美女でも…どうしても冷めた目で見えてしまうのだな。第二弾

By: Kazusei Akiyama, MD


Can I go there? São Paulo. Caju©2010

2011年03月

今月のひとりごと:『美女でも…どうしても冷めた目で見えてしまうのだな。第二弾』

お~。先月からこのひとりごとで続けるとは?ネタ切れ!とこのコラムの22人の読者様に思われても仕方ありませんね。今月はカーニバルがあるのでそれにちなんだ内容です。美女なモレーナがたくさん出てくるでしょう?例えばエスコーラジサンバのハイーニァダバテリア(註1)の紹介等にに名前年齢出身地や身長スリーサイズがありますが、よくみると300mlとか400mlと容積が明記されている事があります。これが今回の「冷めた目」です。そう、豊胸手術で使用されたシリコンインプラントの大きさなのですね。

  • 註1:Rainha da Bateria de Escola de Samba. 直訳すると「サンバ学校の楽団の女王様」ですな。男ばっかりの楽団の花の役割。

日本人でなくてもギョッとする明記ですが、ここ20年で美容形成手術に関する社会的概念がすっかり変わったのではないかと思われます。美容形成手術が世界で二番目に多く行われているこの国ですが、これには事情があります。その一番がトロピカルなお国柄肌を露出する機会が多いため美容に関する意識が違う、二番が当地の外科医の腕が世界基準から見ても高い、三番が比較的安価で処置を受けられる、だそうです(註2、3)。

  • 註2:一番多いのが米国。
  • 註3:これには文化的な違いがあると愚考する。庭園が良い例で、フランス式や英国式庭園は自然を人工的な形に作り上げるが、日本式や中国式は自然を模擬する。つまり、欧米文化では自然は支配するものであって、東洋文化では共存するものであると考えるのではないだろか?それがこの様な行動にも表れると思う。

『 早い話、ブラジルでは立派なおっぱいはまず人工と疑っても間違いない。それほどポピュラーな処置になってる。 毎年10%の成長率だそうだ。このまま進むとブラジルの美女は美容手術の作品になってしまうのでは?ちなみに2009年度の調査では年間645千件の形成手術が行われ、約7割が美容外科であったのだな。元々形成外科とは傷や変形をきれいに治すのが目的の専門であるのだが(再建外科と呼ばれる)、美容外科の需要が多いのが現状。最近一番多いのがくだんの豊胸手術で約24%、次が脂肪吸引で約15%。ブラジル形成手術学会によると1990年代までは乳房の手術は縮小がほとんどだったそうだ(註4)。堂々とシリコンインプラントと言えばオカマがするものだったと記憶している。それが最近は女性がして当然の様子になってきた。それも爆弾タイプがいいらしい。インプラントメーカーの話によると当地では乳癌の手術後の再建に使用される自然な形の物ではなく、「尖った、オカマ好みの」ものが圧倒的に需要があるとの事だな。あちこちいじる(註5)のは本人が納得しているからいいと思う。見た目が良くなる以上に自尊心が向上するのが一番の効果だろう。医学的にみて問題点や副作用(註6)などもあるけど、ブラジルのちゃんとした病院では確かに外科の腕はいいので最近は医療ツアーが組まれているのも社会現象だな。関心のある方はブラジルでの手術は要検討ですぞ。ちなみに筆者は人工おっぱいは嫌いです(註7)。』

  • 註4:ごく最近まではブラジルの美女像は「胸が小振りでおしりと太ももが大きい」だったのだな。服装もその体系に合っていたし。いつから変わったのだろう。
  • 註5:その他の美容外科処置の上位部位は:腹部、目蓋、鼻、顔全体、耳。
  • 註6:シリコンインプラントの一番大きい問題点は耐用年数です。最近は破裂しても流出しない材料や施術方法などの進歩がありますが 一生ものではありません。副作用としては皮膚の縫合痕が残る場合があるのと、インプラントの周囲に炎症がおこり、組織が硬化してしまう、痛みがあるなどです。またこの慢性の炎症のため希にガンの誘発原因になっているのではないかと指摘されてます。
  • 註7:さわると痛がるし、それ以上に冷たい(血流がないから周囲の生きた組織より温度が低い)のが嫌いだな。

