコードが出てきます。これを薬局に提示する方法が一番簡単です。(図7)。

図7 処方箋のQRコード

 

携帯電話を薬局に持参したくない場合は、処方箋を印刷して提出する事もできます。図4あるいは図7の「Baixar receita」をクリックすると図5のユーザー確認画面になります。ユーザー確認すると処方箋ダウンロード画面がでてきます(図8)。「ダウンロード」をクリックし、「OK, entendi」をクリックして終了します。ダウンロード先は各々のスマホで事前設定された場所です。

図8 処方箋ダウンロード画面

 

印刷用のダウンロードされた処方箋は次のような書類です(図9)。

図9 一般処方箋(Receita Simples)

 

抗生剤や抗うつ剤など2通のContole Especial処方箋の場合はこの印刷用です(図10)。

図10

 

以上が秋山一誠診療所発行の電子処方箋の扱い方です。不明な点はお問い合わせください。(電子処方箋発行アプリmemedの画面は2024年10月現在のものです)

糖尿病治療で医術を考える(I):もともと糖尿病とは?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Japanese mud wall. Marugame. Caju©2023.


2023年4月

糖尿病治療で医術を考える(I):もともと糖尿病とは?

今月のひとりごとはいきなり真面目な医学の本題です。コロナ禍も落ち着いてきた(?)感がある世の中ですが、現在サンパウロでコロナ2価ワクチン接種行われています。接種を推奨されている人口は高齢者と既往歴のある方です。コロナの重症化や死亡の話で必ず出てくるのが「糖尿病」です(なので糖尿病既往歴は要留意)(註1)。糖尿病は世界各地で増え続けている疾患です。WHOによると2006年に世界で1億7千万人の患者がおり、2030年にはその数が2倍になる試算です。ブラジルでは2050年に成人人口の30%が糖尿病になっているであろうといった試算もあります。日本人も例外ではなく、「糖尿病が強く疑われる人」は男性で人口の約20%、女性で約11%(2019年)にまで身近になっている健康上の問題です。(図1:日本における糖尿病人口の推移、厚生労働省より転載)。

  • 註1:2021年末までのデータでは、サンパウロ州での新型コロナウイルス感染症で死亡した人の42%が糖尿病の既往歴があった。一番多い既往歴は心臓疾患の58%、肥満が14%。心臓疾患も肥満も糖尿病と関連する疾患なので、コロナ死亡に糖尿病が絡んでいる可能性はさらに多い。

『みんな糖尿病って本当に、わかっているのですかね?臨床の現場でみてると、「糖尿病の可能性を否定できない人」は結局注射で治療になるまでは結構ナメてかかっている感じですな。進行が静かな疾患の代表的なモノなので、症状が出てきた時になってやっと慌てるのだな。でもその時には後戻りができない。損傷が起こった分は修復しません。』

実際ここ「開業医のひとりごと」でも糖尿病は何回も出てきているのですが(註2)、見直してみると関連の話ではなく詳しく解説したのは2012年にHbA1Cという検査項目の基準が変更した1回のみでした。診察室でもここ10年前と比較してより”強い”投薬治療が必要な患者さんが増えているのが観察できます。と言う事で、今一度我々人類の将来を脅かす「糖尿病」についてひとりごとします。内容がたくさんあるので、数回に分けた連載にする予定です。今回1回目はそもそも糖尿病とは何かについて考えていきます。

糖とは「ブドウ糖」の事で、食事由来の人体を動かすエネルギー源です。食事の炭水化物が代謝され、ブドウ糖になります。その「糖」が「尿」に現れるので、「糖尿」という言葉になります(欧米ではdiabetes(ポル語でも)、ラテン語のDiabetes Mellitus、「尿が透過する、漏れる、多尿」と「密のように甘い物」が語源)。小便を舐めると甘かったり、立ちションに蟻が寄ってくるので、自然現象としては古くから知られており、紀元前の文献に記載があります。西洋医学で疾患と認定されたのは1812年でしたが、かなり最近まで謎の病気とされてました。1889年に犬を用いた実験で膵臓を摘出すると糖尿病で死亡する事が確認され、1910年に膵臓で産生される物質が関与しているのではないかと仮説が立てられ、ようやく1921年に実証実験(註3)が成功したのです。この物質は膵臓の膵島/ランゲルハンス島と呼ばれる部位から分泌されているのでラテン語の”島”insulaからinsulinインスリンと命名されるに至ったのです。

