白い車は売ってくれないんだって。以前は。

By: Kazusei Akiyama, MD


White cars for sale. Caju©2012

2012年02月

今月のひとりごと:「白い車は売ってくれないんだって。以前は。」

サンパウロ市内では最近高級車は白がブームのようです。実はこのブーム、火をつけたのはこのコラムの筆者なのです。本当に。日本在住の邦人にはなじみの深い「白い乗用車」(註1)ですが、サンパウロではもともと白色の車は商業車の位置づけがあった上に、1989年より市の法令により「タクシーが白」と決められてしまい、それ以来、はっきり言って敬遠されてきた感があります( 註2)。タクシー、営業車、個人に転売できない、など酷評されてましね。それで90年代はメタリックのシルバー系が大流行になり、街全体が「prata metálico」色になり、2000年代の前半に入り、「黒」(preto)  になってしまいました。なぜこのくそ暑い国で黒なのか(註3)?

  • 註1:現在世界的にみて、「ホワイト」は2割ぐらいだそうだが、日本はここ10年くらい30割以上のシェアがあるらしい。白は日本では根強い。これでも減ってきている傾向で、確かに80年代の日本では駐車場の車すべてがホワイトなど珍しくなかった。
  • 註2:海外ではタクシーの色を一目瞭然にしている所がありますよね。これが観光客など現地人ではない人たちにはわかりやすいですよね。ニューヨークのオレンジ、ロンドンの黒(ここは車種までが違う!さすが)、ベルリンのベージュ。ブラジルではリオの黄色、クリチバやポルトアレグレのオレンジ。日本はどこかあったっけ。
  • 註3:北米では明るい色(ホワイトやベージュなど)、ヨーロッパは暗い色、アジアではシルバー系が人気があるそうですが。

『黒い物は定義として「すべての波長を吸収する色」である。つまり、可視領域の色と同時に熱を吸収する特徴があるのだな。暑いところに黒い物を置くと、さらに熱くなるのは小学生の理科実験レベルでもわかる。それでも「高級車も大衆車も黒い車」状態になってしまい、一度読んだ記事では塗装メーカーの担当者が「(ブラジル人)は人類学的研究でもしてみないと、よく分からないですね」と言ってたのを記憶している。黒はシックであったり(註4)、ブラジル人は意外と保守的であるからそれの現れだとか、現象の諸説あるが、問題はこれだけ直射日光の強い場所で黒い車に乗ると、「暑い!」のだ。暑いとクーラーを入れる機会が増え、燃費が悪くなり、しいて大都会では空気汚染の悪化に貢献するのだな。同じ車で白と黒塗装では日中の直射日光下で内部が5度以上10度くらい差がでる試算がある。なのに「preto」だったのだな。』

実は筆者も黒い車を持ってました(2005~2009)。高級車ではなく、小型ハッチバックの黒でした。お店で薦められ、流行に乗せられて購入した手ですね。でも暑い。クーラーも前の車(註5)に比較して強くしないと効かない。それで、エコロジーの事(燃費ですな)や住居快適性を考えて、「絶対に白にするぞ」と買い換えに行ったのですが、なんとすんなり買えなかったのです。2年前の話、V社ディラーでは「作ってません」と嘘をつかれるし、T社ディラーでは「お願いだから白は買わないで」といわれる状態だったのですな。そこで筆者は臍をまげ、まわりの反対を押し切り(註6)、白い車を特注したのです。2009年ではブラジル全国1割以下のシェアであったホワイトが2011年では21%となり、シェア一番になった(註7)。サンパウロ市内の高級B社のディーラーではホワイトは2007年度販売の3%だったのが2011年には45%まで増えたらしい。表題の写真がその証拠で、最近撮ったものであるが、ホワイトがずら~と前に展示してあり、オレンジが1台、黒が端っこ、シルバーが後ろに目立たないように置いてあります。納車した当初(2009年9月)はまわりからぼろくそに言われていたのが、今は「かっこいい」んだそうです。でもサンパウロ市内ではよくタクシーに間違われて手挙げられます。

  • 註4:大衆車に乗ってシックも無いと思うが。
  • 註5:悲しいかな、それも当時流行のメタリックのシルバー。
  • 註6:本当だぞ。
  • 註7:でも日本では白が減って黒が増えてきているそうだ。今頃、脱「白でないと売れないから白」をしてるのかな?黒は暑いぞ。

食の安全とはどういったことだろう?

