日本人の顔はマスクで見えない

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年05月

今月のひとりごと:『日本人の顔はマスクで見えない』

4月に日本に行きました。桜の季節真っ只中で美しい日本でした。その反面、「花粉症」の季節でもあります。それでどちらを向いてもマスク着用の人ばかりでした。花粉症+マスクは完全に日本の都市文化に定着した感じがあります。広義の花粉症は植物の花粉にアレルギー反応をおこすことですが( 1)、一般的にはスギやヒノキの花粉に対するもので鼻づまりやくしゃみなど鼻の症状、目のかゆみなど目の症状、咳やのどのイガイガなど喉の症状、皮膚のかゆみなどのセットで、かなりの人口が罹患するものがいわゆる花粉症と理解してもいいと思います。

『もともと日本では花粉症はなかったのだな。今のブラジルでもない。花粉や植物に対するアレルギー性鼻炎や結膜炎はあるのだが、国民的イベントではないぞ。日本では1960年代から報告されはじめ、現在では都市人口の30%までが花粉症になっている可能性がある。北米ではブタクサ、西欧ではイネ科の花粉症があることを考えると、先進国になるほど花粉症になりやすのだな。日本の場合、スギの大量植林のため、スギ花粉の量が増え、それが主な原因とされる。それだけではないぞ。アレルギーの発症や重症度というものは接触・曝露する量に比例するものではないのだな。つまり、アレルギー反応をおこす物であれば、微量でも十分おこす。スギ花粉が大量にあるということは、接触する機会が増えるということだけだ。問題は日本人がアレルギー体質になってしまったところにあると考える。』

アレルギー体質と都市化は密接しています(註2)。大気汚染のため呼吸器系が病気になりやすくなる、アスファルトやコンクリートで造られた街、緑地の減少のため、花粉が吸着分解されにくい環境なども原因に挙げられてます。筆者はそれ以外に、都市生活に多い例えば洗剤や防腐剤のような化学製品や食生活も関連していると思います。

『これの根拠は個人的な体験でしかないが、非常に興味深い事があった。とある理由で日本の公立(いずれも市立)の小学校で講演をする機会があったのだが、明らかに若くて、共働きが多い地域の子供達は明らかに主婦かつ教育ママの多い地区の子供達に対し、アトピー性皮膚炎が圧倒的に多かった(註3)。どちらも平屋が多い、地方都市の郊外の街であったことを考えると、生活仕様からくる食生活の違いであるのではないかと思う。前者のほうが簡要食品、スナック菓子、加工食品などの消費が多くあるように見えた。』

いずれにしてもアレルギー体質になる要因は少なくないと考えられますので、花粉症でない方でも安心できません。19人の読者様の都市生活、大丈夫ですか?

ちなみにマスク、しっかり装着しないと意味がありません(註4)。立体タイプはちゃんと顔の大きさにあった物を使いましょう。平型はワイヤー部を鼻にあて、ワイヤーを曲げて鼻の形に形成し、下部は顎の下までしっかり引き下げます。高価なものより、安価で12回以上交換(捨てる)ほうが効果的です(註5)。


1:アレルギー性鼻炎、アレルギー性咽頭炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎、花粉性肺炎など。

2:必ずしも先進国と関連とは言えない。自然が多く、生活仕様が日米とは違う北欧ではあまりアレルギー性疾患はない。

3:同じ40人くらいのクラスの前者が約4割、後者が2~3人。いずれも保護者(ほとんど母親)と接する機会があった。

4:この場合の意味は「花粉を吸入しない」ですね。日本の文化ではもともとマスクは自身の病気を他人様にうつさない心遣いであったのですが。

5 マスクだらけで日本は今不気味だぞ。顔、そして表情が見えないから。


ストレスは不安障害の原因の一つなのだ

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年04月

今月のひとりごと:『ストレスは不安障害の原因の一つなのだ』

前月のブラジルでの運転のひとりごとは大変反響がありました。「そのとおり、ムチャクチャだ」で自身の体験談の様な賛同も結構あったのですが、それ以上に多かったのが、「それで怖い。外出するのも疲れる」の様な恐怖の意見です。海外で生活するにあたり、不安になる要因が多いほど健康にもトラブルが出てきます。東洋では「すべての病は気から」というように、気がうまく回らないと病気になります。このような場合は例えばストレス関連障害と呼ばれる精神および行動の障害と関連します。うつ あるいはパニックになってしまった、というやつですね。

『これらはいわゆる精神科領域で「不安障害」と分類されているのだな。日本人も含み、 一般人口の25%がこのような障害があるという調査もある。うつ状態。(註1)(註2)』

  • 1 ①抑うつ気分(気分の落ち込み、いやな気分、空虚感、悲しさなど);②興味・喜びの喪失;③食欲や睡眠の増減
  • 2:躁鬱病(最近では双極性感情障害と呼ばれる)のようなかなり重篤な症状がでるものは「気分障害」に分類されている。これは生物学的な欠陥がある疾患、つまり、神経伝達物質の不足・不良などのために病気になるのではないかという説が最近強い。