美女でも…どうしても冷めた目で見えてしまうのだな。

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年02月

今月のひとりごと:『美女でも…どうしても冷めた目で見えてしまうのだな。』

いきなり持ち上げて突き落とすひとりごとはいったい何事か?と心配になったこのコラムの22人の読者様、大丈夫です。別に変になったわけではありません。筆者が薬局に行った時の一コマを発展させようといった魂胆です。今週近所の薬局に入ろうとした時に美人なモレーナがちょうどお店を出る所で、目が合い、向こうは「お、カッチョイイ日系のおっさんだな」と思ったのかにっこり笑ってくれました。押せばひびく感じで0.01秒くらい嬉しくなったのですが、手元を見るとプラスチックのたらい(盥)を持ってますし、薬局から出てきた状況を考え合わせるとまず第一に頭に浮かんだのが「お、美人じゃん」ではなく、「ああ、膀胱炎か腟炎か痔がこじれているのだな」だったのです(註1)。

  • 註1:「カッチョイイおっさん」とはとても主観的な見方であり、「お、ちょうど良いカモだな」と美女が思ったとの一説もあり。ま~どっちにしても気分が萎える状態であったことは間違いありませんな。

『そう。内科医をやっていると探偵のような頭になるのかな?つまり断片的は情報をつなぎ合わせて意味のある説明=診断をする。この場合、女性+たらい+薬=「ああ」になった訳だな。 また、美人であるなしに関係無く膀胱炎や腟炎や痔になるのですな。ブラジルではbanho de assento( 註2)と呼ばれる治療法があり、日本の腰湯(註3)に似ているのだが、たらいに湯と薬を入れ、おしりだけ漬けるなんとも人様に見られたくない治療があるのだな。で、これが前述の病気治療に使われる。いきなりではなく、色々やってだめだと、「じゃあbanho de assentoでやってみましょう」といった感じで処方される。この美女さんもかわいそうにこじれているのだな~、と思ってしまった。腟炎と女性の関係は説明しなくても当たり前だな。なぜ膀胱炎かというと若い女性に多いから(註4)。あと痔は性別に関係無いように思われるけど、経産婦は痔になる可能性が高いのだな(註5)。筆者は単に漬かる事によるお薬の塗布だけではなく、温かいお湯が陰部の血行を良くし回復を促進させるのではないかと思う。日本では(その気になれば)毎日お風呂に入れるけどブラジルの生活では普通無理。どうしても腰が冷えた時に一度薬なしでもいいから( 註6)ためしてみてください。』

  • 註2:発音は「ばんにょであせんと」、直訳すると「座浴」ですな。
  • 註3:腰湯は東洋医学の考え方。薬湯ですることが多い。腰とお腹を温める目的がある。半身浴とはちがい、45℃前後の高めのお湯が使われる。今回の例のような少ない量を使う場合、座湯とも呼ばれる。
  • 註4:これは尿路感染では最も多い「急性単純性膀胱炎」のはなしで、尿道の短い女性に多く、会陰部に常在する大腸菌が原因であることがほとんど。他に「慢性複雑性膀胱炎」があるが、こちらは高齢者で男性のほうが多い。
  • 註5:妊娠により、下腹部の容積が増え、直腸肛門部静脈の下流にある下大静脈系が圧迫され流通障害がおきやすいため。
  • 註6:漢方薬などを使う手もありますが、入浴剤を入れると簡単にできていいです。ただし、頭や手足が濡れたままでやると冷えるので、身体が乾いた状態で座浴しましょう。

年末年始で太った分は運動して痩せる…かな?