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年01月

今月のひとりごと:「食の安全とはどういったことだろう?」

読者の皆様、明けましておめでとうございます。2012年もどうかよろしくご愛読いただけますように( 註1)。現在年末に原稿を書いている訳ですが、2011年のトップニュースやベストなんとかなどが出回っております。邦人にとっては、東日本大震災と福島原発事故がインパクトが大だったことは間違いないでしょう。ブラジル在住の方達も、実際影響がありましたよね。今年は日本からの輸入食品が一時期見あたらなくなり、その後も不定期的な入荷しかありません。これは、ブラジルの衛生監督局(註2)が3月12日以降日本で生産された(人間用の)食品の輸入を規制したからです。理由は食の安全の確保、つまり、放射性物質に汚染されたものが国内で流通し、公衆衛生上問題を起こすことを未然に防ぐため、ブラジル国家が施行してくださったわけです。このため、食品関連の個人輸入が禁止になり、日本のじじばばが郵便で送ってくれたちょっとした食べ物が返送されるようになりました。また、行政の産地証明が必要になったので(註3)輸出入業務に時間がかかり、在庫が不安定になり、欠品が大量に出たのですね。この様な「水際で国家を守る」ような政策はブタインフルが出現したとき日本で入国規制があったように、「大抵失敗」するのですが、パフォーマンスとしては効果ありますよね。この「食の安全」で筆者が考えさせられたのが、 話がぶっ飛ぶようですが、コーンフレークスは「食べ物ではなかった」事実です。実は筆者の自宅台所に害虫が発生しました。コクゾウムシなるものですね( 註4)。要するにデンプンを食するわけですが、被害にあったのが国産白米、イタリア製乾パスタ、小麦粉で、コーンフレークスがまったく無視されてました。袋開いてたのに。ということは、虫がこれは食べ物であることを認識しなかったのでね。コーンフレークスは食べ物ではなかったのだ~。子供に食べさせていいのかな?この件で、子供に食べさせている食品は「食の安全」の狭義はクリアしているのだろうけれど、広義の安全、つまり、心身的そして社会的健康上有用かつ安全であるかということです(註5)。筆者には疑問点が多々あります。疫学の業界ではラテンアメリカでは2025年までに糖尿病人口が現在の3倍に増えると言われてます。運動不足が増加していくような生活習慣以上に、口から入る食べ物に問題があるからですね(註6)。例えば、いわゆるジャンクフードとされる食品(註7)は糖質が多いので、糖尿病と関連があることが判明してきていますが(註8)、前出のブラジル衛生監督局は「砂糖摂りすぎ注意の表示」すら実施してない。こんなので大丈夫ですかね~?食の安全は自分自身で考えたほうがよろしいのでは?

 

註1:去年の年末に5人帰国されましたので、19人の読者様になってしまいました。

註2:ANVISA (Agência Nacional de Vigilância Sanitária) 保健省国家衛生監督局

註3:各都道府県が産地証明を発行しないといけない。また、 福島近辺6都県の産地では放射線検査クリア証明を提出する必要がある。

註4:ゾウムシ科、世界分布するイネ科穀類の大害虫。米、麦、トウモロコシ、パスタ、乾燥芋、乾燥麺などに加害する。

註5:食の安全は「食べたら死ぬか?」から入るのはなく、「食べたら生きるか?」から考えないといけないと思う。つまり、「食べたら病気になる」のを避けるのではなく、「食べたら健康になる」のを推奨すべき。

註6:量の問題。質の問題。

註7:ジャンクフードは現行の「安全面」では全くクリアした”食品”であることを強調したい。

註8:砂糖の摂りすぎが有害であることは「まだ世間の常識ではない」のだな。 たばこが有害であることが常識になるのに約30年かかったからな。


ポリオには予防接種が圧倒的に効果ありだぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年11月

今月のひとりごと:「ポリオには予防接種が圧倒的に効果ありだぞ!」

毎年10月にWorld Polio Dayなるものが存在することは皆さんご存じでしょうか?ポリオとは急性灰白髄炎(poliomyelitis、脊髄性小児麻痺)つまり「小児麻痺」と呼ばれるウイルス性疾患です(註1)。根治的な治療はく、後遺症が残ると、一生障害者になる病気です。そのため、世界的に根絶をめざす感染症の一つに挙げられおり、ここ約20年で発症例が99%減少している事実をみると根絶事業はかなり成功していると言ってもよいのではないかと思います(註2)。その反面、日常では予防接種カレンダーの一部とぐらいにしか思い出さないため、 「まだあるぞ」を強化するためのポリオデーなのです(註3)。

『1950年代、1960年代には先進国で大流行していたポリオが今や日本のニュースにあがるのは、来年度から(日本国の場合)不活性ワクチンが認可されるため、生ワクチンの「接種控え」するケースが出てきたり、行政単位で混乱した情報がでたりで、いきなり、「生ワクチンは怖い」世論になってきた感があるぞ。ポリオワクチンは2種類ある。経口生ポリオワクチン(OPV、Oral Polio Vaccine、ブラジルではSabinと呼ばれることが多い)と不活性ポリオワクチン(IPV、Inactivated Polio Vaccine、ブラジルではSalkと呼ばれることが多い)であるが、どちらも1950年代に米国で開発されたワクチンである。後者のほうが先に認可・使用開始された。OPVは弱毒性の生ウイルスを経口で飲み込むため、接種者とその家族の感染例(註4)があるのでIPVより安全性が低いと評価されたのだな。ところが感染を起こさない安全とされるIPVはポリオの重症化(後遺症を残す)を軽減する効果はあるが、対人感染(流行)を防ぐ力がないことが判明した(註5)。そのため、国家政策レベルの接種事業ではOPVが使われるようになった。これには、接種しやすい(経口1滴である)、安価であることも幸いした。いまさら怖いと言われるOPVのおかげで根絶近くまできたのに…』