地域医療や一般内科の診療の実態ではうつ状態(註3)がよく見られます。今回のブラジルの交通が怖かったり、あるいは危険なため、運転できない、外出できないためストレスが溜まるような生活状況では誘発される要因に十分なりえます。ただ、反対に精神的症状をきたす器質的疾患(註4)もあるので、一概に精神病であるとは言えません。精神的症状がある場合、必ず器質的原因を除外した上でしか精神障害とは診断できません。器質的疾患であれば、原因を治療すれば(可能であれば)うつ状態自体も良くなります。精神障害であれば、必要期間投薬したり、カウンセリングを受けたり、東洋医学的治療をしたり、いろいろアプローチができます。

  • 3:一過性のストレス性障害(急性ストレス障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害など)、自律神経失調症、パニック障害、恐怖症性不安障害、心気障害、心因性や内因性うつ、など。
  • 4:一番多いのが甲状腺疾患。副腎や副甲状腺疾患。脳血管障害。パーキンソン病。脳腫瘍。膠原病。重金属中毒。

『うつ状態やパニックの症状はつらい。日本人的に根性論で克服するのもいいけど、治療したほうが楽じゃないの?引きこもったり、ブラジルに居る境遇を呪ったりしてないで。とにかく症状が2週間以上つづくようだとなにかがおかしいから医者に診てもらいましょう。』

ちなみにブラジル人の運転で根本的に一番ちがい、かつそれが分かってないと危険であるのが、「黄信号」です。日本では黄信号の意味は「もうすぐ赤になりますよ、止まる準備をしましょう」ですよね。一応ブラジルでも規則上そうなのですが、実状は「 もうすぐ赤になりますよ、急げば間に合うぞ(註5)」なので、黄信号イコールスピードアップなのです。黄信号になるとかえってスピードを上げてくる車が多いので、これは覚えておいたほうが良いと思います。

  • 5vai que dá とポル語で言います。

ブラジル人の運転は絶対に信用してはならない。

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年03月

今月のひとりごと:「ブラジル人の運転は絶対に信用してはならない。」

今回はかなりきついひとりごとですね(註1)。でもちゃんと理由があるのです。現地のむちゃくちゃな交通事情は交通事故に直結しており、事故は医療と関係があります。傷害例は治療の対象になり、死亡例は死亡統計に計算されます。事故は医学では外傷と呼ばれ、これらの数字を公衆衛生の観点で解析して公共政策を立てるわけです(註2)。一般的に先進国になるほど、「外傷」による死亡原因が減ります。ちなみにブラジルでは2000年の公式統計では外傷が第4位です(註3)。また、外傷の内交通事故死より他殺死(殺人など)が多いのも先進国でない一つの証明でしょう。しかし近年の好況で自動車が増え、運転する人口も増え、交通事故が「疫病」と認定されるまでになりました(註4)。

  • 1:また自動車の話ですね。
  • 2:医療費に関する国家予算と関係があります。
  • 3:ブラジルの死亡原因(2000年)1心疾患、2不明な原因(冗談では無いです)、3癌、4外傷。比較すると日本では1癌、2心疾患、3脳血管疾患、4肺疾患です。原因の構築の違いが分かります。
  • 4:ブラジルの交通事故死の原因トップ3:1轢死(歩行者がひかれる)、2全面衝突、3二輪の事故(バイクがこけて自滅する)

『こういったところでブラジルの教育不足・不良が顕著に表れたのだな。運転免許を取るのにautoescolaなる教習所に通う義務があるのだが、形式だけだな。金をだしてパスできるし。だから運転技術が未熟であるし、体系立てられた方法でもない。また、交通規則(註5)を学習・理解していない。したがって、対向車線や交差点など「相手」が必然的に存在する交通では「むこう」がなにするのか分からないし、読めない。これだけでも大変なのにブラジル人特徴である「責任は他人のもの(註6)」と「上手いことやる(註7)」が背景にある。さらに、社会整備がちゃんとしていないので、運転しにくい(註8)。これだけあると表題のひとりごとになるのだ!』

  • 5 1997年に公布されたブラジルの交通規則自体は世界的に見ても進んでいると評価されているのだが。取り締まりが不良でしょう。
  • 6:それで「権利は自分のもの」なのだ。
  • 7ser espertoというやつだな。
  • 8:道路標識が不良であったり、車線がいきなり無くなったりするでしょう?

当地の自動車運転は筆者の観点から見ると非常に大きな欠陥があると思います。 とにかく、あぶない。絶対に他人に頼ること、つまり「譲ってくれる」や「規則を守ってくれる」のを期待してはだめです。だれも責任とってくれません。それより怪我したり死んだほうが損です。カーニバルの期間中の取り締まりでは去年に比べ、飲酒で引っかかったのが5倍に増え、サンパウロ州では死亡が29%増加でした。ブラジルでは運転はよほど自信がない限りやめたほうがいいのでは?それで、する場合「あつかましく」運転するのがコツです(註9)。

