By: Kazusei Akiyama, MD
2010年06月
今月のひとりごと:『メタボは怖いぞ。毎日呪文のように唱えないと、なるぞ。』
前号で進化医学と生活習慣病についてお話しました。つまり、人類の進化における過程でカロリー源の認識能力やそれらの蓄積能力などが携わったわけですが、現代の生活環境においてはその能力が裏目に出て、生活習慣病になってしまう説です。いわゆる生活習慣病は最近ではメタボリックシンドローム、略してメタボと呼称されるようになりました。今回はメタボのひとりごとです。
『間違いなく現代の我々の生活環境と代謝能力はマッチしていないな。メタボは早い話、カロリー摂りすぎ症候群なのだな。それで脂肪が腹に蓄積される。で、その状態は高血圧、糖尿病、高脂血などになりやすいのだな。日本では40才以上の男性の半数弱がメタボになっている・なりかかっているため、今大騒ぎをしているが、これはなにも日本の政府が読者個人の健康を心配しているわけではない。試算では40才時点でメタボ罹患者は悪名高き後期高齢者になった75才時点で非罹患者と比較して10倍から15倍医療費がかかる。つまり、このままこの人口が後期高齢者になった時に医療費の予算がパンクするのが目に見えているからなのだな。でも予算があっても罹患しないほうが良いぞ。それだけ医療費がかかるということは、それだけ病気になることを意味しているから。さらに悪いことに、コロッと逝ってしまう病気ではなく、ジワジワ故障していくから20~30年いろいろ制限のある生活をすることになってつらいぞ(註1)。人間がどれだけ金持ちになっても一日に食べられる量が上限がある。そのため、工業先進国になるほど、食糧業界は商品に付加価値を付けるため一定量の中にできるだけカロリーを詰め込むことをする訳だな。これでカロリー余剰社会のできあがりだな。だから、我々のまわりにある食べ物はよほど注意して口にしないといけない(註2)。いとも簡単にカロリー摂りすぎになる。』
- 註1:糖尿病+高血圧+高脂血症の典型的な合併症は血管障害=心筋梗塞、脳血管発作、腎不全、失明など。
- 註2:内容に注意。量に注意。質に注意。食べ方に注意。
号外:「今年のインフルエンザウイルス予防接種は迷走が続く」
まだ5月下旬の時点でもメーカー在庫がありません。一部民間で入ったところは大騒ぎのうちあっという間に無くなったもようです。行政の接種も6月2日まで延期され、子供は5才まで拡張されました。引き続き「現在行政が実施している予防接種を受けた方が良い」と考えられます。特設サイトを作りましたのでご参照ください(註3)。
- 註3: http://web.me.com/caju6/2010InfluenzaAtSaoPaulo