  • 註3:膵臓摘出した犬に健康な犬の膵島摘出液を投与すると糖尿病が寛解する実験。

インスリンはホルモンの一種と分類されます。このホルモンの作用により、食物が消化・代謝されたブドウ糖をそれを必要とする細胞、主に筋肉と脳神経細胞に取り込まれます。インスリンが不足すると、使用されるために血液にあるブドウ糖が細胞に取り込まれなくなり、血中濃度が高くなります。あるいはインスリンは十分あるが、細胞側が取り込む能力が不足すると、同じ結果、ブドウ糖の血中濃度が高くなります。ある一定の濃度であると、腎臓はブドウ糖を「漏らさないように」再吸収しますが、普通の許容範囲を超すと(註4)、「溢れてしまい」、尿に糖が出て「尿糖」と呼ばれる状態になります。

  • 註4:腎性糖尿は別。ブドウ糖の血中濃度に問題はないが、腎臓の機能異常でブドウ糖が再吸収されないので尿中に排泄されてしまう。

『要するに、一般的な糖尿病の尿糖はそれ自体は問題では無く、インスリン故障の結果なのですな。』

但し、糖尿病の診断は尿糖の有無でされるのでは無く、血糖の代謝に関する血液検査や代謝試験などで決まります。なので、尿糖が無くても糖尿病の場合もあるのでそのあたりの尿検査結果で安心してはいけません。「糖尿病の可能性を否定できない人」といった分類があるのは、「確実に糖尿病」がある人とない人の間がかなりある事や、1回や1項目の検査で確定診断ができないからです。また、「耐糖能異常」と呼ばれるグレイゾーン、予備軍は一昔前はなかった概念です。昔は大雑把に、「若年性糖尿病(diabetes juvenile)」と「老人性糖尿病(diabetes senile)」と分類され、前者は先天性なインスリン分泌欠損のため子供に現れ、後者は生活習慣や肥満など後天的な問題のため中年以上に現れるモノと考えられてました。しかし、現在では老人性糖尿病の病態とされていた状態が子供にも見られる恐ろしい世の中になってきてます。現在では次の分類が一般的です。

表1:糖尿病と糖代謝異常の成因分類と特徴

型

発症機構

家族歴

年齢

肥満度

自己抗体

1型

絶対的インスリン欠乏

 A.自己免疫性

 B.突発性

少ない

小児〜思春期に多い

関連無し

陽性、関連あり

2型

インスリン代謝異常

A.インスリン分泌低下

B.インスリン抵抗性

C.インスリンの相対的不足

多い、家系内血縁者に糖尿病歴

40歳以上に多い

大変関連あり

陰性

その他

インスリン不足

 A.膵臓関連の遺伝子異常

 B.膵臓疾患

 C.内分泌疾患

 D.肝疾患

 E.薬剤性

 F.感染症

 G.免疫性

 H.その他の遺伝的症候群

遺伝子異常や免疫系の場合あり

全年齢層

関連無し

陽性の場合あり

妊娠糖尿病

インスリン代謝異常

あり

高齢出産に多い

関連あり

不明

 

表2:糖尿病の病態による分類

糖尿病の病態

インスリン依存状態

インスリン非依存状態

特徴

インスリンが絶対的に欠乏している。

生命維持のためインスリン投与が不可欠。

インスリンの相対的不足。

生命維持のためのインスリンは必要ではないが、血糖コントロールを目的に使用される事がある。

臨床指標

血糖値が高く、不安定。ケトン体増加が多く見られる。

血糖値は比較的安定。ケトン体増加は一般的ではない。

治療

インスリン療法

食餌療法

運動療法

食餌療法

運動療法

経口薬療法

注射薬療法

インスリン療法

インスリン分泌能

不在〜低下

低下〜正常

『つまり、糖尿病とは体内でインスリンの扱いが故障した状態なのですな。』

次回はブドウ糖の血中濃度が高いとどうして人体に悪いのかを考えてみます。

毎日痛いのは生きてる証拠?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Pukupuku. Myoban. Caju©2023


2023年3月

毎日痛いのは生きてる証拠?

随分前にかなり年上の方のホームパーティーに行った時に主催者が仲間に冗談を飛ばしてました:「60歳を過ぎたら、朝起きて身体のどこも痛くなかったらそれは死んでいたから」。当時はワハハと聞いていたのですが、さて実際60歳になってみるといささか冗談でもない事がわかりました。毎朝起きて気をつけて観察してみると、本当にどこかが痛いのです。このコラムの24人の読者様の内でも還暦以上の方もおられると思いますので、どうでしょう?そうなりますか?