  • 9:日本人の様に「他人の迷惑を考えたり」「人様の事を思いやったり」してはだめです。

『最後にブラジルでしかありえない交通事故の筆者の実例です。筆者はスクーターに乗るのですが、サンパウロのイビラブエーラ公園前の信号での出来事です。信号が赤になったので先頭で停車線で止まりました。同じ車線の前を行っていた車は信号を無視して、横断歩道をさらに2メートルほどの所で「上手いこと」信号をパスしてやろうと狙っていたのですが、不運なことにCETの車(註10)がこの赤信号で横に停車したのです。悪い事をしていると分かっている前の車はバックを始めました。「まさか停車線までバックしないよな」と筆者は思ったのですが、どんどん来ます。「うそだろ~」。それでピッピ~とクラクションを鳴らしたのです止まりません。ピッピッピ~。でも止まりません。ぶっつかっても。むこうはどんどんバックします。仕方ないので車体を蹴っ飛ばしました(凹みました)。これでやっと止まり、「いったい何だ?!」と怒ってお兄さんが車から降りてきたのですが、開口一番「おまえはバックをしているのを見ていなかったのか?バックライト点いているだろう。」でした。』

  • 10CETはサンパウロ市の交通整備機関で違反切符を切れる。

2026年3月校閲:運転の無茶苦茶は更にひどくなる見込みです。今年の1月より運転免許取得に教習所通学義務が現行政府により撤廃された。教習所費用が高すぎて免許を取得できない(しない)人が無免許運転する状況への素晴らしい対応だそうです。


白い車は売ってくれないんだって。以前は。

By: Kazusei Akiyama, MD


White cars for sale. Caju©2012

2012年02月

今月のひとりごと:「白い車は売ってくれないんだって。以前は。」

サンパウロ市内では最近高級車は白がブームのようです。実はこのブーム、火をつけたのはこのコラムの筆者なのです。本当に。日本在住の邦人にはなじみの深い「白い乗用車」(註1)ですが、サンパウロではもともと白色の車は商業車の位置づけがあった上に、1989年より市の法令により「タクシーが白」と決められてしまい、それ以来、はっきり言って敬遠されてきた感があります( 2)。タクシー、営業車、個人に転売できない、など酷評されてましね。それで90年代はメタリックのシルバー系が大流行になり、街全体が「prata metálico」色になり、2000年代の前半に入り、「黒」(preto)  になってしまいました。なぜこのくそ暑い国で黒なのか(註3)?

  • 1:現在世界的にみて、「ホワイト」は2割ぐらいだそうだが、日本はここ10年くらい30割以上のシェアがあるらしい。白は日本では根強い。これでも減ってきている傾向で、確かに80年代の日本では駐車場の車すべてがホワイトなど珍しくなかった。
  • 2:海外ではタクシーの色を一目瞭然にしている所がありますよね。これが観光客など現地人ではない人たちにはわかりやすいですよね。ニューヨークのオレンジ、ロンドンの黒(ここは車種までが違う!さすが)、ベルリンのベージュ。ブラジルではリオの黄色、クリチバやポルトアレグレのオレンジ。日本はどこかあったっけ。
  • 3:北米では明るい色(ホワイトやベージュなど)、ヨーロッパは暗い色、アジアではシルバー系が人気があるそうですが。

『黒い物は定義として「すべての波長を吸収する色」である。つまり、可視領域の色と同時に熱を吸収する特徴があるのだな。暑いところに黒い物を置くと、さらに熱くなるのは小学生の理科実験レベルでもわかる。それでも「高級車も大衆車も黒い車」状態になってしまい、一度読んだ記事では塗装メーカーの担当者が「(ブラジル人)は人類学的研究でもしてみないと、よく分からないですね」と言ってたのを記憶している。黒はシックであったり(註4)、ブラジル人は意外と保守的であるからそれの現れだとか、現象の諸説あるが、問題はこれだけ直射日光の強い場所で黒い車に乗ると、「暑い!」のだ。暑いとクーラーを入れる機会が増え、燃費が悪くなり、しいて大都会では空気汚染の悪化に貢献するのだな。同じ車で白と黒塗装では日中の直射日光下で内部が5度以上10度くらい差がでる試算がある。なのに「preto」だったのだな。』

実は筆者も黒い車を持ってました(20052009)。高級車ではなく、小型ハッチバックの黒でした。お店で薦められ、流行に乗せられて購入した手ですね。でも暑い。クーラーも前の車(註5)に比較して強くしないと効かない。それで、エコロジーの事(燃費ですな)や住居快適性を考えて、「絶対に白にするぞ」と買い換えに行ったのですが、なんとすんなり買えなかったのです。2年前の話、V社ディラーでは「作ってません」と嘘をつかれるし、T社ディラーでは「お願いだから白は買わないで」といわれる状態だったのですな。そこで筆者は臍をまげ、まわりの反対を押し切り(註6)、白い車を特注したのです。2009年ではブラジル全国1割以下のシェアであったホワイトが2011年では21%となり、シェア一番になった(註7)。サンパウロ市内の高級B社のディーラーではホワイトは2007年度販売の3%だったのが2011年には45%まで増えたらしい。表題の写真がその証拠で、最近撮ったものであるが、ホワイトがずら~と前に展示してあり、オレンジが1台、黒が端っこ、シルバーが後ろに目立たないように置いてあります。納車した当初(20099月)はまわりからぼろくそに言われていたのが、今は「かっこいい」んだそうです。でもサンパウロ市内ではよくタクシーに間違われて手挙げられます。

  • 4:大衆車に乗ってシックも無いと思うが。
  • 5:悲しいかな、それも当時流行のメタリックのシルバー。
  • 6:本当だぞ。
  • 7:でも日本では白が減って黒が増えてきているそうだ。今頃、脱「白でないと売れないから白」をしてるのかな?黒は暑いぞ。

食の安全とはどういったことだろう?