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年01月

今月のひとりごと:『年末年始で太った分は運動して痩せる…かな?』

このコラムの22人の読者様、明けましておめでとうございます。旧年中のご支持ありがとうございました。今年もがんばってぶつくさひとりごとする所存ですので引き続きよろしくお願いいたします。さて1月は体調がいつもと違っている事が多いです。そして、年末年始の食べ会や旅行シーズンで体重が増えている可能性が大だと思います。カロリーの摂りすぎといろんな行事で忙しいので運動不足になる時期なのですね。健康の話では必ず運動(不足)が出るのですが、運動とはいったいなにか?のひとりごとです。

『要するに身体を動かす行為であるが、健康上、生理的効果、精神的効果と社会的効果があるのだな。生理的は疾病予防が一番わかりやすい。運動をしない事によって悪化する「太ること」はいろんな病気のリスクが増える(註1)。また、長寿の秘訣である「血行をよくする」行為の一つなのだな。精神的効果はうつやボケの防止がいろんな研究で解明されている(註2)。社会的効果は社交性が増すことだな(註3)。運動は急性と慢性、有酸素と無酸素、にも分類できる。短期的・長期的な効き目と体への負荷のかけ方の話だな(註4)。これら三つの効果といろんな分類が組み合わさって健康のためになる。一般的に運動不足にならないようには「毎週3日以上、一回45分以上運動しないといけない」といったような厚生労働省の運動指針などがあるが、去年米国の心臓内科学会の指針見直しでは「毎週5日以上、1日30分以上歩く、2回に分割してもよい」ことになった。これって朝15分と夕方15分歩けばよいわけではないですか。反対を言うとこれっぽちも運動してないぞという意味ですな。ブラジルの都会部で生活をすると歩くことが減るので運動不足になることはあっても増えることはないぞ。皆さんはこの基準以上の運動はされてますか?ちなみに年末年始の増加分は運動で取り戻すぞ!と決心された方、40分早歩きしてもコーラ1缶程度のカロリー消費しかしないので、同時に口を閉じないと減量しませんよ。』

 

註1:運動不足と明らかに関係のある疾病:肥満、2型糖尿病、高血圧症、高脂血症、脳梗塞、虚血性など心疾患、骨粗卒症、ボケ、うつ。

註2:例をあげると、運動をすることでインスリン様成長因子(IGF-1)生産され、脳由来神経栄養因子(BDNF brain derivated neurotrofic factor)が刺激される。BDNFと関係があるのが記憶、学習能力であり、これらの低下はボケ(の一種)である。

註3:運動するのに出かける、団体運動で社交活動が増す、など。

註4:急性の運動は脳の活動を活発にする。慢性の運動は心理的な達成感を満足させる。


平熱が低いんです…では良くないぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


Handroanthus albus (ipê amarelo). Gouveia. Caju©2009

2010年12月

今月のひとりごと:『平熱が低いんです…では良くないぞ!』

筆者の臨床現場でとても気になっているのが患者さんの体温です。 今年女性で34.2℃というのがありました。いわゆる「低体温」と呼ばれる状況ですね。 全体的に体温が低くなっていることは間違いないようです。 あまりデータがないのですが、日本人の場合、子供と老人の1/3が低体温であろうと推測されてます。大人のデータは見あたりませんね。30%以上だとするとこのコラムの22人の読者様のうち7人は低体温の計算になります。低体温は正常体温(註1)より低い状態と定義されますが、実は「たかが平熱が低いだけ」では済まされないのです。そして、済まされるべきではないのです。公衆衛生政策に取り入れられてもおかしくないと筆者は思います。

  • 註1:正常体温は測定方法によって数値がちがう。外気温の影響を受けにくい体内の深部体温は37.0℃前後;表層体温では舌下が36.8℃前後、腋下が36.4℃前後(いずれも±0.5℃程度の誤差がある)。子供はやや高め、お年寄りはやや低め。若干日中変動があり、朝起きた時が一番低く、午後3時頃ピークで夜にむかい下がっていく。

なぜ人間は体温があるかというと、恒温動物であるから。体温を自力で維持できるのですね。理由は生体内のいろんな化学的反応が効率よく行われる温度というものがあり、これが制御できると、生物として生活能力・生活圏が大きくなります。その証拠に人間は北極圏から赤道まで生活してます。 通常の体温は食べ物の化学分解によって発生し、血液とともに循環します。 調節はホメオスターシス、生体恒常性とよばれる自立神経機能によります。 ヒトの場合、 手足の末梢の血管を収縮や拡張させて調整を行います。