痛みとは?を調べてみると意外にはっきりした定義がないのです。大体「身体に感じる不快感」といったような説明で、あまりにも生命と連結しているので誰でもわかるからなのでしょう。事実、生まれて来て直後の感覚が痛みですよね(だから泣く)。また、定量化や数値化が現時点では不可能な感覚です。現在器機の開発はありますが、決定的な物に至ってません。若干客観性があるのが、痛みの診療で1人の患者さんの痛みの推移を色んなスケール(図1)を利用して追跡する事です。つまり前より痛い、痛くない、その度合いを「測る」事ができ、経過や治療の効果がわかります。でも痛みは他の人と強さや不快感度を比べる事はできません。

図1:痛みの強さ評価スケール(日本ペインクリニック学会、痛みの基礎知識より抜粋)

VAS Visual Analog Scale, NRS Numeric Rating Scale, FRS Face Rating Scale

痛みは身体の異変の表現であると言えます。自身の異常を痛みとして感じる事で、危険を察知し回避できる事で生命の維持に最も重要な感覚とも言えます。そう言った意味では、一番無視しにくい感覚ですので、何らかの加減で痛みが慢性になると、毎日の中で大変比重が高くなり、生活に支障をきたします。難しく言うと、「疼痛は認知処理に大きな負荷をかけることにより、注意、記憶、集中、思考など複数の認知領域を障害する」になります。

医学的に痛みは「疼痛」と呼ばれ、次の大きな分類があります:

  • • 侵害受容性疼痛:いわゆる怪我など、身体の組織に損傷がおこった時に感じる痛みです。一般的に急性の痛みのほとんどがこの種類であり、生命の危険がある場合もこのタイプが多い。急性疼痛は通常明らかに組織損傷があり、損傷が起こった部位にある痛覚メカニズム(痛覚受容器と呼ばれます)が感覚神経を活性化させます。この信号が脳に届き、痛みと感じるのです。侵害受容性疼痛も大きく分けて体性痛と内臓痛に分けられます。どちらも痛覚受容器が痛みのプロセスを始めるのですが、体性神経(皮膚、筋肉、靱帯、骨膜、関節など)のほうが痛みの場所がわかりやすい(限局的)です。内臓痛は場所が不明確になる事が多く、深部でボワアっとした痛みがそれにあたります。
  • • 神経障害性疼痛:名称の如く、神経そのものの損傷や機能障害のため発生します。末梢神経または中枢神経のどちらにでも起こる痛みです。わかりやすいのが椎間板ヘルニアなどで神経圧迫した痛みですね。中枢性神経障害性疼痛は複雑でさらに分類され、機序が不明な部分も多いです。例えば「幻肢痛」と呼ばれる切断された身体部位が痛むと言うのがあります。
  • • 心因性疼痛:上記2種類の疼痛は解剖学的や生理学的に損傷や障害が発見できますが、原因不明な場合は心因性と診断されます。典型的なモノでは心気症の様な身体症状症の痛みがそれにあたります。近年増えていたのが線維筋痛症ですが、最近多いのが新型コロナの後遺症の疼痛があげられます。

疼痛は外傷など急性で明らかな損傷の場合は原因判明と治療もやりやすいのですが、慢性になると大概上記の3分類が混ざりあい、複雑で治療困難な疾患に移行しやすい状況です。単純に1分類だけは先ず無いといってもよいので、「疼痛症候群」と呼ばれる様になります。さらに前述の「認知領域を障害」といった所も多々ありますので、心因的要因も混ざってくるのです。例えば慢性腰痛で考えると、痛んだ部位の侵害受容性疼痛と腰の神経の損傷の神経障害性疼痛の両方が認められますね。さらにその腰痛のため、社会活動に支障が出たりするとストレスになり心因性要素も加わり、疼痛の度合いがひどくなります。新型コロナ後遺症の疼痛も複雑で治療困難な例と言えます。

『このひとりごとの出だしの「毎日痛い」とは慢性疼痛(註1)の事を言っているのではないぞ。加齢であちこち傷み、首だの、腕だの、脚だの、筋肉だの、関節だのが痛い話です。他にちょっとした頭痛だったり、歯痛だったり、咽頭痛だったり、腹痛だったりが日替わりで現れる… 但し、「いつもと違う痛み」や「ずっと同じ場所の痛みが徐々に強くなっている」などは重要な身体の異変である可能性があるので、「いつもの事だから」と過小評価しないほうが良いと言える。』

  • 註1:慢性疼痛の定義:急性組織損傷の回復後1ヶ月を超えて持続する痛み、または治癒に至らない病変の痛み、または3カ月間を超えて持続もしくは再発する痛み。

ではどんな痛みが評価されるべきか?と疑問がでると思われるので、次に主な症状をリストします。これらがあれば、やばい痛みです。即救急受診です。これらでなくても、疑問に思うようであれば、かかりつけ医で良いので必ず医者に相談する事!