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年01月

今月のひとりごと:「食の安全とはどういったことだろう?」

読者の皆様、明けましておめでとうございます。2012年もどうかよろしくご愛読いただけますように( 1)。現在年末に原稿を書いている訳ですが、2011年のトップニュースやベストなんとかなどが出回っております。邦人にとっては、東日本大震災と福島原発事故がインパクトが大だったことは間違いないでしょう。ブラジル在住の方達も、実際影響がありましたよね。今年は日本からの輸入食品が一時期見あたらなくなり、その後も不定期的な入荷しかありません。これは、ブラジルの衛生監督局(註2)が312日以降日本で生産された(人間用の)食品の輸入を規制したからです。理由は食の安全の確保、つまり、放射性物質に汚染されたものが国内で流通し、公衆衛生上問題を起こすことを未然に防ぐため、ブラジル国家が施行してくださったわけです。このため、食品関連の個人輸入が禁止になり、日本のじじばばが郵便で送ってくれたちょっとした食べ物が返送されるようになりました。また、行政の産地証明が必要になったので(註3)輸出入業務に時間がかかり、在庫が不安定になり、欠品が大量に出たのですね。この様な「水際で国家を守る」ような政策はブタインフルが出現したとき日本で入国規制があったように、「大抵失敗」するのですが、パフォーマンスとしては効果ありますよね。この「食の安全」で筆者が考えさせられたのが、 話がぶっ飛ぶようですが、コーンフレークスは「食べ物ではなかった」事実です。実は筆者の自宅台所に害虫が発生しました。コクゾウムシなるものですね( 4)。要するにデンプンを食するわけですが、被害にあったのが国産白米、イタリア製乾パスタ、小麦粉で、コーンフレークスがまったく無視されてました。袋開いてたのに。ということは、虫がこれは食べ物であることを認識しなかったのでね。コーンフレークスは食べ物ではなかったのだ~。子供に食べさせていいのかな?この件で、子供に食べさせている食品は「食の安全」の狭義はクリアしているのだろうけれど、広義の安全、つまり、心身的そして社会的健康上有用かつ安全であるかということです(註5)。筆者には疑問点が多々あります。疫学の業界ではラテンアメリカでは2025年までに糖尿病人口が現在の3倍に増えると言われてます。運動不足が増加していくような生活習慣以上に、口から入る食べ物に問題があるからですね(註6)。例えば、いわゆるジャンクフードとされる食品(註7)は糖質が多いので、糖尿病と関連があることが判明してきていますが(註8)、前出のブラジル衛生監督局は「砂糖摂りすぎ注意の表示」すら実施してない。こんなので大丈夫ですかね~?食の安全は自分自身で考えたほうがよろしいのでは?

 

1:去年の年末に5人帰国されましたので、19人の読者様になってしまいました。

2ANVISA Agência Nacional de Vigilância Sanitária 保健省国家衛生監督局

3:各都道府県が産地証明を発行しないといけない。また、 福島近辺6都県の産地では放射線検査クリア証明を提出する必要がある。

4:ゾウムシ科、世界分布するイネ科穀類の大害虫。米、麦、トウモロコシ、パスタ、乾燥芋、乾燥麺などに加害する。

5:食の安全は「食べたら死ぬか?」から入るのはなく、「食べたら生きるか?」から考えないといけないと思う。つまり、「食べたら病気になる」のを避けるのではなく、「食べたら健康になる」のを推奨すべき。

6:量の問題。質の問題。

7:ジャンクフードは現行の「安全面」では全くクリアした食品であることを強調したい。

8:砂糖の摂りすぎが有害であることは「まだ世間の常識ではない」のだな。 たばこが有害であることが常識になるのに約30年かかったからな。


ポリオには予防接種が圧倒的に効果ありだぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年11月

今月のひとりごと:「ポリオには予防接種が圧倒的に効果ありだぞ!」

毎年10月にWorld Polio Dayなるものが存在することは皆さんご存じでしょうか?ポリオとは急性灰白髄炎(poliomyelitis、脊髄性小児麻痺)つまり「小児麻痺」と呼ばれるウイルス性疾患です(註1)。根治的な治療はく、後遺症が残ると、一生障害者になる病気です。そのため、世界的に根絶をめざす感染症の一つに挙げられおり、ここ約20年で発症例が99%減少している事実をみると根絶事業はかなり成功していると言ってもよいのではないかと思います(註2)。その反面、日常では予防接種カレンダーの一部とぐらいにしか思い出さないため、 「まだあるぞ」を強化するためのポリオデーなのです(註3)。