『まず始めに「低体温」「低体温症」「冷え性」の違いを理解する事だな。「低体温症」は冬山遭難など事故で発症することがほとんどであるな。医学的に使う手もある(体温を下げて障害を受けた脳を保護する脳低温療法など)。「冷え性」は手足末端が冷たく感じる自覚症状が必須である。「低体温」は自覚症状がない。体温測定して初めて判明する。冷え性では生体を維持するのに重要な内臓の深部体温を優先させる機能がちゃんと働いているのだな(註2)。低体温ではその機能が働かないので、どんどん放熱する。内臓から冷えていることも多い。体温が低いと基礎代謝や免疫力が低下するのだな。疲れやすくなったり、むくみがとれなかったり、痩せにくくなったり、風邪をひきやすくなったり、ガンになりやすくなったりするぞ。体温が1℃下がったら免疫力が2/3になる試算があるのだな。表に低体温の主な原因と理由、対策を示す。平熱35.9℃以下の方は一度生活の見直しをしたほうがいいぞ。病気になる前に。』

  • 註2:末梢循環は放熱するので、血流を減らして熱を内部(深部)に回す。

©秋山一誠診療所


医は仁術なのか?

By: Kazusei Akiyama, MD


2010年11月

今月のひとりごと:『医は仁術なのか?』

このコラムの22人の読者様、 季節の変わり目で体調を整えにくい今日この頃ですが、皆様お元気ですか?今月はとある患者様が「医は仁術でしょう?だから診察費は安くないといけない。」と発言されたものをひとりごとします。

『「医は仁術(なり)」を広辞苑で引いてみると「医は、人命を救う博愛の道である」とある。もともと中国の明時代の記述であるが、日本では貝原益軒が江戸時代に「養生訓」に用いた定義が一番有名であろう。つまり「わが身の利養のみ志し、人をすくふに、志専ならず。医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救うを以て志とすべし。」といった理論になるわけだな。病気になると必ず不安がついてまわる。普段であれば問題のない判断でも上手くできなくなる。要するに困っているところに付けこんではだめだぞということだな。医師と患者の関係はどうしても上下になりがちなので特に気を付けないといけない。ところが実際はそうではないのだな。「医は算術」なる言葉が出現したのが証拠でしょう。つまりお金持ちを優先したり、利益の多い処置を選択したり、売名できる状況を喜んだりすることが多々あった(ある)のだな)(註1)。筆者の仁術の解釈はポイントは仁愛の心であり、人が好きで人を助けるのを良とする心が第一ではないかと思う。利益目的の医学であってはならない。利益は患者にとって最適の医学を実施した結果であるべきなのだな。しかしそうではない経験が皆さんにはありすぎるのだな。だから頭の中での理解が仁術から算術に変換してしまい、総じて医療費は高いといった意見になるのではないだろうか(註2)(註3)? 反論すると”わが身の利養を考えるな”とは”貧乏をしろ”ということではないと考える。日進月歩の医学で最も重要なのは最新の知識を手に入れることであると思うが、これにはほどほどお金がかかるのだな(註4)。最低限の収入を考えると、安価で多人数を診るか、高価で少人数を診るか、このどちらかになってしまうのだな。皆さんは安いけど勉強もしてない(しない)(できない)医者に行きたいですか?』

 

註1:医は算術で圧倒的に有名な小説は山崎豊子の「白い巨塔」でしょう。22人の読者様たちにはお勧めします。少し前の時代の話ですが、根本は変わってません。こんな医療システムに自分の健康を委ねて大丈夫なのか疑問に思いますよ。

註2:もちろんこの現象の一番の責任は医師にあり!