実際普段の生活をしていると、流行性のポリオに罹患する可能性はほどんど無い世の中になってきました。そのため、IPVがブラジルも含め(註6)世界的な流れであることは間違いないでしょう。簡単にいうと、流行感染に対して予防をするのではなく、万一感染した時に重症化しないための予防です。昨今のSARSやブタインフルの様に、現在は航空機でアットいう間に感染症が広がる世の中です。IPVが出来ないからといって、OPVの接種控えはよくありません。メディアの情報に流されないように注意したいものです。当地に来られている子供さんにはIPV接種は可能です。かかりつけ医に相談してみてください。

 

註1:ピコルナウイルスの一種。感染することにより、脊椎の灰白質が炎症を起こす。後遺症として、下肢に左右非対称性の弛緩性麻痺が残ることが多い(0.05%くらい)。1~2週間の潜伏期間後、風邪・急性胃腸炎(腸風邪)のような症状が現れ、熱が下がった後、弛緩性麻痺が起きる(1%くらい)。呼吸に関する神経が冒されると死亡する危険がある。

註2: 現在ポリオがあるのは世界で4カ国のみ:インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア。

註3:根絶とは「無くす」ことであり、「減らす」ことではない。例が天然痘。感染力がつよい病原菌の場合、根絶せずに自然界に残ると、いくらでも増殖する。

註4:ポリオウイルスは腸内で増殖するので接触者は接種者の排便に触れることによって感染する可能性がある。

註5:腸内感染を予防出来ないので排便により流行を維持してしまう。

註6:ブラジルではIPVは認可済みであるが、民間医療機関で使用。キャンペーンはOPV使用であるが、来年からIPVに移行する。


今月は単純に空気清浄器のお勧めなのだ。

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年10月

今月のひとりごと:「今月は単純に空気清浄器のお勧めなのだ。」

なにをひとりごとしようか?と候補に挙がったのがこの季節多い呼吸器疾患でした。それで以前の原稿を見たら、ちょうど2年前(註1)に風土病とカビ退治と空気清浄器の話がでていたので、あ~やはり季節なのだなと自分で妙に納得してしまいました(註2)。引用「 特に1日の間過ごす時間が多い寝室では空気清浄器の設置は必須だと考えます。カビ退治は終わりなき戦いですが、サンパウロでは健康法の一つだと思いませんか?」の空気清浄機の設置について考えてみます。結論からいうと、サンパウロで生活をするにあたり、日本製と当地製の器機併設が一番好ましいと思います。

  • 註1:2009年10月号。
  • 註2: その場の思いつきで原稿を書いているからこのような再現性ができるのだな、と理屈をつけられますな。

『空気清浄器は厳密に分類すると集塵機(ほこりやハウスダストや花粉など微粒物質を除く)と脱臭器(たばこや残り香などの臭いを除く)に二分できるそうだが、最近の日本製の機械は両方の機能をもっているのが多いようなだ。日本の清浄器では一時期「イオン式清浄器」(註3)がとてももてはやされた(過剰宣伝によるものだという意見も多々存在)が、ハウスダストなどには効果なしとのことで現在はほとんど全滅している。花粉症の多い国であるから、それを取り除く効果がある集塵式がメインになるのはとても理解できる。微少物質を取り除くにはフィルターが必要になるのだが、このフィルターに通過させるには通風(つまりモーターでファンを回すこと)が必須になるわけだな。但しこの方法だと、回しっぱなしにしないと集塵してくれない。ランニングコストと騒音という問題がどうしてもでてくる。それで、とてもハイテクなセンサーで微粒子などを監視し、必要な時に稼働する機械が多いようだな。ところが、このセンサーも監視範囲があり(あまり広くないのだな)、その範囲に対象の微粒子が入ってくれないと、動いてくれない(註4)。つまり、この手の清浄機は埃や花粉が舞い上がった状態でないとベストの働きをしてくれないようだな。そこで、ブラジルで発明されたとても単純な空気殺菌器(esterilizador de ar、但し特許のため、下記註5のメーカー製品に限る)の出番があるのではないかと考える。電気で熱せられたニクロム線の間に空気が通るようにしてあるだけ。熱の上昇気流で入ってきた埃やハウスダスト、菌などが器機に触れて言葉のとおり燃焼してしまう方法なのだな。ファンがないので無風運転のため静かなのはいいのだが、空気貫流を考慮しないといけないのでごちゃごちゃと物が置いてある所にはむいていない。また、この機械は点けっぱなしで運転しないと効果がない。筆者が実際使ってみた感じではこの日本製のハイテクフィルター(註6)の空気清浄機で突発的に発生した病気と関係する空気汚染(註7)を排除し、ブラジル製のローテク器で一日中ジワジワと微生物を焼いていくのが一番健康には効果的ではないかと思うぞ。』