1950年代、1960年代には先進国で大流行していたポリオが今や日本のニュースにあがるのは、来年度から(日本国の場合)不活性ワクチンが認可されるため、生ワクチンの「接種控え」するケースが出てきたり、行政単位で混乱した情報がでたりで、いきなり、「生ワクチンは怖い」世論になってきた感があるぞ。ポリオワクチンは2種類ある。経口生ポリオワクチン(OPVOral Polio Vaccine、ブラジルではSabinと呼ばれることが多い)と不活性ポリオワクチン(IPVInactivated Polio Vaccine、ブラジルではSalkと呼ばれることが多い)であるが、どちらも1950年代に米国で開発されたワクチンである。後者のほうが先に認可・使用開始された。OPVは弱毒性の生ウイルスを経口で飲み込むため、接種者とその家族の感染例(註4)があるのでIPVより安全性が低いと評価されたのだな。ところが感染を起こさない安全とされるIPVはポリオの重症化(後遺症を残す)を軽減する効果はあるが、対人感染(流行)を防ぐ力がないことが判明した(註5)。そのため、国家政策レベルの接種事業ではOPVが使われるようになった。これには、接種しやすい(経口1滴である)、安価であることも幸いした。いまさら怖いと言われるOPVのおかげで根絶近くまできたのに

実際普段の生活をしていると、流行性のポリオに罹患する可能性はほどんど無い世の中になってきました。そのため、IPVがブラジルも含め(註6)世界的な流れであることは間違いないでしょう。簡単にいうと、流行感染に対して予防をするのではなく、万一感染した時に重症化しないための予防です。昨今のSARSやブタインフルの様に、現在は航空機でアットいう間に感染症が広がる世の中です。IPVが出来ないからといって、OPVの接種控えはよくありません。メディアの情報に流されないように注意したいものです。当地に来られている子供さんにはIPV接種は可能です。かかりつけ医に相談してみてください。

 

1:ピコルナウイルスの一種。感染することにより、脊椎の灰白質が炎症を起こす。後遺症として、下肢に左右非対称性の弛緩性麻痺が残ることが多い(0.05%くらい)。1~2週間の潜伏期間後、風邪・急性胃腸炎(腸風邪)のような症状が現れ、熱が下がった後、弛緩性麻痺が起きる(1%くらい)。呼吸に関する神経が冒されると死亡する危険がある。

2 現在ポリオがあるのは世界で4カ国のみ:インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア。

3:根絶とは「無くす」ことであり、「減らす」ことではない。例が天然痘。感染力がつよい病原菌の場合、根絶せずに自然界に残ると、いくらでも増殖する。

4:ポリオウイルスは腸内で増殖するので接触者は接種者の排便に触れることによって感染する可能性がある。

5:腸内感染を予防出来ないので排便により流行を維持してしまう。

6:ブラジルではIPVは認可済みであるが、民間医療機関で使用。キャンペーンはOPV使用であるが、来年からIPVに移行する。


今月は単純に空気清浄器のお勧めなのだ。

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年10月

今月のひとりごと:「今月は単純に空気清浄器のお勧めなのだ。」

なにをひとりごとしようか?と候補に挙がったのがこの季節多い呼吸器疾患でした。それで以前の原稿を見たら、ちょうど2年前(註1)に風土病とカビ退治と空気清浄器の話がでていたので、あ~やはり季節なのだなと自分で妙に納得してしまいました(註2)。引用「 特に1日の間過ごす時間が多い寝室では空気清浄器の設置は必須だと考えます。カビ退治は終わりなき戦いですが、サンパウロでは健康法の一つだと思いませんか?」の空気清浄機の設置について考えてみます。結論からいうと、サンパウロで生活をするにあたり、日本製と当地製の器機併設が一番好ましいと思います。

  • 1200910月号。
  • 2 その場の思いつきで原稿を書いているからこのような再現性ができるのだな、と理屈をつけられますな。

『空気清浄器は厳密に分類すると集塵機(ほこりやハウスダストや花粉など微粒物質を除く)と脱臭器(たばこや残り香などの臭いを除く)に二分できるそうだが、最近の日本製の機械は両方の機能をもっているのが多いようなだ。日本の清浄器では一時期「イオン式清浄器」(註3)がとてももてはやされた(過剰宣伝によるものだという意見も多々存在)が、ハウスダストなどには効果なしとのことで現在はほとんど全滅している。花粉症の多い国であるから、それを取り除く効果がある集塵式がメインになるのはとても理解できる。微少物質を取り除くにはフィルターが必要になるのだが、このフィルターに通過させるには通風(つまりモーターでファンを回すこと)が必須になるわけだな。但しこの方法だと、回しっぱなしにしないと集塵してくれない。ランニングコストと騒音という問題がどうしてもでてくる。それで、とてもハイテクなセンサーで微粒子などを監視し、必要な時に稼働する機械が多いようだな。ところが、このセンサーも監視範囲があり(あまり広くないのだな)、その範囲に対象の微粒子が入ってくれないと、動いてくれない(註4)。つまり、この手の清浄機は埃や花粉が舞い上がった状態でないとベストの働きをしてくれないようだな。そこで、ブラジルで発明されたとても単純な空気殺菌器(esterilizador de ar、但し特許のため、下記註5のメーカー製品に限る)の出番があるのではないかと考える。電気で熱せられたニクロム線の間に空気が通るようにしてあるだけ。熱の上昇気流で入ってきた埃やハウスダスト、菌などが器機に触れて言葉のとおり燃焼してしまう方法なのだな。ファンがないので無風運転のため静かなのはいいのだが、空気貫流を考慮しないといけないのでごちゃごちゃと物が置いてある所にはむいていない。また、この機械は点けっぱなしで運転しないと効果がない。筆者が実際使ってみた感じではこの日本製のハイテクフィルター(註6)の空気清浄機で突発的に発生した病気と関係する空気汚染(註7)を排除し、ブラジル製のローテク器で一日中ジワジワと微生物を焼いていくのが一番健康には効果的ではないかと思うぞ。』