註3:最近の医療費は高い。でも医師の報酬が高価ではなく、検査費用や処置費用などの医療の高度化のため費用の高騰が主である。また、三分診察で代表される保険診療も医療費を高くしているのだな:診察時間が少なすぎる(理由は診察報酬が低いので ー日本の場合、初診の基本料金は2700円(約35米ドル)ー 多人数診ないと経営がなりたたない)ので考える時間がなく、検査ベースで考察をしてしまうのだな。検査の方が高額なのに。

註4:ちなみに筆者は最新の医学書が購入できない収入になった時点で医業は廃業と考えてます。


海水浴をして免疫力を高めよう

By: Kazusei Akiyama, MD


Morro Dois Irmãos. Cacimba do Padre Beach. Caju©2010

2010年10月

今月のひとりごと:『海水浴をして免疫力を高めよう』

このコラムの22人の読者様、皆様お元気ですか?先月はお休みをいただきました。休暇中にはノルデスチ地方の某所でダイビングを楽しんで来ました。久々に海に潜って、その時つくづく思ったのが「人間の免疫力はすごい!」でした。なぜだか説明します。一度ダイビングしてみるとわかるのですが、どれだけ美しくて汚染のない海でも、明らかに大変な量の生物、微生物、浮遊物があります。魚介の生活代謝物はあるし、ワカメのような藻類や、辛うじて肉眼で見えるプランクトンやクラゲ類、見えない微生物、海水に溶けているミネラルなどなどです。 海水を舐めてみると色々な味がわかります。 それだけ「汚い」ところに入っていって大丈夫なのが今回のひとりごとです。

『そう。大丈夫なのだな。透明度の高い海に潜ると「汚い」のがよ~く見えるぞ。とにかく潜水作業そのものが忙しいので始めは気にもならないのだが落ち着いてくるとゾッとするぐらい生物がいるのだな。目の前できれいな熱帯魚がブリッと排泄してるし。でその中をゆらゆら移動している間に思ったのが、これだけ周りが「異物」だらけでも人間病気にもならないだけの免疫力をもっていることだな。抗菌抗菌といろいろあるが、あれはいったい何なんだろう?ダイビングしながら思ったのが、アトピー性皮膚炎に海水浴療法なるものは(註1)、これは適度な汚れが効果があるのではないか?海水には塩分を始めいろんなミネラルが溶けているのでそれがアトピーの皮膚に良いのではないかとされているが、筆者はそうは思わない。その証拠に塩水療法(註2)が無効の場合でも海水では有効例がいくらでもあるのだな。秋山説は二つ:①適当に汚い水が免疫力を高め、かつ正しい作用に導く、②海水浴は温かい所で行うので冷えが改善される(註3)。日本の小学生のアトピーの有病率は約10%とされているが、場所によっては3人に1人も有りうるそうだ。後進国では無い疾患だな。ブラジルでも少ないぞ。また、一昔はアトピーの85%が成人すると治っていたが、最近では大人になっても20%しかなおらないといったデータもある。これはアトピー要因が増えたのと、治癒する機会が減ったのと、主にステロイド使用で治るのが遅くなっている(あるいは治らなくなっている)のではないだろか?この内、治癒機会として海水浴が重要であると思いたい。アトピーでなくっても免疫には絶対にいいからこれから暑くなる季節なのでどしどし海に行ってもらいたいな。(註4)』

  • 註1:海水療法または海洋療法。正式にはタラソテラピーと呼ばれ、20世紀の初めヨーロッパで始まったレキッとした医療行為。でも日本では「タラソ」は癒し系・エステっぽいアプローチ。
  • 註2:食塩とミネラルを溶かした水で身体を洗う方法。
  • 註3:東洋医学的に診ると、アトピー患者さんは総じて冷えているのだな。炎症がおこってほてっているのに。いわゆる虚熱なのだ。これを西洋医学ではさらに冷やすので絶対によくならない。
  • 註4:日焼けには注意しましょう!