次の部位に痛みがあり、かつ、経験した事の無い痛み、身体を折り曲げるような痛み、意識が朦朧とする痛み、呂律が回らない痛み、身体の動きが変な痛み:

  • • 頭(脳血管障害、急性緑内障発作、頭蓋骨内腫瘍など)、
  • • 胸(心筋梗塞、肺血管梗塞など)、
  • • 腹(内臓捻転、腸閉塞、胆嚢痛、腎結石、膵臓損傷、消化器穿孔、脱肛、虫垂炎など)
  • • 四肢、体躯(脳血管障害、帯状疱疹、骨折、脱臼、椎間板ヘルニアなど)

鬼は外、福は内。鬼は内、福は外?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Torii and Komainu. Oita. Caju©2023


2023年2月

鬼は外、福は内。鬼は内、福は外?

もうすぐ節分の季節です。日本では豆まきしますね。このコラムの24人の読者様は豆まきしますか?邪気を追い払う習慣と言う事です。元々節分とは各季節の始まりの日の事で、当たり前ながら4つあります。立春、立夏、立秋、立冬ですが、春が新年(旧暦の)にあたる訳で、特別扱いされた訳です。まあ、こう言うものはおみくじのようにまじない事の一種だと捉えられている方も多いと思います。昔は現代のように「色々、科学的」に自然現象が解明されていなかったので、陰陽道や五行説などで世の中で起こる事象を説明したのですね。季節の変わり目は体調を崩しやすいのは科学的であろうがなかろうが起こりますので、陰陽道では注目され、特に立春は一年の内、陰が陽に変わり(つまり冬から春になると言うことですな)、秩序が一番変化するとされました。秩序が変わる、崩れる時にはどさくさに乗じて人の弱みにつけいる悪い輩が現れるのは昔でも今でもつい最近でも同じです。

『魑魅魍魎が跳梁跋扈すると言うやつですな。』

昔の感覚の魔物や妖怪は例えば科学的にウイルスだの、バクテリアだのせいだという事が判明しても、それで我々は楽になったのでしょうかね?確かに抗生剤が開発され、以前のように感染症で死亡する事は減りました。でも豆まきしてますね。

『別にしても良いのです。』

豆まきではいわゆる邪気を「鬼」に見立ててそれを追い払います。また、鬼を追い払う行為と関係のある「鰯の頭も信心から」という言葉があります。鬼の弱点は「トゲのあるモノ」と「鰯の匂い」だそうなので、葉がトゲ状になっている柊(ひいらぎ)の小枝と焼いた鰯の頭「柊鰯(ひいらぎいわし)、焼嗅(やいかがし)」を門戸に挿す習わしがあります。この鰯の頭を飾るのを科学的でないとバカにした言葉なのですが、よおく考えてみれば、「科学」だって「信仰」の一種ですよ。科学が使用する数字や統計、画像などが正しい、絶対的だと思い込んでいるだけで、人間の行為としては宗教や習慣の信心と同じではないでしょうか?

日本人は目に見えない自然現象を「カミ」や「オニ」と呼んで生活してきました。「神」や「鬼」ですね。鬼は地獄の獄卒とされてますから、西洋では神が「善」で鬼(悪魔)が「悪」とはっきり白黒つきますが、日本の文化では悪い神もいれば良い鬼もいます。つまり善悪の分け方ではなく、普通に説明できない「モノ」を神や鬼と呼び、状況や状態を分類する方法であろうとこの筆者は愚考します。いわゆる「鬼」も諸説学説まである現象(註1)ですが、民間が言い伝える鬼の話で健康や医学に通ずるものがあります。

  • 註1:祖霊・地霊説、妖怪説、悪霊説、仏教の鬼、神道の鬼、蝦夷説、白人説、怨恨説など。

鬼は人を苦しめる存在である設定、悪者の場合、「指が三本である、これらは「貪欲」、「嫉妬」、「愚痴」をあらわし、「慈悲」と「知恵」の二本が足りないから」という言い伝えがあります。これは仏教と関連する説明で、「三毒」という概念にあたります。「貪瞋痴(とんじんち)」と言われる人間の根源的な悪徳であり、「貪(むさぼり)」「瞋(いかり)」「痴(おろかさ)」がその三つとされてます。自分の好むものをむさぼり求める貪欲。自分に無かったり嫌いなものであれば、憎しみ、嫌悪する嫉妬。ものごとに的確な判断が下せずに,迷い惑う愚痴。これらが人間を毒するので三毒または三不善根とよばれ、仏教において「人間が克服すべき最も根本的な煩悩」とされます。

『つまり、なんでも欲しい、なんでも要求する。感情の抑制が効かない。自分勝手、自分中心な状態だな。これって、今の社会が「良いとする・目指すべきである」モノではないか?いわば、「自分が好きなものであれば、他人の目なんか気にせず、とことん追求するのが良し!」。そして、「欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる力こそ幸福の道」。さらに、「自分が正しいと信じているモノ以外は間違いであるから、それらは排除するべし」。ちょっとちょっと!これらは三毒そのものではないの?』

話しを医学に戻すと、現在ほど抗うつ薬や抗不安薬など向精神薬が処方・消費された事は人類史上、ありません。このコラムを執筆していて、現代の人達が何故これほど心を病んでいるのか少し解った感じがします。鬼を外に追い払うどころか、内へ掻き込んでいるのじゃないですかね?