  • 3:電極に高電圧をとおし、その間の空中に放電をつくる方法。この放電スペースに入ってきた微粒子を帯電させて電極的に付着集塵させる。
  • 4 また、以外にも多いのが、センサー部の汚れで、汚れが溜まるとセンサーとしての働きをしていない。
  • 5:メーカー名Sterilairモデル名STR-4、市場価格250レアル前後。
  • 6HEPAフィルターやULPAフィルターなど、活性炭入りなど。
  • 7:サンパウロでは:①自動車の排気ガス。②カビ(『カビの胞子が呼吸器に入り、直接病気をおこさなくても感染症の土壌を作る。()胞子自体にアレルギーをおこす場合もあるし、カビが産生する物質(主に自身が付着している所を分解する酵素、エサになるのですな。これがカビの臭いの素。)に対するアレルギーも考えられる。なぜか夏より冬から春にかけてがカビの季節で、呼吸器疾患になりやすい季節とかぶるのもサンパウロの特徴ではないかな。カビに関しては本当に住居環境が悪いぞ。』)

ひげ一つで世の中の見方が変わるのだ

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年09月

今月のひとりごと:『ひげ一つで世の中の見方が変わるのだ』

今月もまたどう医療と関係があるのだと文句が出そうなひとりごとです。このコラムはひとりごとなので、好きな事を書いて良いと24人の読者様にはご了承いただいてますのでいいのです。髭は男性ホルモンに依存するので、あたりまえですが、思春期以降の男性に濃く生えます(註1)。一般的に我々モンゴロイド系人種は体毛が少なく、白色人種が含まれるコーカソイド系は髭をふくめ多いのは一目瞭然です。多い少ないはその人種が分布している地域の気候風土への対応との学説が有力です(註2)。でもそれ以上におもしろいのが、以前「体重」についての時代の変化に書いたように、「髭」も時代によって評価、流行があるところです。これは人間の第一印象である顔に大きく影響を与えるからであるからなのですね。

『なぜ髭のことを書いているかというと、筆者が7月のお休みの時に3週間ほど髭剃りを怠けたのだな。この無精髭の状態で「大胆にも」人前にでたら、以外や、女性に良いの悪いのとかなり意見をされた。で、以外にも「良し」の意見が多く、どうしてなのかちょっと考察したわけだな。筆者自身は初めての髭面ではっきり言って違和感があるし、このままにするかどうか迷っているわけだけど、いろんな意見がおもしろかったのでひとりごとするぞ。』

髭に関するアンケート(女性の意見)を色々みると、大きく分けて「嫌い」「好き」「どっちでもよい」の3回答になります。「嫌い」の代表的な理由は「不潔そう」「清潔感がない」(註3)、「好き」の場合は「清潔感がある」「おしゃれ」(註4)、最後の意見のキーワードは「似合っていれば」(註5)であるのではないかと観察します。こう見ると、好きと嫌いの分かれ目は清潔であるどうかになります。つまり、おしゃれに手入れしていれば可で、どこかの公園で生活しているおっさん(髭=堕落?)までいかなくても、ちゃんと風呂にも入らないような輩の無精髭はNGと言うことになるのでしょうか?

『でも「嫌い」の意見によくみるので相反しているいるのが、「手入れしないとかえって不潔」X「なにを頑張って手入れしているの」。これは判らん。 どうしてほしいんだ? 24人の読者様の女性の解説が必要ですな。もう一つの分岐点が、髭と触れるか触れないかで好みが分かれる所だな。触れると痛いから嫌が一番多く、触れないとどっちでもよいのグループになるのが多い。つまり身近な髭は嫌いで、観賞用は好きになるのかな(註6)?』

それで比較的身近な女性達の意見を聞く事にしたのですが、大体3対2で「良い」が多いので、わりと「似合っている」ほうなのでしょうか?医者が髭とは不潔でいかんとのご意見もいただいておりますが。でも一番鋭いコメントが:「世間に背を向けているのでは?」でした。外界と隔絶?そうなのかな?