  • 註3:電極に高電圧をとおし、その間の空中に放電をつくる方法。この放電スペースに入ってきた微粒子を帯電させて電極的に付着集塵させる。
  • 註4: また、以外にも多いのが、センサー部の汚れで、汚れが溜まるとセンサーとしての働きをしていない。
  • 註5:メーカー名Sterilairモデル名STR-4、市場価格250レアル前後。
  • 註6:HEPAフィルターやULPAフィルターなど、活性炭入りなど。
  • 註7:サンパウロでは:①自動車の排気ガス。②カビ(『カビの胞子が呼吸器に入り、直接病気をおこさなくても感染症の土壌を作る。(…)胞子自体にアレルギーをおこす場合もあるし、カビが産生する物質(主に自身が付着している所を分解する酵素、エサになるのですな。これがカビの臭いの素。)に対するアレルギーも考えられる。なぜか夏より冬から春にかけてがカビの季節で、呼吸器疾患になりやすい季節とかぶるのもサンパウロの特徴ではないかな。カビに関しては本当に住居環境が悪いぞ。』)

ひげ一つで世の中の見方が変わるのだ

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年09月

今月のひとりごと:『ひげ一つで世の中の見方が変わるのだ』

今月もまたどう医療と関係があるのだと文句が出そうなひとりごとです。このコラムはひとりごとなので、好きな事を書いて良いと24人の読者様にはご了承いただいてますのでいいのです。髭は男性ホルモンに依存するので、あたりまえですが、思春期以降の男性に濃く生えます(註1)。一般的に我々モンゴロイド系人種は体毛が少なく、白色人種が含まれるコーカソイド系は髭をふくめ多いのは一目瞭然です。多い少ないはその人種が分布している地域の気候風土への対応との学説が有力です(註2)。でもそれ以上におもしろいのが、以前「体重」についての時代の変化に書いたように、「髭」も時代によって評価、流行があるところです。これは人間の第一印象である顔に大きく影響を与えるからであるからなのですね。

『なぜ髭のことを書いているかというと、筆者が7月のお休みの時に3週間ほど髭剃りを怠けたのだな。この無精髭の状態で「大胆にも」人前にでたら、以外や、女性に良いの悪いのとかなり意見をされた。で、以外にも「良し」の意見が多く、どうしてなのかちょっと考察したわけだな。筆者自身は初めての髭面ではっきり言って違和感があるし、このままにするかどうか迷っているわけだけど、いろんな意見がおもしろかったのでひとりごとするぞ。』

髭に関するアンケート(女性の意見)を色々みると、大きく分けて「嫌い」「好き」「どっちでもよい」の3回答になります。「嫌い」の代表的な理由は「不潔そう」「清潔感がない」(註3)、「好き」の場合は「清潔感がある」「おしゃれ」(註4)、最後の意見のキーワードは「似合っていれば」(註5)であるのではないかと観察します。こう見ると、好きと嫌いの分かれ目は清潔であるどうかになります。つまり、おしゃれに手入れしていれば可で、どこかの公園で生活しているおっさん(髭=堕落?)までいかなくても、ちゃんと風呂にも入らないような輩の無精髭はNGと言うことになるのでしょうか?

『でも「嫌い」の意見によくみるので相反しているいるのが、「手入れしないとかえって不潔」X「なにを頑張って手入れしているの」。これは判らん。 どうしてほしいんだ? 24人の読者様の女性の解説が必要ですな。もう一つの分岐点が、髭と触れるか触れないかで好みが分かれる所だな。触れると痛いから嫌が一番多く、触れないとどっちでもよいのグループになるのが多い。つまり身近な髭は嫌いで、観賞用は好きになるのかな(註6)?』

それで比較的身近な女性達の意見を聞く事にしたのですが、大体3対2で「良い」が多いので、わりと「似合っている」ほうなのでしょうか?医者が髭とは不潔でいかんとのご意見もいただいておりますが。でも一番鋭いコメントが:「世間に背を向けているのでは?」でした。外界と隔絶?そうなのかな?

 

註1:もちろん女性にも男性ホルモンはあるので、同じように思春期以降若干髭が生えます。人種や個人差により濃さが違いますが、一般的な状況以上であると、内分泌系の病気である場合(例:多膿疱性卵巣症候群、下垂体腫瘍、副腎腫瘍など)が考えられますので、精査が必要です。

註2:その他に以前書いた「進化医学」の観点から見るのもおもしろいです。髭の有無は男性ホルモンの有無、つまり生殖可能である事を示す。人類の黎明期では寿命が20才くらいで、繁殖期間が短かったことが関係しているのではないか?髭のある男性は生殖可能であることを女性にアピールすることができ、子孫を残す可能性が増えた。反対に髭のない女性はない事で女性である事をアピールできた。これは毛皮や布など何らかで体を覆っていた寒冷地に当てはまる。裸で暮らすことができる年中暑い熱帯地では男女の識別のために髭は必要なかったので比較的退化した。

註3:その他多い意見:胡散臭い。汚らしい。強く見せようとする心理がきらい。コンプレックスを隠している。似合わない。性を強調しているようで気持ち悪い。自意識過剰。

註4:その他多い意見:かっこいい。セクシー。男らしい。ワイルド。(嫌いと比べて少ないな…)

註5:この似合っていればの基準もおもしろい。童顔、おじさん、外国人、かえって日本人、細身、やさ男、男らしい人などに、似合う似合わんと女性の好み放題。基準なし。

註6 :観賞用の俳優や選手、タレントの名前が出るのだが、髭があるからかっこよいのは一人もいないのでは?