新型コロナ。みんなでかかれば怖くない!怖くない?

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Steel, brick and glass. Tokyo. Caju©2012


2023年01月

新型コロナ。みんなでかかれば怖くない!怖くない?

謹賀新年。2023年の元旦です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が出現してちょうど3年になりました。お誕生日おめでとうといったところですね。人生を全く無駄にした3年間だった感じですが、このコラムの24人の読者様はどのように過ごされたのでしょうか?疫学的確立からいくと、たぶん皆さんのうち20人くらいはこの間1回くらいは新型コロナウイルスに感染されたのではないかと思います。

中国の武漢で初めて報告された「2019-ncov」と命名されたウイルスはイタリア経由でヨーロッパへ広がり、ブラジルには2月に第1人目の感染者が確認されました。以降、コロナウイルスの特徴である変異の繰り返しをおこし、世界各地で感染拡大していきました。筆者は疫学を修得した事や中国に留学した経験などから、WHOが「人対人の感染はない」と発表していた2020年の1月中旬には「この感染症は世界的な流行になり、医療がまともに対処できるのには2年以上かかるであろう」と予測したものです。

この流行病は残念な事に世界のあらゆる所で政治的に利用され、ブラジルでも日本でも例外ではなかったです。そのため、不必要に人が大量に死亡した、というのが筆者の見解です。不自然な病原体の出現も含め、コロナ禍は人災と言えると考えます。医学では診断と治療が抱き合わせになっていますので、新しい疾病に対応するにもその約束事が縛りになります。つまり、今回の様に比較的早い時点で診断が確立しても同じスピードで治療方法が確立するわけではないのです。元々コロナウイルスは風邪の原因病原体として指定がある(註1)のですが、一般的な風邪とは異なる経緯をみせたCOVID-19の治療は手探り状態だった。現時点で流通している抗コロナ薬などはもちろん存在しなかったので、既存の薬物で利用できるものがあるのか必死に探した訳です。ブラジルを含め、主に欧米ではヒドロキシクロロキン(註2)が一番に治療薬として候補に挙がり、緊急使用されたのですが、使用方法が確定する以上に情報が暴走し、死者まで出て、政治利用もされ、結局落ちぶれてしまいました(註3)。

  • 註1:風邪の原因となるウイルスは200種類以上あるが、主はものはライノウィルス、RSウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、ノロウイルスの7種類。このリストに載っているのが「コロナはただの風邪」と言った人達の発言根拠。
  • 註2:hydroxychloroquine。元々抗マラリア薬および自己免疫疾患(全身性や円板状エリテマトーデス、リュウマチ性関節炎など)治療薬。ウイルスの増幅を阻害する効果や免疫系に作用し抗炎症活性をもつため、新型コロナウイルス感染に有効と考えられた。
  • 註3:2020年の前半は世界はパニックになっていた。場合によっては死亡率が25%にものぼる訳のわからない流行病なので、これが良いとちょっとでも噂になれば何にでも飛びついていたのだな。わらにもすがる思い。薬の毒性で死亡したり、大量に服用して劇症肝炎になったりがあり、それらが過剰報道されたり、隠蔽されたり。この薬物を使用した臨床研究も無茶苦茶なモノ(肯定的もあり、否定的もあり)も大量に発表された。また、製薬業界、医療器機業界、検査業界、政界、官界、学会など色んな利権が跳梁跋扈し人類の醜さが猛烈に曝露した。

ブラジルの場合、2020年の中盤にアマゾン発のガンマ株が当地の第一波になり、マナウスでは医療崩壊が起こりました。何とか2021年の1月にはサンパウロ州でワクチン接種が始まり、翌2月には本格的に全国で接種が普及していきました。現時点では既往歴があるなど、重症化のリスクが高い人を対象に5回目の追加接種まで来てます。ブラジルは世界的にモデルになる全国予防接種プログラム(PNI、Programa Nacional de Imunização)が1975年より作動している実績があるので、ワクチンの接種実施と国民の受け入れは大変スムーズ(註4)にいったと考えます(註5)。2022年年末の統計では今まで3587万人の感染者、70万人弱の死者となってます。感染者数で世界の5.5%、死者数で10.4%(註6)。直近1年で3波認められ、現在は第5波中です(註7)。

図1.ブラジルの新型コロナウイルス感染者数の推移。

COVID-19 new cases, Brazil.