酒は百薬の長、にはなってないよな。

By: Kazusei Akiyama, MD


2010年08月

今月のひとりごと:『酒は百薬の長、にはなってないよな。』

東洋には古くから「酒は百薬の長」という言葉があります。実際ゆっくりと香りとコクなど味を楽しむ、酒席(コミュニケーション)を楽しむなどリラックスできますし、医学的には適量であれば末梢血管を拡張させ、血行をよくする作用など良い面は多々あります。でも現在の生活環境ではどうなのでしょう?結論から言うとカロリー摂りすぎの重要な要素になっているのではないかと思います。表の一般的なお酒とカロリーを見ると、例えばウイスキー1ショット125カロリー(成人男性の1日の必要カロリーの約7%)で、数値的に見るとそんなにとんでもなくはないのです。オレンジジュース(生)で1杯110カロリーぐらいなので比較してもカロリー量としては殺人的ではありません。問題はカロリー量ではなく、それの取り方です。一晩でオレンジジュース5~6杯は飲まないですよね。ところがウイスキーを5~6ショットは心当たりのある方は結構おられるでしょう。また、黙々とウイスキーを飲むということはありません、必ずおつまみだの食事だのさらにカロリーが取り込まれます。下手をすると、夜の一食で一日の必要カロリーを摂取していたりします。

『さらに、お酒はストレスの発散に使用されるので、「楽しむ程度」ですまないことが多いのだな。元のストレス自体も身体に悪いし。ブラジルだとカイピリーニャが好きな邦人が多いのだが、1杯300カロリーだぞ!このような環境でメタボになるなといっても無理かな?』


サンパウロの冬対策にはオイルヒーターがいいぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


2010年07月

今月のひとりごと:『サンパウロの冬対策にはオイルヒーターがいいぞ』

冬になりました。意外と寒いですよね。気温の数値そのものを見てると日本から来た方にはそんなに大した寒さでは無いと思われるのですが、体感温度が低いので「一体これは?」になる事が多いようです。悪い事に特に家の中が寒く感じます。これにはいろんな理由があるのですが、今回は対策の暖房についてひとりごとです。

『いきなりだけど、東洋医学では病気の原因として邪気、つまり健康を乱し病気を引き起こす有害なものが存在するとの考え方があり、内邪(内因)と外邪(外因)に分類される。外邪は「風・寒・湿・署・燥・火」の6種類ある。外邪が病気の原因になるのは過不足と体調の組み合わせによるものなのだな。つまり体力が充実しているとちょっとした邪気は病気にならないし、なっても激しく症状が出てすぐに治る。反対もしかりだな。体調がよくないとすぐに病気なる。暖房の話で脱線しているのではないぞ。サンパウロの冬は気候以上に環境(住宅、用地)が東洋医学の概念ではよくないのだな。上記の外邪の内、「風寒湿」が特に悪いのだが、正に当地の冬は風寒湿なのだな。まず風。家の建付が悪いしドアや窓の密封性が低いのですきま風が入る。寒は冬なので気温が下がって当たり前だけど、それ以外には家の建て方が涼しいのを優先しているので建材が石とかタイルとか冷たい物が多いのだな。日当たり悪いし。さらに湿は煉瓦の壁が夏期の雨(あるいは水道管の水漏れなど)をたっぷり含み家の中が結構湿気っているのだな。このような状況ではどのタイプの暖房(一般的にブラジルで入手可能な物)が適切か考えてみよう。

サンパウロの住宅事情を考えると、オイルヒーターが一番適切と考えられるのは、ランニングコストが良いのもあるが、ジワジワと効き目があるし対流効果もあるので、空気を暖めるだけではなく、壁や床も暖かくする事であろう。また、標高が高い都市なので夜中の3時以降気温が下がるのも当地の特徴であるが、この手のヒーターを着けっぱなしにしておくと室内の温度が下がらなくって快適だぞ。つまりオイルヒーターは室温を上げるというより下げない様に使用するのがいいのだな。また、ブラジルの住宅は日本の様に床の上に座って生活することを前提に設計されていないので、これをするととても冷える。ホットカーペットやコタツを使う手もあるが、前出の隙間風、特にドア下の、があってあまりよろしくないぞ。オイルヒーターの使い方は、スイッチを入れ、サーモスタットを全開にし、快適と感じる室温に達したらゆっくりサーモスタットを小さい数字に戻し、通電が切れたところで止める。こうするとその時点の温度以下になると電源が入るので室温をキープができる。だから気温が上がる日中は電源が入らないので着けっぱなしにしておいても大丈夫なのだな。購入にあたって注意が必要なのがちゃんとしたメーカー品でないと、内部のヒーターがアンダーサイズで熱効力が悪く電源がつきっぱなしになる(要するにパワー不足だな、ホームセンターで山積みで売っているようなやつ)ようだな。高級モデルはタイマーも付いているが、これは必需ではないと思う。一度だまされたと思って使ってみてください。日本にもって帰っても使えるよ(プラグを交換する必要はあるけど)。』