はっきりしないと、そのうちクロマグロが食べられなくなるぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年08月

今月のひとりごと:『はっきりしないと、そのうちクロマグロが食べられなくなるぞ!』

今月はどう医療と関係があるのだと文句が出そうなひとりごとです。実は健康に良いとされている魚食について考えてみようと始めたのです。で、結論は「優柔不断はいかん、特に欧米社会においては」だったのでした。我々日本人は礼儀正しく、平均的な価値観を好み、協調性が高く、おくゆかしい民族だと思います。狭い日本国内で生活するには非常に有用な特徴ですが、外国からみるといいもわるいも自己主張が下手と思われないでしょうか?海外でこれをやりすぎるとはっきり言ってなめられます。その最近の良い例が2010年3月にもう少しで可決されたマグロ国際取引全面禁止、漁獲規制ではないでしょうか?日本は世界のマグロの約1/4を消費するということで、クロマグロの漁獲量を2割減らせを呑みました。昨今の世界的な寿司・刺身ブーム、また健康食ブームで「日本人以外」のマグロ需要が増えているのが(そのため乱獲もふえている)一番の理由なのに。

『なぜそれほどマグロと健康が関連しているかというと、①良質の脂質源である、②良質の蛋白源である、ことが広く世界に認知されてきているから。マグロや鮭、鯖、鰯、秋刀魚など脂分が多い魚には健康に良いオメガ3脂肪酸が豊富にある(註1)。この脂肪酸を定期的に摂取すると動脈硬化や脳梗塞、虚血性心臓疾患などの予防に役立つことが解明されてる。このような循環器系の疾患が欧米人は多いので注目を浴びているのだな。蛋白源に関しては、いわゆる「肉」の問題は体内で腐敗するからいかに上手く排泄するかがポイントになる。あるいはいかに体内に残らないかが上質な蛋白質であるわけだな。簡単にいうとニチャニチャした肉は消化されても腸壁にへばりつき、そこから炎症をおこしたり、毒素を発生させたりする。一番良くないのが牛肉だな。豚肉のほうがさらっとしている。続いて鶏、いちばんニチャニチャしていなのは魚(註2)。この肉の体内腐敗はガンのリスクと直結していて、戦後の日本人の食生活の欧米化は大腸癌を3倍近く増やしているのだな。欧米でのマグロ食は元もと存在するが(註3)今回ひとりごとをしている件の関心には、それ以前に1980年代から注目された欧米での欧米食の問題→健康食ブーム→それにマッチする寿司刺身→難解かつ高価な健康食を食する(できる)欧米インテリの構図があったと思う。』

実は魚食はいいことばかり無く、メチル水銀やダイオキシン汚染問題があったり、最近では養殖ものの危険性が指摘されてます。ブラジルで流通している養殖ものの魚介類はサーモン(チリ産)、Saint PeterやTilapia、ニジマスなど(淡水、国産)、クルマエビ(汽水、国産)などがあり、水質汚染、抗生剤使用、染料着色エサ、ダイオキシン汚染などが確認されています。米国の大学の研究では養殖サーモンの内ではまだチリ産が「一番まし」とのことですが、手放しで喜んで食してもいいのか少し疑問です。ましてや現地の「sushiX」にいくとサーモンばっかり食っているブラジル人は大丈夫なのでしょうか?

『いずれにしても1970年代までは、「生で魚を食べるなんて野蛮な」とすっごく軽蔑していたブラジル人だったな、よく覚えている。(たぶん他の欧米人も同じ)。中国人においては2000年代まで、「海の魚を食べるとアレルギー体質になるし、生など身体が冷えるからとんでもない」と言ってたぞ。それがマグロ漁を規制しないといけないほどの需要になってきているのだな。でも、はっきり言って魚の味をよくわかっていない方達なので(註4)、このさいマグロの消費はご遠慮いただき、日本人を含む元もとの食文化にあった人達がいただくということにしてはいかがでしょうかね?(註5)』

 

註1:魚油=オメガ3脂肪酸:EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)。その他の栄養成分:タウリン、アスタキサンチン、ビタミン類(A,B12,D3,E)、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン。

註2:これらの「肉」でハンバーグを作ってみるとよく判ります。さらっとした肉はバラバラになりますね。

註3:地中海料理に出てくる。イタリアではマグロのからすみ(bottarga)、ポルトガル料理もあり、また海洋国のモルジブやキリバスでは魚肉が主食。1900年代初頭にアメリカでツナ缶が開発される(ビンナガマグロ)。

註4:ブラジル人の寿司刺身の味は「醤油」の味。魚の身は単なる基質。ただでさえ脂っぽいサーモンにマヨネーズやクリームチーズを付ける。「先日刺身を食べてとってもおいしかった」と言うので「何がおいしかったか?」と聞くと、「サーモンとマグロと白身の魚(フカだったりする)」程度で”日本食通”。

註5:ちゃんと言わないと!捕鯨問題は日本がバッシングにあっているが、元もと鯨を捕りまくったのは欧米諸国(鯨油用)でほとんど全滅させたのではないか?結局戦後食肉を確保に出た日本がババを引いた形になったいるぞ!