  • 註4:当地ではコロナ死者が大変多かった。だれにでも周りにコロナ死者がいるくらいの勢いだったので、ワクチンに否定的な人もビビって接種に走ったと思う。
  • 註5:新型コロナワクチンについてはボルソナロ大統領が大変否定的で推進しようといった姿勢の反対だったが、一応国民全体に行き渡る量を購入して無料で配布したのは評価してもよいと思う。しかしその姿勢の揚げ足をとられ、コロナ死者の全責任者であるといった論調にされてしまった。
  • 註6:ブラジルのコロナ死者数は突出して大きい。この数字には疑惑があり、コロナ関連の緊急予算は「状況がひどい所に沢山出た」ので、地方行政が関係のない死亡もコロナ死者として提出していた嫌疑がある。そして、それらの予算はどこかに消えたものが多々あるようだ。
  • 註7:ブラジルの第2波が長く、1年近く続いた。

日本の場合、豪華客船の感染者が日本に寄港した特殊な事情で世界的にも早い時点でコロナ感染者を扱う事を要求されたのですが、感染者はそれほど増えず、2020年は数千人程度の感染者の波で推移しました。欧米諸国の数字と比較して非常に低いため、日本人にはコロナ感染しないX因子が存在すると言った説まで出てきました。しかし他国と比べてややこしい対応をしたため(註8)、その程度の波でも医療崩壊がおきたり、比較して高い致死率が現れました。万単位の感染者の波は2021年の8月頃に起こったため、ワクチン接種が普及しだし規制緩和の方法に向かっていた先進国と反対に規制を強める方向に行ってしまいました。更に、その年末にオミクロン変異株の流行でワクチン接種がある程度進んでいたにもかかわらず、緩和のタイミングをすっかり逃してしまったと思います(註9)。ワクチン接種は近年の副作用パッシングで実施責任のある地方行政がすっかり萎縮してしまった環境(註10)で一から集団接種の方法をセットしないといけなくなりました(註11)。流行病のワクチン接種は迅速にできるだけ人口の大多数に行き渡るのが肝要なのですが、煩わしい接種券の発行や接種後一定期間観察できる環境を設けた会場の設置などややこしい事をしたため、折角2021年の2月には接種を開始したのに、実質的には5月に状況が整い、普及といえる状況はようやく7月頃になってしまいました。また、この場合の接種の重要性の説明が正確にされたとは思えないですし、マスゴミは副作用にばかり焦点を当て、社会全体が新型コロナウイルスと戦ったとはいえない経過だったと筆者は観察してます。2022年年末の統計では今まで27百万人強の感染者、5万3千人強の死者となってます。感染者数で世界の4.2%、死者数で0.8%。日本でも直近1年で3波あり、現在第8波に入ったとの認識です。

図2.日本の新型コロナウイルス感染者数の推移。

COVID-19 new cases, Japan.

  • 註8:日本は新型コロナウイルス感染を法律的に感染症法2類相当に指定したため、すべての感染例を行政が扱う事になった。つまり感染疑いもすべて行政(末端では保健所)が扱うので、百人単位であればまだ全例把握が可能であるが、千人万人単位になるともちろん取り扱う事ができるわけがない。この2類相当指定のため、一般の医療機関は発熱患者は事実上取扱禁止になり、検査一つ、解熱剤一つ出してもらうのも保健所を通さないといけないといった状況になった。発症して1週間放置されていた例などは沢山紹介された。
  • 註9:言わずもがな、流行病のための規制を緩和しないと社会生活ができない。
  • 註10:1992年に予防接種副作用裁判に国が敗訴した事も重要な要因であろう。
  • 註11:集団接種のやり方を知らない自治体が全国に多数ある事が判明した。

COVID-19を3年間経験して筆者は次のように考えます:

  1. 新型コロナウイルスは非常に不自然な生態をもっているが、突然変異しやすいRNAウイルスの一種であることは変わりない。
  2. COVID-19は他のコロナ感染症のように呼吸器系を侵すがその病態の根本は免疫疾患、循環器疾患である。
  3. 新型コロナワクチン接種で得られる免疫は半年以下しか持続しない。
  4. 新型コロナコロナワクチンは感染そのものを防ぐ効果はないが、重症化や死亡のリスクを減らす事ができる。
  5. ソーシャルディスタンスやマスク使用などで他人と接触しない機会が増え、本来人間が持っている免疫能力が低下している。
  6. 予防接種を主にした防疫政策のため、現時点では重症化や死亡する人が激減している。
  7. 無症状例や軽症例が増えたため、感染していても普通に社会活動を続ける様になり、現行や前回の波のような感染拡大が起こっている。
  8. 現時点のCOVID-19は一般的な風邪と同じような臨床像が認められ、既往歴などの要因がない限り、めったに重症化しない。
  9. ワクチン接種した人がコロナ感染した場合が一番長期に持続する免疫を得ているようである。
  10. しかし全般的に感染症にかかりやすくなっている。