メタボは怖いぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


2010年06月

今月のひとりごと:『メタボは怖いぞ。毎日呪文のように唱えないと、なるぞ。』

前号で進化医学と生活習慣病についてお話しました。つまり、人類の進化における過程でカロリー源の認識能力やそれらの蓄積能力などが携わったわけですが、現代の生活環境においてはその能力が裏目に出て、生活習慣病になってしまう説です。いわゆる生活習慣病は最近ではメタボリックシンドローム、略してメタボと呼称されるようになりました。今回はメタボのひとりごとです。

『間違いなく現代の我々の生活環境と代謝能力はマッチしていないな。メタボは早い話、カロリー摂りすぎ症候群なのだな。それで脂肪が腹に蓄積される。で、その状態は高血圧、糖尿病、高脂血などになりやすいのだな。日本では40才以上の男性の半数弱がメタボになっている・なりかかっているため、今大騒ぎをしているが、これはなにも日本の政府が読者個人の健康を心配しているわけではない。試算では40才時点でメタボ罹患者は悪名高き後期高齢者になった75才時点で非罹患者と比較して10倍から15倍医療費がかかる。つまり、このままこの人口が後期高齢者になった時に医療費の予算がパンクするのが目に見えているからなのだな。でも予算があっても罹患しないほうが良いぞ。それだけ医療費がかかるということは、それだけ病気になることを意味しているから。さらに悪いことに、コロッと逝ってしまう病気ではなく、ジワジワ故障していくから20~30年いろいろ制限のある生活をすることになってつらいぞ(註1)。人間がどれだけ金持ちになっても一日に食べられる量が上限がある。そのため、工業先進国になるほど、食糧業界は商品に付加価値を付けるため一定量の中にできるだけカロリーを詰め込むことをする訳だな。これでカロリー余剰社会のできあがりだな。だから、我々のまわりにある食べ物はよほど注意して口にしないといけない(註2)。いとも簡単にカロリー摂りすぎになる。』

  • 註1:糖尿病+高血圧+高脂血症の典型的な合併症は血管障害=心筋梗塞、脳血管発作、腎不全、失明など。
  • 註2:内容に注意。量に注意。質に注意。食べ方に注意。

号外:「今年のインフルエンザウイルス予防接種は迷走が続く」

まだ5月下旬の時点でもメーカー在庫がありません。一部民間で入ったところは大騒ぎのうちあっという間に無くなったもようです。行政の接種も6月2日まで延期され、子供は5才まで拡張されました。引き続き「現在行政が実施している予防接種を受けた方が良い」と考えられます。特設サイトを作りましたのでご参照ください(註3)。

  • 註3: http://web.me.com/caju6/2010InfluenzaAtSaoPaulo

我々人類の病気も進化のたまものなのだな

By: Kazusei Akiyama, MD


Summer cloud. São Paulo. Caju©2009

2010年05月

今月のひとりごと:『我々人類の病気も進化のたまものなのだな』

病気の原因や成り立ち、それらが起こる本質を人類の進化の上で考える「進化医学」があります。1990年代の初頭より提唱され、去年のWHOのサミット会議で視点が当てられ注目を浴びました。仮説ですが、病気の治療もさることながら、健康を保つ生活をする上でいろんなヒントを与えてくれる考え方なので筆者はとても好きです(註1)。