 

註1:もちろん女性にも男性ホルモンはあるので、同じように思春期以降若干髭が生えます。人種や個人差により濃さが違いますが、一般的な状況以上であると、内分泌系の病気である場合(例:多膿疱性卵巣症候群、下垂体腫瘍、副腎腫瘍など)が考えられますので、精査が必要です。

註2:その他に以前書いた「進化医学」の観点から見るのもおもしろいです。髭の有無は男性ホルモンの有無、つまり生殖可能である事を示す。人類の黎明期では寿命が20才くらいで、繁殖期間が短かったことが関係しているのではないか?髭のある男性は生殖可能であることを女性にアピールすることができ、子孫を残す可能性が増えた。反対に髭のない女性はない事で女性である事をアピールできた。これは毛皮や布など何らかで体を覆っていた寒冷地に当てはまる。裸で暮らすことができる年中暑い熱帯地では男女の識別のために髭は必要なかったので比較的退化した。

註3:その他多い意見:胡散臭い。汚らしい。強く見せようとする心理がきらい。コンプレックスを隠している。似合わない。性を強調しているようで気持ち悪い。自意識過剰。

註4:その他多い意見:かっこいい。セクシー。男らしい。ワイルド。(嫌いと比べて少ないな…)

註5:この似合っていればの基準もおもしろい。童顔、おじさん、外国人、かえって日本人、細身、やさ男、男らしい人などに、似合う似合わんと女性の好み放題。基準なし。

註6 :観賞用の俳優や選手、タレントの名前が出るのだが、髭があるからかっこよいのは一人もいないのでは?


はっきりしないと、そのうちクロマグロが食べられなくなるぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年08月

今月のひとりごと:『はっきりしないと、そのうちクロマグロが食べられなくなるぞ!』

今月はどう医療と関係があるのだと文句が出そうなひとりごとです。実は健康に良いとされている魚食について考えてみようと始めたのです。で、結論は「優柔不断はいかん、特に欧米社会においては」だったのでした。我々日本人は礼儀正しく、平均的な価値観を好み、協調性が高く、おくゆかしい民族だと思います。狭い日本国内で生活するには非常に有用な特徴ですが、外国からみるといいもわるいも自己主張が下手と思われないでしょうか?海外でこれをやりすぎるとはっきり言ってなめられます。その最近の良い例が2010年3月にもう少しで可決されたマグロ国際取引全面禁止、漁獲規制ではないでしょうか?日本は世界のマグロの約1/4を消費するということで、クロマグロの漁獲量を2割減らせを呑みました。昨今の世界的な寿司・刺身ブーム、また健康食ブームで「日本人以外」のマグロ需要が増えているのが(そのため乱獲もふえている)一番の理由なのに。

『なぜそれほどマグロと健康が関連しているかというと、①良質の脂質源である、②良質の蛋白源である、ことが広く世界に認知されてきているから。マグロや鮭、鯖、鰯、秋刀魚など脂分が多い魚には健康に良いオメガ3脂肪酸が豊富にある(註1)。この脂肪酸を定期的に摂取すると動脈硬化や脳梗塞、虚血性心臓疾患などの予防に役立つことが解明されてる。このような循環器系の疾患が欧米人は多いので注目を浴びているのだな。蛋白源に関しては、いわゆる「肉」の問題は体内で腐敗するからいかに上手く排泄するかがポイントになる。あるいはいかに体内に残らないかが上質な蛋白質であるわけだな。簡単にいうとニチャニチャした肉は消化されても腸壁にへばりつき、そこから炎症をおこしたり、毒素を発生させたりする。一番良くないのが牛肉だな。豚肉のほうがさらっとしている。続いて鶏、いちばんニチャニチャしていなのは魚(註2)。この肉の体内腐敗はガンのリスクと直結していて、戦後の日本人の食生活の欧米化は大腸癌を3倍近く増やしているのだな。欧米でのマグロ食は元もと存在するが(註3)今回ひとりごとをしている件の関心には、それ以前に1980年代から注目された欧米での欧米食の問題→健康食ブーム→それにマッチする寿司刺身→難解かつ高価な健康食を食する(できる)欧米インテリの構図があったと思う。』

実は魚食はいいことばかり無く、メチル水銀やダイオキシン汚染問題があったり、最近では養殖ものの危険性が指摘されてます。ブラジルで流通している養殖ものの魚介類はサーモン(チリ産)、Saint PeterやTilapia、ニジマスなど(淡水、国産)、クルマエビ(汽水、国産)などがあり、水質汚染、抗生剤使用、染料着色エサ、ダイオキシン汚染などが確認されています。米国の大学の研究では養殖サーモンの内ではまだチリ産が「一番まし」とのことですが、手放しで喜んで食してもいいのか少し疑問です。ましてや現地の「sushiX」にいくとサーモンばっかり食っているブラジル人は大丈夫なのでしょうか?

『いずれにしても1970年代までは、「生で魚を食べるなんて野蛮な」とすっごく軽蔑していたブラジル人だったな、よく覚えている。(たぶん他の欧米人も同じ)。中国人においては2000年代まで、「海の魚を食べるとアレルギー体質になるし、生など身体が冷えるからとんでもない」と言ってたぞ。それがマグロ漁を規制しないといけないほどの需要になってきているのだな。でも、はっきり言って魚の味をよくわかっていない方達なので(註4)、このさいマグロの消費はご遠慮いただき、日本人を含む元もとの食文化にあった人達がいただくということにしてはいかがでしょうかね?(註5)』

 

註1:魚油=オメガ3脂肪酸:EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)。その他の栄養成分:タウリン、アスタキサンチン、ビタミン類(A,B12,D3,E)、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン。

註2:これらの「肉」でハンバーグを作ってみるとよく判ります。さらっとした肉はバラバラになりますね。

註3:地中海料理に出てくる。イタリアではマグロのからすみ(bottarga)、ポルトガル料理もあり、また海洋国のモルジブやキリバスでは魚肉が主食。1900年代初頭にアメリカでツナ缶が開発される(ビンナガマグロ)。

註4:ブラジル人の寿司刺身の味は「醤油」の味。魚の身は単なる基質。ただでさえ脂っぽいサーモンにマヨネーズやクリームチーズを付ける。「先日刺身を食べてとってもおいしかった」と言うので「何がおいしかったか?」と聞くと、「サーモンとマグロと白身の魚(フカだったりする)」程度で”日本食通”。

註5:ちゃんと言わないと!捕鯨問題は日本がバッシングにあっているが、元もと鯨を捕りまくったのは欧米諸国(鯨油用)でほとんど全滅させたのではないか?結局戦後食肉を確保に出た日本がババを引いた形になったいるぞ!