重症患者に使用される抗ウイルス薬を始め、治療方法が確立したのは多大に評価するべきだと思います。日本では軽症例に使用できる抗ウイルス薬が緊急承認されてよろこんでます(註12)。安全性が担保されないワクチン接種を否定する人に多く見られるようですが、この新しい抗ウイルス薬も安全性が確定していないので、「安全性」の理屈からいくと、どちらも否定すべきだと思うのですが… ワクチンにしても、製造に一定の時間がかかるので、どんどん変異していくウイルスの変異株に対応したワクチンを出しても、それを使用している頃にはまた異なる変異株が出現しているので、きりがないです。

『にもかかわらず、「今度のワクチンはなんちゃら株に効果あります」とかやってるのはなぜですかね。』

  • 註12:ゾコーバ®(エンシトレルビル)。抗ウイルス薬は高価なので、大した効果が認められない軽症例用のお薬はブラジルでは話題にも上がってない。

『ここまでくると、一般人口のCOVID-19は「普通の流感」のように扱ってもよろしいのではないか?ワクチンはどのみち感染防止効果はないので、インフルエンザのように予想される流行株を使用し、毎年一回接種とし、重症化抑制効果を狙ったほうが医療政策として正しいと思う。コロナ禍、もう止めにしませんか?』

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訂正:2022年9月のひとりごとに誤りがありました。お詫びをして訂正します。表の内、青色通知書 Azul, Tipo B  の部分:

誤:発行された州内のみで有効。

正:全国で通用。

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寓話:「ネズミ取りのお話し」

By: Kazusei Akiyama, M.D.

We are hungry. São Paulo. Caju©2022


2022年12月

寓話:「ネズミ取りのお話し」

南米にある国、ブラジルのある所に農場がありました。農場には主と妻の夫妻がいろんな動物と一緒に住んでいました。

 

ある日、住人のひとりのネズミが農場の母屋の壁の穴から居間をうかがっていると、農場主がなにやら包みを妻に見せてます。

「何か美味しい食べ物かな?」ネズミはそう思いました。

「ちょっとでもいいからかっさらえないかな?」

わくわくして主が包みを開けるのを待ってました。

 

「ほら、これを買ってきたよ。」主は夫人に説明してます。

なんと、包みからでてきたのは、ネズミ取りでした。

一部始終を見ていたネズミはパニックになりました。

「大変だあ!えらいこっちゃあ!この家にネズミ取りが置かれる!これは大変だあ!」

ネズミ取りのような恐ろしい物が設置されるのです。捕まったら死を意味します。

 

ネズミは他の住民に知らせないといけないと、大慌てでニワトリの所に行きました。

「ニワトリさん!大変です!主がネズミ取りを置くことにしました。危険です!」ネズミは言いました。

「ネズミ取りなんて、私はへっちゃらだわ。そんな物にかかる訳ないでしょ。私には関係ないわ。」ニワトリは言いました。

 

そこでネズミはブタの所に行きました。

「ブタさん!大変です!主がネズミ取りを置くことにしました。危険です!」ネズミは言いました。

「わしには関係ない!おまえらネズミの問題だろ。うるさい、あっち行け!」ブタは言いました。

 

かえって怒られたのでネズミはウシの所に行きました。

「ウシさん!大変です!主がネズミ取りを置くことにしました。危険です!」ネズミは言いました。

「あのね、ちゃんと見てごらんなさい。私みたいに大きな牛がネズミ取りにかかる訳はないでしょ?どこが危険なのよ?私には関係ないわ。」牛はそのように言いました。

 

ネズミは誰にも相手にしてもらえなく、すごすごと自分のねぐらに戻って行きました。

 

ネズミは毎日ビクビクして生活してました。

 

ある夜、バチンとネズミ取りが作動した音がしました。何事かと壁の穴から覗いてみると、通りすがりの蛇が尻尾のところから罠に挟まれてます。そこに、音がしたからと夫人がどうしたのか見に来ました。夜で暗かったので状況がよく見えません。ネズミ取りに近づいた瞬間、尻尾から挟まれていた蛇に思いっきり咬まれました。悲鳴を聞きつけた主が急いでかけつけました。

「大変だ。毒蛇だぞこれは。」主は叫びました。そしてすぐに夫人を病院に連れて行きました。

 