痩せていればよいというものでもないぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年07月

今月のひとりごと:『痩せていればよいというものでもないぞ』

先月サンパウロ市内でSão Paulo Fashion Weekが開催されてました。これはブラジルでは一番大きくかつ重要なファッションショーで大変な額のビジネスにつながるそうです。それで大挙してモデルさん達がサンパウロに滞在していたのですが、全員背が高く、ヒョロッと痩せた(そしてなにを考えているのか判らない表情をして)集団が診療所があるJardins地区に出没してました。今月のひとりごとは女性の「痩せ」について考えます。

『もともと太っているとか痩せているとかの基準は時代や場所で変更したのだな。昔のほうが太り気味のほうが美人だった。一例がモナリザや日本のおかめ美人。痩せているのは裕福でないと考えられたのだな。この考え方は現存し、アフリカのナイジェリアでは「太るダイエット」(註1)を実施するSpaなどがあるのだ。美人は太ってないといけないらしい。ところが、最近の西洋社会が発信する「痩せが美しい」が主流になってきたようだ。ファッションショーなどは美の方向性を示すものであるから、この痩せがどんどんエスカレートして行き、しまいに拒食症な感じのモデルさんが大量に発生し、2006年にスペインではBMIが18.5以下、つまり「痩せ」の基準に入るモデルさんはショー出場禁止にまで発展した。』

体重の話でよく出てくるBMIとはBody Mass Index、体格指数のことで体重と身長から計算(註2)されます。正常範囲は18.5と24.9以内とされており、それ以下が「痩せ」、以上(註3)が「肥満」の基準になります。単なる体重と身長を使用した指針ですので、ものすごく身体を鍛えていて筋肉質であったら肥満の基準に入りかねません。そこで腹囲(註4)を補足したり、皮下脂肪キャリパー(註5)を使って腕を測定したり、体脂肪計(註6)を使用したり、新規な基準であるBody Volume Index、体積指数(註7)が提唱されたりしてます。栄養学的に一番正確に肥満や痩せを計測するにはDEXAと呼ばれるレントゲン装置を使ったbody composition測定、身体組成測定がベストであると異論がありませんが、大型の機器が必要で簡単に検査できません。

『一応理想的なBMIは22とされているのだが、日本人女性の場合、これが一般的な健康人を反映しているか疑問があるのだな。オーバーウェイトというのが存在しないのもその証拠の一つであるが、日本人の体格は欧米人のそれとは異なるため、同じ基準をつかうのはどうかといった動きがWHOの中でも出た来ている。極端な例では日本人女性の場合、理想BMIは18であるとの説があるが、これはいわゆるダイエット業界の説ではないかと思う。なぜなら、「痩せ」は低体温や不妊症、うつなど病気になりかねない状態であり、手放しで喜んで良い状態ではないからだ。BMIは年齢とともに増加をするのだが、世界では日本人女性のみ10代後半から20代にかけて「減少」が認められ、「痩せることを勧める風潮」の行き過ぎではないかと警鐘がならされてるぞ。』

ちなみにこのコラムの24人の内、女性の読者様はBMIいくらですか?どの計算式に近いですか?22*(身長m*身長m)=現体重kg。それとも、18*(身長m*身長m)=現体重kg。後者ですとやばいのでは?


註1:もともと「ダイエット」とは「規則正しい」「一定の効果を期待した方法」による食事療法のことである。それが日本では「痩せるための食事療法」として使われているが、決して減量に限定するものではない。胃潰瘍食や糖尿病食もダイエットの一種。

註2:BMIの計算方法 体重(kg)/(身長(m))2乗。例:160cm、55kgのBMI=55/(1.6*1.6)=21.5

註3:欧米人の場合、いきなり「肥満」になるのでなく、25.0~29.9まで「過体重、オーバーウェイト」というランクがある。

註4:腹囲=ウエスト周囲。息を吐いた状態で臍の上の周囲をメジャーで測る。各論あるが、日本人の場合、男性85cm以上、女性90cm以上が異常値(メタボ基準)とされている。

註5:皮下脂肪厚法。特定の場所の皮膚をつまんでその厚さをはかる。誤差範囲が多いのが難点であるが、簡単に計測できる。

註6:体内の脂肪の量により、交流電圧のインピーダンスが変化する原理を利用した方法。最近では体重計に内臓されることが多い。計測時の湿度や身体のむくみなどで誤差がでるため、学術的使用には異論がある。

註7:この方法では正確に脂肪量、骨量、筋肉量が測定できる。


ばれっとしょくどうってどっかのレストランですか?