  • 註1:色々書籍が出てます。興味のあるかたは「進化医学」で検索してみてください。

『150年前にダーウィンが発表した進化論を簡単にいうと生物は生存と繁殖の成功をめざし、自然選択による進化として知られる過程の結果であるのだな。病気に対する体の反応はこれの一環であるし、この観点で考えると病気になりやすい状況を回避できるのでは?一番簡単な例は「腰痛」だな。人類は二足歩行するようになり、両手が空き複雑な仕事ができるようになったが、脊椎に垂直の力がかかるようになったため起きる腰痛も同時に手に入れた。つまり生物のなかでは一番高等な仕事ができる代価なのだな。これは普段の生活の中で常に腰痛になる要因が存在していることを示す。現在のように運動不足になると(椅子に座ることが多い=運動している時間が少ない)脊髄を支える筋力が低下することを示し、腰痛になる確率が高まる。もう一つ好きな例が「人類の祖先を生存させた能力が現在の環境では病気の要因になる」だな。ほ乳類の黎明期で死に至らす原因で主なものは:①餓死、つまりカロリー補給問題;②感染症、つまり寄生虫や細菌などの侵入;③捕獲される、つまり当時支配者の恐竜などに食べられてしまった;がある。う~ん…。ひとりごとだぞ。仮説。それで、我々はこれらの問題をうまくクリアした個体の子孫であるわけだが、今の生活習慣病に関連しているのだな。食べられるものであることを認識する能力は人類の甘い物に対する愛が説明できる。甘いものほどブドウ糖が多く含まれており、大変効率の良いカロリーだから甘い物を好む選択が起こったのだな。摂取したものを蓄積する能力は食べ物にありつけない時期をやり過ごす能力に直結する。これはコレステロールを含む食事を好む説明(コレステロールは蓄積されやすい)や現在の飽食=カロリー余剰の状況では必要エネルギーの何倍もの食糧が、効率よく吸収され、排出されにくく、蓄積される。これで肥満になるわけだな。だから予防するには反対方向に動く必要がある、つまりカロリー効率の低い食事をすることや摂取量を減らすべきことを示す。感染症は免疫などの能力が優れていた個体が生き残ったわけだが、現社会では先進国になるほどアレルギーや自己免疫疾患などの免疫系の病気が現出したのだな。その証拠に貧困国にいくほど寄生虫や細菌感染が多く、このような病気が少ない事実がある。免疫系が手持ちぶさたになるわけだな。あまりきれいにするとアレルギーになるぞ、ということですな。捕獲されなかった先祖は危険に対する察知能力や回避能力が優れていたわけだな。後者がストレス反応と関連し、その時代では逃げるためや戦うために筋力や集中力が増加したのだ。これが現代になると捕獲対象になるような生きるか死ぬかのような大きなストレス要因はなくなったが、永遠とつづく毎日の小さなストレスにさらされるように変化したのだな。元々瞬発力がでるようにする反応なので、長期にわたると故障してくるのだ。だから、ストレス要因に過剰反応していると故障を早めることになるのだな(言うのは易し)。ストレスは感受性を弱める、ため込んだものは放出する、のが大事ですな。この理論からいくと、現代病の予防には「食べたい衝動を抑え」「ちょっと汚い(細菌学的視点)生活をし」「ストレスをため込まない」ことになりますな。皆さんいかがでしょうか?』

号外:「今年のインフルエンザウイルス予防接種は保健所でしたほうがよいと思う」

去年から大騒ぎになっている新型インフルは疫学政策やワクチン疑惑などいろいろありますのでまたの機会にひとりごとしますが、「ブラジルでは新型インフルのワクチンが足りなくなる可能性が高い」ので「現在行政が実施している予防接種を受けた方が良い」と考えられます。4月下旬の時点でメーカー在庫がありません。また仮に入荷するであろうと言われている5月下旬では、シーズンに間に合わないかもしれません。したがって現時点では保健所などで「妊婦」「6ヶ月~2歳児」「20~29才の健常成人」「年齢を問わない慢性病罹患者」を対象に接種が実施されてます(5/7まで)。5/10以降は30~39才の健常成人が対象です。実施場所などの詳細は情報公開されてます(註2)。