二日ほどして、夫人が退院して帰って来ました。でも体調がすぐれません。熱が続き、しんどいのです。

「これは何か栄養のつく物を食べさせてやらないといけないな。」主はカンジャ・デ・ガリーニャ(ブラジル風鶏雑炊(註1))を作る事にしました。ニワトリが絞められ、夫人にカンジャを与えました。

 

滋養食のカンジャを摂ったりしても、夫人の容態は改善しません。それどころか、悪化する一方です。そのうち、寝たり起きたりが困難になってきたので主は介護人など用人を増やす事にしました。いつもは夫婦で生活しているのですが、母屋には人が増えました。

「がんばってくれてる皆を養わないといけないな。」主はブタを屠殺して用人に食べさせる事にしました。

 

しかし、主をはじめ皆の懸命な看病にもかかわらず、夫人は亡くなってしまいました。夫人は大変温厚で社交的な方だったので、葬儀に近所や遠方からたくさんの人が最後のお別れに訪れました。

「人がいっぱいだな。これだけの人数だ… 仕方ない、牛肉料理を振るまう事にするか。」主はウシをつぶして弔問客をもてなしました。

 

結局、最後に生き残ったのはネズミでした。

 

教訓

全く関係のないと思っているところから災難が降りかかってくる。

 

『このコラムの24人の読者様。そこら辺に設置されているネズミ取り、本当にご自身には関係ないのですかね?注意深く思慮深く生活しないと危ないですよ。』

  • 註1:カンジャ・デ・ガリーニャ(canja de galinha)鶏雑炊は当地ブラジルでは滋養食であり、病人食の代表、代名詞。材料:ニワトリ(胸肉が最良)、米(できればインディカ米)、ジャガイモ、玉ネギ、ニンニク、人参、セロリ、トマト、オリーブオイル、塩、胡椒、ローリエ、パセリ。作り方はウェブで「ブラジル風カンジャ」を検索すると出てきます。

 

ブラジルの電子処方箋の扱い方(ブラジルには4種類も医療用処方箋があるのだ。続編)

By: Kazusei Akiyama, M.D.

Bottles. Guaeca. Caju®2022


2022年10月

ブラジルの電子処方箋の扱い方(ブラジルには4種類も医療用処方箋があるのだ。続編)

今月は先月のひとりごと、「ブラジルには4種類も医療用処方箋があるのだ。」の後編です。前編で展開した処方箋の説明では処方通知書(Notificação de Receita)が電子処方箋(註1)には添付できません。したがって、タイプAとB以外の処方が可能になります。コロナ禍で電子処方が発展し、現在、CFM(Conselho Federal de Medicina, 連邦医師評議会)のアプリを始め、memed、eleve、HiDoctor、Receita Digital、Doutor Prescreve等、色んな企業が参入してます。電子処方の使い方で疑問がある読者様もおられるので、筆者が使用しているmemedを例に利用方法を説明します。

註1:電子処方箋の名称:ポル語ではReceita Digital、発音はヘセイタ・ジジタウ、または、Prescrição Eletrônica、発音はプレスクリソン・エレトロニカ。

電子処方箋は携帯電話(スマホ)に送信されます。ご利用いただくには、お名前以外に、「SMS受診可能なブラジルの携帯電話」、「CPF、ブラジル納税者番号」、「住所(2毎綴りのReceita Controle Especialを発行の場合必須)」の用意が必要です。以下の図は携帯電話画面の操作になります。

医師が処方箋を発行すると、患者さんの携帯電話SMSアプリに次のメッセージが入ります(図1、図2)。

図1

図2

初めて使用する場合、承認確認画面があります。Aceitar e continuarをクリックして続けます(図3)。

図3

無料アプリのため、広告が出てきます。この画面は右上ペケで閉めます(図4)。

図4

処方が出てきます。ここでは医師や患者の名前が保護され表示されません(図5)。

図5

画面の「Desbloquear dados」をクリックすると、ユーザー確認画面が出てきます。ここで、現在使用している携帯電話番号の下4桁の数字を入力し、「Autenticar」をクリックします(図6)。

図6

医師と患者の名前が出てきます(図7)。

図7

画面を下にスクロールすると、QRコードが出てきます。これを薬局に提示する方法もあります(図8)。

図8

携帯電話を薬局に持参したくない場合は、処方箋を印刷して提出する事もできます。図8の「Baixar receita」をクリックすると印刷用処方箋が出てきます(図9)。

図9

抗生剤や抗うつ剤など2通のContole Especial処方箋の場合はこの印刷用が出てきます(図10)。

図10

『オンライン診察や電子処方を上手く利用すると、医療の利便性が高まるのは明らかだな。24人の読者様も是非賢くご利用くださいね。』