痩せていればよいというものでもないぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


2011年07月

今月のひとりごと:『痩せていればよいというものでもないぞ』

先月サンパウロ市内でSão Paulo Fashion Weekが開催されてました。これはブラジルでは一番大きくかつ重要なファッションショーで大変な額のビジネスにつながるそうです。それで大挙してモデルさん達がサンパウロに滞在していたのですが、全員背が高く、ヒョロッと痩せた(そしてなにを考えているのか判らない表情をして)集団が診療所があるJardins地区に出没してました。今月のひとりごとは女性の「痩せ」について考えます。

『もともと太っているとか痩せているとかの基準は時代や場所で変更したのだな。昔のほうが太り気味のほうが美人だった。一例がモナリザや日本のおかめ美人。痩せているのは裕福でないと考えられたのだな。この考え方は現存し、アフリカのナイジェリアでは「太るダイエット」(註1)を実施するSpaなどがあるのだ。美人は太ってないといけないらしい。ところが、最近の西洋社会が発信する「痩せが美しい」が主流になってきたようだ。ファッションショーなどは美の方向性を示すものであるから、この痩せがどんどんエスカレートして行き、しまいに拒食症な感じのモデルさんが大量に発生し、2006年にスペインではBMI18.5以下、つまり「痩せ」の基準に入るモデルさんはショー出場禁止にまで発展した。』

体重の話でよく出てくるBMIとはBody Mass Index、体格指数のことで体重と身長から計算(註2)されます。正常範囲は18.524.9以内とされており、それ以下が「痩せ」、以上(註3)が「肥満」の基準になります。単なる体重と身長を使用した指針ですので、ものすごく身体を鍛えていて筋肉質であったら肥満の基準に入りかねません。そこで腹囲(註4)を補足したり、皮下脂肪キャリパー(註5)を使って腕を測定したり、体脂肪計(註6)を使用したり、新規な基準であるBody Volume Index、体積指数(註7)が提唱されたりしてます。栄養学的に一番正確に肥満や痩せを計測するにはDEXAと呼ばれるレントゲン装置を使ったbody composition測定、身体組成測定がベストであると異論がありませんが、大型の機器が必要で簡単に検査できません。

『一応理想的なBMI22とされているのだが、日本人女性の場合、これが一般的な健康人を反映しているか疑問があるのだな。オーバーウェイトというのが存在しないのもその証拠の一つであるが、日本人の体格は欧米人のそれとは異なるため、同じ基準をつかうのはどうかといった動きがWHOの中でも出た来ている。極端な例では日本人女性の場合、理想BMI18であるとの説があるが、これはいわゆるダイエット業界の説ではないかと思う。なぜなら、「痩せ」は低体温や不妊症、うつなど病気になりかねない状態であり、手放しで喜んで良い状態ではないからだ。BMIは年齢とともに増加をするのだが、世界では日本人女性のみ10代後半から20代にかけて「減少」が認められ、「痩せることを勧める風潮」の行き過ぎではないかと警鐘がならされてるぞ。』

ちなみにこのコラムの24人の内、女性の読者様はBMIいくらですか?どの計算式に近いですか?22*(身長m*身長m)=現体重kg。それとも、18*(身長m*身長m)=現体重kg。後者ですとやばいのでは?


1:もともと「ダイエット」とは「規則正しい」「一定の効果を期待した方法」による食事療法のことである。それが日本では「痩せるための食事療法」として使われているが、決して減量に限定するものではない。胃潰瘍食や糖尿病食もダイエットの一種。

2BMIの計算方法 体重(kg)/(身長(m))2乗。例:160cm55kgBMI55/(1.61.6)=21.5

3:欧米人の場合、いきなり「肥満」になるのでなく、25.029.9まで「過体重、オーバーウェイト」というランクがある。

4:腹囲=ウエスト周囲。息を吐いた状態で臍の上の周囲をメジャーで測る。各論あるが、日本人の場合、男性85cm以上、女性90cm以上が異常値(メタボ基準)とされている。

5:皮下脂肪厚法。特定の場所の皮膚をつまんでその厚さをはかる。誤差範囲が多いのが難点であるが、簡単に計測できる。

6:体内の脂肪の量により、交流電圧のインピーダンスが変化する原理を利用した方法。最近では体重計に内臓されることが多い。計測時の湿度や身体のむくみなどで誤差がでるため、学術的使用には異論がある。

7:この方法では正確に脂肪量、骨量、筋肉量が測定できる。