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年06月

今月のひとりごと:『ばれっとしょくどうってどっかのレストランですか?』

レストランではありませんね。食堂ではなく食道。BarretosではなくBarrett’s。今月もまた堅いひとりごとです。食道の病気は欧米人に多く日本人には少ないとされていたのですが、最近は増加しているのは間違いがないようです。筆者の一般内科業務でも健康診断業務でもほとんど毎日の様に「逆流性食道炎」が見あたります。業務の性質上、前者は有症状、後者は無症状ですが… 逆流性食道炎は酸性の胃液が食道内に過剰に逆流して起こり、次のような原因が考えられます:① 逆流を防ぐ機能が低下;② 蠕動運動の低下;③ 腹圧の上昇;④ 胃液の分泌増加。これらの原因を誘発する要因は:肥満、前屈姿勢、老化、ストレス、 食道裂孔ヘルニア、食後すぐに横になる、喫煙・飲酒、食事の内容(高脂肪、刺激物、塩分の多い物)、薬品や化学物質の摂取などが挙げられます。症状は主に「胸焼け」ですが、「咽頭痛」、「喉の違和感」や「咳」として現れることもあります。

『老化や姿勢はともかく、食べ物と生活状況と密接した病気だな。食の欧米化と生活の都市化が関係していることは異論がない。ようするに脂っこいものをおいしいと喜んで摂っているとやばいのだ。また、夜遅く食事をしたあと、直ぐに寝るのも良くないぞ。問題は症状で苦しむだけではなく、炎症がずっと続いていると、しまいにびらん→潰瘍→合併症=出血(註1)、狭窄(註2)、バレット食道(註3)に移行することが多いのだな。』

バレット食道とはつまり食道の粘膜が小腸の粘膜に変化してしまった状態です。ここで問題になるのは一度診断がつくと、年間0.5%の確率で発ガンする可能性があることです。このため、「前癌病変」と呼ばれる病態に分類され、定期的な経過観察が必要になります。この合併症もあまり日本人にはないものとされてましたが、近年増加の傾向にあるのではないかと考えられてます。胃痛や胸焼けなどの症状がある場合は治療の対象になりますが、ない場合は観察のみになります。治療薬の服用も重要ですが、それ以上に食事と生活内容の改善(註4)が重要であるのではないかと思う疾患です(註5)。

『単なる胸焼けと思わずに、症状がある場合は一度診察してもらったほうがいいぞ!』

 

註1:食道の周りにある静脈に到達し、障害をおこす。

註2:潰瘍が治るとき、組織が萎縮をおこし、内径が狭くなる状態。嚥下障害になることが多い。

註3:炎症刺激のため、食道の扁平上皮が円柱上皮に化生した状態。内視鏡検査で確定診断される。

註4:腹圧が上がらない様にする:服装に注意する、重いものを持たない、前屈みの姿勢や座りっぱなしをやめる。食事:長期の絶食をしない、一度に沢山食べない、食べてすぐに横にならない、早食いをしない。避ける食べ物:脂肪・油が多いもの(揚げ物、チーズ、シュラスコなど)、チョコレート、砂糖が多いもの、塩分が多いもの、柑橘類、トマトソース、コーヒー、香辛料、酒類の過多(特にビール)、コーラ類。その他避けるもの:たばこ、運動不足、肥満、ストレス。

註5:でもどこの文献を読んでも、食事や生活指導だけでは不十分なことが多いとでているのだな。これは生活習慣はなかなか変革できないことを示しているのでは?24人の読者様たちは変革できますか?


最近騒がしい「放射線」は身近にあるぞ。

By: Kazusei Akiyama, MD


Prunus mume. Hikone. Caju©2011

2011年05月

今月のひとりごと:『最近騒がしい「放射線」は身近にあるぞ。』

今チェルノブイリ原発事故の25周年を迎えてます。また、東日本大震災の福島原発事故も現行しているので今回は「被曝」についてひとりごとです。被曝とは「放射線にさらされる(曝露される)状態」です。もともと放射線は自然界に存在するもので、さほど害をあたえそうにないのですが、現在の我々の理解では「放射線=有害」ではないでしょうか(註1)?被曝による影響がでてくるのはその「量」によります。有害であるという概念はあまりにもまわりの生活に被曝する機会、状況が多いことを示すのではないかと考えます。

  • 註1:被曝は天然被曝と人工被曝に分類できる。天然では宇宙線(飛行機搭乗で被曝します)や地殻(ラドン温泉が一例)からの放射線や天然の放射性物質(カリウム40や炭素14)などがある。それら以外が人工。また、外部被曝と内部被曝にも分類できる。外部被曝に対して、体内に取り込んだ状態が内部被曝。経路はa.経口、b.皮膚吸収、c.肺で吸収(吸入)、d.傷口から血管に入る、の4経路。内部被曝の問題点は外部の様に汚染除去できないので長期間被曝するところにある。

『おおまかに、大量被曝=急性=確定的影響、低量被曝=慢性=確率的影響、と分けることができる。ここでは後者について考えてみるが、しかし前者について恐ろしいのが確実に病気と死に至りますよというところですな。毒性が強い。例えば原爆のような大量被曝であるとその量が明らかに影響があるのは疑問の余地がない。問題は大量・低量の線引きと「どれだけ低量が(でも)影響を起こすか」であるのだな(註2)。』

  • 註2:放射線の被曝量と健康の影響に関する仮説。
    • 1.一定量(しきい値と呼ばれる)より被曝量が少ないと害がない
    • 2.有害な効果が量と共に増大する(LNT仮説と呼ばれる、主流)
    • 3.少量の被曝は健康によい、しきい値以上は害がある(ホルミシス仮説)

福島原発事故でみんながナーバスになっているのはこの低量被曝のところです。政府が「健康に害はないレベル」といっても、本当にそうなのか?と疑問がでてきます。なぜこのようになるかというと、「健康に害があるレベルははっきりしていても、害がないレベルは、実は、はっきりしていない」からなのです。

『測定の問題(実際に発表されている量なのか)や透明度の問題(実際起こっている事が発表されているのか)などは無視して考えてみるぞ。「はっきりしていない」から「確率的影響」という言葉が使われる(反対に「はっきりしている」レベルだと「確定的影響」になる)。註2に書いたとおり、これらの影響は仮説であり、だれも「このレベルだと問題ありません」とはいえないぞ。正しくは「このレベルだと問題がでる可能性が低い・極めて低い」だろう。この背景があるから「本当か?」になるのではないかと思う。』

一般人口では低量被曝が一番身近で関心があるものと考えられるのが、病気と関係があるからです。ニュースでみる内部被曝や甲状腺癌などですね。でも、医療の現場にいると患者さんがあまり気にされていないのが諸検査(註3)による人工被曝です。忘れてはならないのが、検査による被曝はその検査の所見による情報(病気の確定など)のメリットがデメリットを上回ると判断されるから指示するものであって、手放しで喜んでしてもよいものではありません(註4)。このコラムの24人の読者様(註5)も検査する時、検査を希望する時、は是非この事を念頭においてもらいたいものです。

  • 註3:レントゲン関連、CTスキャン、核医学、マンモグラフィーなど。詳しくはICRP International Commission on Radiological Protectionの勧告を参照。検査のみではなく、勿論治療用の放射線も同じ考え方をする。
  • 註4:例えば癌のリスクが少ないのに「癌検診」と称して全身CTで被曝するのは本末転倒ではないだろか?
  • 註5:そうです、今月から読者様が二人増えたのです。新規に読者であるとお二人より直接申告がありました。深謝!

日本人は我慢づよい。そして胃ガンが多い。関係あるのかな?

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年04月

今月のひとりごと:『日本人は我慢づよい。そして胃ガンが多い。関係あるのかな?』

このたびは東日本大震災に被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。このコラムの22人の読者様のご親族にもいらっしゃるかも知れません。心配です。一日もはやい復興をお祈り申し上げます。筆者はたまたま災害発生直後に訪日したのですが、被害の大きさもさることながら、被災者たちの自制が目につきます。日本人の大変困難な状態な中でも整然と救援物資の配給を受けたり、避難所生活をしている姿は海外のメディアでもたくさん紹介されました。

『しかし本当に日本人は我慢が強いと思った。これは絶対に良性の特徴であるぞ。でなければあんなに狭い所で大人数が一緒に生活出来ない。しかしその反面、「ストレスが溜まる」事になるよな。ただでさえ発散が下手な民族が今回のような自粛ムードになってしまうと、さらに溜まるのでは?』

ストレスは癌と関係があるとされてます。日本人は世界でもダントツに胃ガンが多い民族です。米国の白人と比較すると、10倍から15倍発症率(註1)が多いとされてます(註2、註3)。完全な胃ガンの原因は不明ですが、食生活と生活環境が関係あり、近年ではピロリ菌の関与が指示されてます。

『この生活環境というのが大部分ストレスと関係あるのではないかと思われる。邦人が日本を離れて生活するだけで胃ガン発病のリスクが2~3倍減る試算がある論文もあるぞ。それでも多いのだな。まだすべて解明されていないけど、ピロリ菌感染に対する反応が遺伝子レベルで欧米人と異なることがわかってきている。日本の胃ガン検診は世界で一番進んでいるプログラムであるが、そのため早期発見と早期治療が可能になり、悪性腫瘍による死因の第一位ではなくなった(註4)。胃ガンの発病率は40才くらいから増え始める。この年齢になったら毎年の定期健診では必ず胃ガンの検査は受診してもらいたいな。(註5)』

最後に、今回の大震災にあたりブラジル人の友人達の見舞いのメッセージに出てくる、主に被災者された日本人像の形容詞・名詞をリストアップします。日本人はこのように見られているのですね。イイ言葉が多いと思います。

註1:発症率とは人口10万人の内、1年間でどれだけの人数が対象の疾患に新規発病する指数。

註2:日本人の胃ガン発病率は約110/10万人、北米白人は約7/10万人。

註3:ちなみにブラジルでは北(アマゾン地方)が少なく、南に行くほど多くなる。サンパウロ州では約24/10万人。日本よりかは少ないが、北米白人の3倍以上。

註4:日本人の悪性新生物による死因:男性:第1位肺ガン、第2位胃ガン、第3位肝臓ガン、第4位大腸ガン。女性: 第1位大腸ガン、第2位肺ガン、第3位胃ガン、第4位肝臓ガン。

註5:バリウム検査は技術的に優れている日本以外は検診に利用できない。ブラジルでの健診では胃カメラを実施すること。